ポルノグラフィティ12月4日、1年3か月ぶりのライヴ【CYBERロマンスポルノ’20 ~REUNION~】を開催した。デビュー20周年を記念して行った東京ドーム2days公演以来となるライヴは、会場のLINE CUBE SHIBUYAを有観客の状態で行いつつ、「今までとは違った新しいカタチで同じ時間を一緒に楽しんで頂きたい」という思いのもと、自身初の配信ライヴという形でオンライン上のオーディエンスにも届けられた。

 「僕らが生まれてきて/半世紀後の世界/サイバー空間で/あなたとつながりたい」と歌い出したのは、1999年メジャー・デビュー・シングル「アポロ」。バンドの背後のスクリーンには、まるで電子の魔法陣のような公演ロゴが派手に明滅していたが、この日のライヴは配信ならではの、まさに魔法のような演出も大きな見どころだった。ポルノ印のラテン調サウンドを鳴らす「オー!!リバル」では、AR技術が画面上に火を噴くサイ(この曲を収録したアルバム・タイトルは“RHINOCEROS=サイ”)と、メンバー二人の3DCGによるデジタル・ヒューマンを現出させ、続く「星球」では、ミラーボールが煌びやかに照らす空間に、色とりどりのARオブジェクトが漂った。一方で、会場ではオーディエンスがリアル空間の生音を堪能し、「アポロ」と「オー!リバル」ではリズミカルなハンドクラップ、そして「星球」ではハンドワイプが一体感を生み出していた。

 「声が出せんのよね?」「でもね、伝わってきとるよ」とオーディエンスから送られる気持ちをたしかに感じていると語る岡野昭仁。配信の視聴者にも「画面の向こうで見てくれていて嬉しいです」とメッセージを送り、パワフルで疾走感抜群のアグレッシブなナンバー「ワンモアタイム」へ。続く「2012Spark」は、床一面のスクリーンも演出に加わり、色味を目まぐるしく変えるスペクタクルも大迫力なパフォーマンス。その後も勢いそのまま、新藤晴一のハイエナジーなギターソロが炸裂した「リビドー」、情熱的なロックバラード「ヴォイス」と畳みかける。

 「1年3か月ぶりのライヴ、僕らもポルノグラフィティに“REUNION”してます。22年の歴史の中でいろいろな曲があって、そういった曲にも“REUNION”していきたい」と岡野が話せば、ファンには嬉しいレア曲セクションがスタート。2004年にリリースされたシングル「シスター」に続き、2012年リリースのシングル『カゲボウシ』カップリング曲の「ルーズ」では、スクリーンの煌びやかな光に包まれながら美しいメロディーを響かせた。また、打ち込みのスクエアなミドルビートに乗せた「カメレオン・レンズ」や「海月」は、キャリアの過程で広げてきた音楽性のバラエティもしっかりプレゼンテーション。

 「こんな形でライヴができるなんて想像できなかった」「手拍子に魂を込められるということを再認識したね」と新藤が言って手拍子を誘うと、ライヴの定番曲「アゲハ蝶」へ。ほぼアコースティックのミニマムなアレンジながら、サポート・メンバーたちもコーラスに加わり、チャット上にも「ラーララーララーラー」と合唱が飛び交い、画面上では事前に寄せられたツイッターのメッセージがARによって無数の蝶へと変身し、会場中に羽ばたいた。続いて「一足早いですが、クリスマス気分で盛り上がってくれ」と「Hard Days, Holy Night」を披露。さらに「VS」「ハネウマライダー」と高揚感を高めていき、本編ラストは「一雫」でドラマティックに締めくくった。

 「恩返ししたいと思い、新しい曲を持ってきました」の言葉に続いたアンコール1曲目は、デジタル・サウンドに力強いリリックを乗せた新曲「REUNION」。メンバーが今回のライヴに込めた思いを体現するかのようなアツいパフォーマンスを展開したのち、岡野が「ポルノグラフィティ全盛期はこれからです!」と頼もしく宣言すると、羽織っていたシャツを華麗に脱ぎ捨てる――はずが、袖が腕に引っかかってしまい、上手く脱げなかった微笑ましいハプニングも挟みつつ、最後は「ジレンマ」でフィニッシュ。「会えて嬉しかった。そして……また会おう!」と肉声で挨拶し、オーディエンスと再会の約束を交わしてライヴを締めくくった。


◎公演情報
【CYBERロマンスポルノ’20 ~REUNION~】
2020年12月4日(金)
セットリスト
01 アポロ
02 オー!リバル
03 星球
04 ワンモアタイム
05 2012Spark
06 リビドー
07 ヴォイス
08 シスター
09 ルーズ
10 カメレオン・レンズ
11 海月
12 アゲハ蝶
13 Hard Days, Holy Night
14 VS
15 ハネウマライダー
16 一雫
-EN-
17 REUNION
18 ジレンマ

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