歌とダンスの高いパフォーマンス力から、ハロー!プロジェクトアベンジャーズとしても話題となっているJuice=Juice。彼女たちにとって1年ぶりとなる単独でのホールコンサート「Juice=Juice コンサート2020 続いていくSTORY 宮本佳林卒業スペシャル」が、12月10日に東京・日本武道館で開催された。

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同公演をもって2013年のJuice=Juice結成当初から、不動のエース、センターとしてグループをけん引してきた宮本佳林が卒業。アイドル活動に対してのストイックな姿勢から“アイドルサイボーグ”と呼ばれたこともある彼女が、卒業公演でも“アイドル・宮本佳林”のすごさを見せつけた。

■宮本がさまざまな表情で最後までファンを魅了!

会場には約6500人のファンが集結。開演前から宮本のメンバーカラーであるブドウ色(※Juice=Juice結成当初はメンバーカラーに合ったフルーツが設定されていて、宮本は紫でブドウだった)に会場一面が染まっていた。以前であれば、ライブ前はファンからの“Juice”コールが定番であったが、今回のライブは新型コロナウイルスの関係で声援が禁止に。しかし、多くのファンはコールの代わりに大きな手拍子でJuiceコールを演出し、開演前から会場の熱気は上昇していく。

2019年に発売され、Youtubeにアップされている公式MVが470万回以上再生されるなど話題となった「『ひとりで生きられそう』って それってねぇ、褒めているの?」でライブはスタート。宮本のアカペラソロパートで始まる楽曲に、会場の期待は1曲目から急上昇する。さらに、宮本の「Juice=Juice行くぞ!」という掛け声でメンバーがステージに登場。その後も「好きって言ってよ」「プラトニック・プラネット」と、Juice=Juiceらしいクールな楽曲を畳み掛けていく。

最初のMCで宮本が「声援は控えないといけない。ありったけの拍手をいただければ!」と少しかみながら(?)コメントし、「禁断少女」「愛・愛・傘」「銀色のテレパシー」「如雨露」と、かわいらしい世界観のアイドルソングを連続で披露。以前のインタビューで「パフォーマンス中はその曲の主人公になるって気持ちでやっていて、その曲で伝えたいことを頑張って表現しているつもり」と語った通り、各楽曲にあった表情を見せる宮本。中央のスクリーンに彼女の顔が映しだされる度に、さまざまな表情を披露しファンを魅了していく。

また、MCでは今年2月以来の単独ライブということもあり、リーダーの金澤朋子は「始まる前からゾクゾクしていた。それくらい気合十分!」とコメント。サブリーダーの高木紗友希もファンに向かって「マスクをお利口さんにしているから、(ライブが)できる(笑)」と、言葉のチョイスに少し笑いながらも客席のファンに感謝を述べ、金澤は「佳林に華を持たせてやりたい」と卒業する宮本へエールも送っていた。

ここからは、怒涛の9曲メドレーコーナーへ。宮本と各メンバーが組んでパフォーマンスをしていく演出で、それぞれの組み合わせが歌う楽曲は「一人一人、話し合いをして決めた」という。1曲目は、こぶしファクトリーの解散にともないJuice=Juiceに電撃加入した井上玲音と「伊達じゃないのよ うちの人生は」を披露。本来であれば、宮本の卒業後にJuice=Juiceとして本格的に始動していく予定であった井上。そのため、宮本の卒業公演が新型コロナウイルスの影響で延期となったからこそ実現した夢のペアだ。

その後も「アレコレしたい!」(工藤由愛)、「背伸び」(松永里愛)、「Vivid Midnight」(稲場愛香)、「Sexy Sexy」(段原瑠々)とメドレーをつないでいく。昨年加入した工藤とはかわいいらしい楽曲の「アレコレしたい!」、ダンススキルの高い稲場愛香とはK-POP調のダンスやメロディーで話題になった「Vivid Midnight」、未来の歌姫候補である段原や松永とは、高い歌唱スキルを要する楽曲をチョイスするなど、一緒に歌うメンバーの特徴を生かした選曲も印象的だった。

初期メンバーとは「スクランブル」(植村あかり)、「ラストキッス」(高木)、「香水」(金澤)と、ファーストライブツアーや、ファンの間で語り草となっている220公演ツアーなどを思い起こさせる楽曲を披露。最後は、宮本を含む、金澤、高木、植村の初期メンバー4人で「大人の事情」を歌い、メンバー同士がいい意味で意識しあった歌唱のフリースタイルバトルのような圧巻のメドレーは終了となった。

なかでも4人で披露した「大人の事情」は、宮本が以前のインタビューでJuice=Juiceの楽曲で特に好きと語っていた1曲。「アイドルの気持ちをつんく♂さんが書いてくださると『やっぱりそうだよね』って思う。メロディーの感じとかもすごく好き。私たちが主演をしたドラマ『武道館』にめちゃくちゃピッタリだったし、すごい心がキュンとする曲だなと」とコメントしていた。

同楽曲はJuice=Juiceが主演したドラマ「武道館」(2016年フジテレビ系)の主題歌。同作ではJuice=Juiceのメンバーが“NEXT YOU”という日本武道館の単独公演を目指すアイドルグループを演じており、Juice=Juice自身も当時は日本武道館公演を目指していたため話題に。武道館公演にふさわしい1曲だ。

MCを挟んで本編は後半戦へ。ライブでの定番ナンバーであるアッパーチューンの「CHOICE&CHANCE」でスタートし、間奏では新加入の井上が得意のボイスパーカッションを披露。井上の加入による相乗効果が早くも発揮された一幕となった。その勢いのまま「ポップミュージック」「この世界は捨てたもんじゃない」と続け、宮本のソロ曲「未来のフィラメント」、宮本卒業後の新体制Juice=Juiceの新曲「がんばれないよ」を歌い上げる。

ラストスパートでは、Juice=Juiceインディーズ1stシングル「私が言う前に抱きしめなきゃね」、メジャーデビューシングル曲の「ロマンスの途中」と彼女たちの節目となった楽曲を連続で披露。そして、ハロー!プロジェクト ナンバーワンとの呼び声も高い歌唱力を持つ高木のフェイクが光る「生まれたてのBaby Love」で、会場の一体感は最高潮に。最後は「泣いていいよ」を優しく歌い上げ、本編は終了した。

アンコールでは、“プリンセス”をテーマにした、紫色とピンクのドレスを着て宮本が登場。メンバーカラーであるブドウ色と、彼女がアイドルを目指した際に「メンバーカラーはピンクがいい」と思ったことから、このカラーリングになったという。

ソロで「続いていくSTORY (Symphonic Version feat.Karin)」を歌い、間奏では「ここまで続けてくることができたのは、皆さんの応援のおかげです。Juice=Juice宮本佳林を愛してくれて、ありがとうございました!」と感謝の言葉を綴った。(※メッセージ全文は本記事最後に掲載)

グループを代表して、リーダーの金澤が「佳林の卒業に対して、寂しい気持ちはないと言ったらうそになりますが、それでも佳林の新たな一歩を応援したい。そして、私たちも佳林に負けないくらい精いっぱい頑張って、もっともっと成長していきたいと思います。Juice=Juiceのファミリーの皆さん、これからもJuice=Juiceそして宮本佳林の応援よろしくお願いします」と、卒業する宮本へメッセージを贈った。(※メッセージ全文は本記事最後に掲載)

金澤のリーダーらしいコメントを聞いた宮本は「リーダーってすごいっすね」と感嘆しつつも、「心配いらないですよ。Juice=Juiceは、私が卒業した後もどんどん輝いていくと思うので、みんな目を離しちゃダメですよ!」とファンに呼び掛けた。

最後はチャートの週間1位に輝いた「Wonderful World」をパフォーマンス。“この世界はすばらしいよね”と歌い、ファンからの大きな拍手に包まれてコンサートは終了した。

「言葉で伝えるのは下手だから、パフォーマンスで感謝の気持ちを返したい」と毎回のコンサートのMCでファンに語っていた宮本。今回はJuice=Juiceとしては最後のため「言葉でも言わせてください」と感謝を言葉にしていたが、パフォーマンスでも、いつも以上に感謝の思いがファンに伝わった卒業公演となった。

宮本はJuice=Juice卒業後、ソロ活動を続けていくことが発表されている。アンコール中に流されたJuice=Juice結成時の映像で、宮本は「歌もダンスも完璧を求めて、追求して、革命をを起こせれば」と語っており、まさに有言実行のアイドル人生に。グループ卒業後のソロ活動でも、さらなる飛躍を期待せずにはいられない。

また、ライブで披露したソロ曲「未来のフィラメント」は配信されており、10日夜9時からは個人のYouTube公式チャンネルも開設され同楽曲のMVが公開されることが、自身の口からライブ中にアナウンスされた。

宮本佳林のメッセージ全文

ハロプロエッグに加入してから12年。Juice=Juiceとしてメジャーデビューしてから7年。ここまで続けてくることができたのは、皆さんの応援のおかげです。本当にありがとうございます。振り返れば、いろんなことがありました。

楽しい思い出の方が思い出すんですけど、もちろん苦しい思い出もいっぱいありました。後輩がどんどん先にメジャーデビューしていってしまったり、メジャーデビューの時に骨折してしまったり、私の体調不良で活動を休止してしまったり、ファンの皆さんには心配を、メンバーにはたくさん迷惑を掛けてしまって申し訳なかったなって思っています。

普段、ありがとうの気持ちを言葉で言うのが恥ずかしくてですね、パフォーマンスで伝えるなんて言っていますが、今日は言葉でも言わせてください。Juice=Juiceファミリーの皆さん、私を応援してくれてありがとうございます。

そして、こんな変な私に居場所をくれたJuice=Juiceのメンバーのみんなも本当にありがとう。メンバーのみんなが大好きです。私はこのライブが終わったら、宮本佳林として新しい一歩を踏み出して、人間もパフォーマンスも磨いていきます。Juice=Juice宮本佳林を愛してくれて、ありがとうございました!

金澤朋子のメッセージ全文

本日、卒業する宮本佳林ちゃんへの思いをグループから代表して、私、金澤朋子が述べさせていただきます。

佳林とは7年以上、Juice=Juiceのメンバーとして共に活動してきました。友人のような家族のような、でもそのどちらとも違う、とても特別な存在です。今、佳林の卒業に対して、寂しい気持ちはないと言ったらうそになりますが、それでも佳林の新たな一歩を応援したい、卒業を祝福したいという思いはここにいるメンバー全員が同じです。きっとJuice=Juiceのファミリーの皆さんも一緒ですよね。

佳林はとても優しい人です。後輩たちにとっても佳林の存在は偉大なものだったと思います。既存のグループに後から加入するというプレッシャーの中で、佳林の柔らかい雰囲気や真っすぐな優しさに救われたというメンバーも多かったと思います。本当にありがとう。そして、同期の私たちも普通ならちょっと恥ずかしくて直接言えないような褒め言葉や愛ある言葉をたくさん掛けてくれました。なかなか素直に喜ぶことはできなかったけど、本当はいつもうれしかったです。ありがとう。

そして、佳林はライブが大好きな人です。今日のこのライブについても、当初6月に予定していた卒業を延期してでも、ちゃんと最後はライブで終わりたいって言ってくれたとき、佳林らしいなってとてもうれしく思いました。今日という日を無事に迎えられたこと、本当によかったね。改めて卒業おめでとう。

そんな大好きなライブはもちろんのこと、これまで挑戦してこなかった新しい道にも果敢に飛び込んでいって佳林らしくまい進していってください。応援しています。

そして、私たちも佳林に負けないくらい精いっぱい頑張って、もっともっと成長していきたいと思います。こんな言い方をすると、永遠のお別れみたいに感じるかもしれませんが、きっとプライベートでもお仕事でも、これからちょこちょこと顔を合わせることになるんじゃないかなと思っています。そのときは、これまで通り仲良くしてくれたらうれしいです。

Juice=Juiceのファミリーの皆さん、これからもJuice=Juiceそして宮本佳林の応援よろしくお願いします。

取材・文=宮澤祐介

Juice=Juice・宮本佳林の卒業コンサートが行われた/※提供写真