■関西ローカル番組ならではの温かさ

【写真】関西ローカル番組のおもしろさを、独自の目線で解説

ナインティナイン岡村隆史の結婚。一部メディアが若干先行して報じたが、すぐに岡村自身の口から長年パーソナリティーを務めているラジオ番組、「オールナイトニッポン」の中で、リスナーに報告された。ラジオを心から大切にしている彼にとって、素晴らしい選択だった。

岡村の同番組での言葉が、「女性蔑視発言」とされ問題となったのが、今年4月。私自身彼の深いラジオ愛を知るだけに、「過ちを深く反省した上で、今後の糧として欲しい」とメディアを通し、小さなエールの旗を懸命に振った。本当に良かった。

10月26日の「なるみ・岡村の過ぎるTV」(ABCテレビ)は、「岡村隆史結婚スペシャル!」として放送された。いまさら記すまでもないが、「岡村・なるみ~」ではなく、「なるみ・岡村~」だ。年齢は、なるみの方が岡村より2歳若いが、逆に芸歴は、なるみが岡村より2年先輩だ。2人とも吉本の新人タレント養成機関、NSC大阪校の出身で、なるみが7期で岡村が9期となる。ちなみにNSCは、「ニュー・スター・クリエーション」の略。

その日の番組オープニング早々なるみは、「感激してもうて…」と目を潤ませた。潤む程度かと思っていたら、ほどなく涙が幾筋も流れ落ちた。岡村が、「(スタッフの)誰か、ティッシュを!」というほどになった。その後なるみはスイッチを切り替え、笑いあふれる普段のトークへと移行したが、その様子はまさに「姉と弟」。感動した。

全国的に大きな人気を誇る出演者が、時にローカル番組のレギュラーを持つ。いわゆる「里帰り番組」だ。この日の「過ぎるTV」は、全国ネット番組には出せない温かい味わいに満ちていた。このテイストこそが、関西ローカル番組の「宝」だと思っている。関西万歳!

5年にわたる連載、ありがとうございました。

■今回の紹介番組

なるみ・岡村の過ぎるTV」

(ABCテレビ 毎週月曜23:17~)

【著者プロフィール】影山貴彦(かげやまたかひこ)同志社女子大学 メディア創造学科教授。元毎日放送プロデューサー(「MBSヤングタウン」など)。早稲田大学政経学部卒、ABCラジオ番組審議会委員長、上方漫才大賞審査員、GAORA番組審議委員、日本笑い学会理事。著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」(実業之日本社)、「テレビのゆくえ」(世界思想社)など。

なるみ・岡村の過ぎるTV