歌手で俳優・河村隆一(43)、間宮祥太朗(20)、貴水博之(44)、渡辺裕之(57)、西岡德馬(67)が28日、東京国際フォーラムホールCで舞台『銀河英雄伝説 第四章 前篇 激突前夜』(演出:ヨリコジュンゲネプロを前に報道陣の囲み取材に応じた。

 人気作家・田中芳樹による累計1500万部の売上を誇る“銀英伝”との略称でも親しまれる大ベストセラー小説『銀河英雄伝説』原作のスペース・オペラ。専制君主制銀河帝国と“常勝の天才”ラインハルト・フォン・ローエングラム(間宮)と民主共和制をとる自由惑星同盟“不敗の魔術師ヤン・ウェンリー(河村)との対立を軸に銀河の歴史に新たなる1ページが刻まれる。

 それぞれの役柄の衣装で現れた5人。河村は本作数度の舞台化中3度目のヤンを演じることとなるが、「ヤンは戦争の天才という側面と、すごく人を殺したり、戦争をおもちゃのように扱っている民心国家のハイネセンの政治家を恨んでいる側面もありまして、腹心で育てているユリアンという子供が昇進していくんですが、複雑な心を抱いていくことになります」と話し、「今回は自国の政治家達に危うく葬られようとする査問会も控えています」と、見どころを。

 司会からは、本作でヤンがタイミング悪く同盟側の査問会に招集されることに合わせ、最近タイミングが悪かったことを問われると、河村は「きょう、みなさんに差し入れでお寿司を差し入れしたら、おいしいホットミールが来ていて、タイミングが悪いなと思いました。みんなを太らせるような感じになっちゃって」と、バツが悪そうに話すと、渡辺から「そんなことないですよ!」と、フォローも見せていた。

 ほかにも、今年3月から4月にかけて上演された『第三章 内乱』以来に共演となる河村と間宮にヤンとラインハルトのお互いの役で進化したと思うところについては、河村が「間宮の場合は年齢こそ僕の半分くらいですけど、舞台けいこ初日に頭にセリフが全部入ってる。噛むこともつっかかることもない」と褒めると、間宮は、「ゲネで噛んじゃったらどうしようってプレッシャーです」と、苦笑いを浮かべることも。

 続けて河村は「クールな王子様を間宮が演じているというイメージがあったんですけど、この会場に入ってきて、音の響きも変わってきてるから、セリフの言葉の置き方を意識してしゃべっているんだな。テンポが変わっているんだなと思って、ただものじゃないなと思っています。意識してやってるでしょ?」と、間宮にニコリと投げかけると、間宮は「やってます」と、少し恥ずかしげに答えていた。

 一方の間宮は、「キルヒアイスを見て僕はヤン・ウェンリーは鏡だと思っているので目指している方向は一緒で、それがいつまでたっても平行線で交わらなかったからこうなっていると思うんです。こんなに隆さんとやっているのに舞台上で一緒に演技をすることがない。査問会のシーンは好きで、自分の意思を割りと飛ばすシーンがあって、ラインハルトにもキルヒアイスに見せる柔らかい一面があって、相反しているんじゃないけど映り方が違ってくることによって見えてくるものがあって、河村さんのヤンを見て、内乱のときから考えてましたね」と、しみじみと語っていた。

 また、キルヒアイス亡き後、冷徹な参謀として活動するオーベルシュタイン演じる貴水は「舞台上では女子供にも冷徹ですが、心ゆくまで楽しんでもらえるように、みなさんの力をお借りしたい。普段はすごくいい人です!」と、役柄通りの性格ではないと猛アピールし笑いを誘っていた。

 会見の最後に河村から「現代の縮図のようで演じていて驚いてばかりなんですが、おのおのの立場では精いっぱい自分の正義を貫いているんです。1人1人は決して自分にはウソをついていない。これが好きなんだとすれ違っていきながらぶつかっていくんですけど、本当にこの物語の中で、平和の大切さとか、すごく考えさせられるし、今の世の中というのはこうやって、すれ違いながら摩擦が起きたり衝突が起きているのかなと思います」と、思いの丈を。

 さらに、「銀河英雄伝説のいちファンとしては長い長いロングストーリーですけど、今回のと来年に予定している激突は、銀英伝のファンでは一番盛り上がるところだと思います。どうやって激突に向かうか、しっかりと表現していると思いますし、これを観ると次が早く観たいと思える作品です」と、PRしていた。

 舞台は巨大スクリーンに映しだされた艦隊戦や、出演者のダンスなど、激しさを表現しつつ、ウィットに飛んだ河村演じるヤンの独特の間合いでの皮肉も絶妙な具合で、人間模様も細部に渡り描かれたものとなっている。

 舞台『銀河英雄伝説 第四章 前篇 激突前夜』は29日から12月2日まで全7公演で同所にて上演!

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河村隆一がヤン・ウェンリーを熱演する