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11月 前年同月比マイナスに

text:Kazuhide Ueno(上野和秀)

10月は大幅回復を遂げた輸入車ブランド車の新規登録台数だが、11月は2万2798台を記録し、前年同月比で96.3%となった(JAIA調べ、速報値)。

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プラスに転じることはできなかったのである。

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インポート・カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたプジョー新型208。輸入コンパクトの定番モデルであり、販売台数も伸びている。しかし、プジョーの好調を支えたもう1台のモデルの存在も……。

一方で、日本車のマーケットでは、登録車が11月に前年同月比で106.0%を記録。軽自動車も同107.8%に。2か月連続でプラスを記録しているのとは対照的に、インポートカーの市場はマイナスとなった。

昨年11月の輸入車の登録台数を振り返ってみよう。消費税の引上げによる影響から2018年同月比でマイナスだった。つまり今年はさらに低迷したことになる。

また、この11月は新型コロナウイルス感染症の第三波が始まり、ひと月の内に感染者が4倍になった負の影響も考えられる。

しかし、今年1月からの累計登録台数を2019年と比べると、10月の83.0%から11月は84.2%へと向上しており、インポートカーの復調傾向は続いている。

11月の速報値を見てゆくと、上位のメジャーメーカーが前年割れを記録するなか、BMWミニ、ジ-プ、プジョーフィアットシトロエンランドローバー、アバルト、アルファ・ロメオといった趣味性の高いセカンドグループが大きく台数を伸ばした。

この中で注目したいのが、前年同月比で147.5%をマークしたプジョーの存在だ。

迷う顧客 派生SUVモデルがカバー

2020年は、プジョー日本法人にとって新たな世界を切り開いた年といえる。

なかでもコンパクト・ハッチバックの新しいスタンダードを創り上げた新型208は、EV版も同時に用意されるなどプジョーの先進性と意気込みが分かる意欲作。

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新型208では車内が小さい、と感じた来店者の心を掴んだのが、プジョーSUV 2008だったという。実用的な空間を確保しながら、実車は非常にコンパクトで、市街地でも扱いやすい。

208は、欧州カー・オブ・ザ・イヤーに続き、2020-2021 日本カー・オブ・ザ・イヤーで「10ベストカー」に選出され、最終的に日本車に伍して輸入車の最上位となる4位を獲得。インポート・カー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたことからも、実力の高さがわかる。

日本国内では7月のデビュー以来、幅広い層から支持を得た。

受注実績は、2081818台、e208105台。合計1923台(12月6日現在)と好調なセールスで、これがプジョー躍進の第1の理由といえる。

このほかにも、ミニバンのリフター、508、308 SW、SUV 2008と商品力の高い魅力的なモデルを追加したことで登録台数を伸ばした。

躍進の要因を日本法人は、「7月に導入した208、9月に発売したSUV 2008が好調です。フランス車らしいデザインと完成度の高さが認められています」と分析する。

面白いのは、「ディーラー208を買いに来られたお客様が、横に並んでいるSUV 2008の広い室内を見て変更する例がかなりあり、相乗効果で販売を牽引した」というラインナップの強みが活きたこと。これが、第2の勝因だろう。

続いて、登録台数のランキングを確認しておこう。

11月のトップ10は

今月もメルセデス・ベンツが5640台(前年同月比93.2%)とライバルを引き離し、単独首位を獲得。

69か月連続でトップに君臨し、記録を更新した。

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5年以上首位をひた走るメルセデス・ベンツ。9月には中心モデルの1つであるEクラスを改良新型にアップデート。ビッグマイナーと呼べるモデルチェンジとなった。

2位は、前月に続きBMW3540台(同102.3%)。フォルクスワーゲンは2498台(同66.4%)と低調ながら3位に留まった。

以下、4位のアウディは2005台(同96.7%)、5位には好調のBMWミニが1835台(同121.0%)で着ける。6位はプジョーが1307台(同147.5%)と2か月連続で躍進し、そのポジションを確固たるものとした。

7位のジープ1272台(同127.5%)と今月も上り調子だが、8位のボルボ1251台(同71.4%)と低調に。

9位のシトロエンは好調で520台(同135.8%)でワンランクアップ。10位はフィアットが495台(同136.4%)とポジションを1つ下げたが今月も健闘した。

この結果を見ると、趣味性の高いブランドが躍進していることが見えてくる。

スポーツ/ラグジュアリー系は?

量販モデルは明暗が分かれているが、趣味性の高いスポーツカーとプレミアム・モデルは一部メーカーを除いて良好なセールスを見せている。

11月の結果を見ると、ロータスが34台(同261.5%)で最大の伸び率に。

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台数のボリュームはとうぜん小さいが、好調を続けるロータス。画像は、エリーゼクラシック・ヘリテージ・エディション。

コロナ禍にあっても1月からほとんどの月で前年超えを記録し、そこに限定車のエリーゼクラシック・ヘリテージ・エディションが上乗せされた結果といえる。

次に伸び率が大きかったのは、今月も絶好調が続くフェラーリ。104台(同260.0%)を記録した。こちらは、F8トリブートのデリバリーが本格化した結果である。

2020-2021 日本カー・オブ・ザ・イヤーでパフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤーをB3で獲得したBMWアルピナは23台(同261.5%)と飛躍。

このほかロールス・ロイスが26台(同162.5%)を記録し、アストン マーティンマクラーレンも先月からの調子の良さをキープし、プラスを維持した。

一方でポルシェは今月も元気がなく、463台(同82.5%)。先月に続いて前年を割り込んでしまう。

またランボルギーニは43台の登録を数えたが、前年同月比で93.5%とプラスまで一歩及ばなかった。

このカテゴリーは分母となる台数が少ないため大化けすることがあるが、本質を知るハイエンド・エンスージァストが下す決断は、流行に左右されないだけに本当の評価といえる。

前にも書いたがプレミアム・モデルに原則的に即納車はない。通常はオーダーから早くて半年、複雑な仕様の場合は2年近く待って納車されるため、今月に販売されたものではないことを理解されたい。


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