木星と土星が大接近

木星と土星が大接近/iStock

 前回お伝えしたとおり、12月21日前後に木星と土星が大接近する。これほど接近するのは日本では400年ぶりで、今年最後のビッグな天体イベントとなるだろう。

 木星と土星は、地球から見て同じ方向に並ぶために融合しているかのように見えるという。実は同じ現象がイエス・キリストが誕生した直後にも発生していたそうだ。

 キリストの誕生を告げたとされるこの星は、「ベツレヘムの星」や「クリスマスの星」と呼ばれている。海外では、今回の木星と土星の融合は、その伝説の星が現代に再び蘇るかもしれないと噂されている。

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木星と土星が並ぶ超大接近

 2020年、12月21日から22日にかけて、木星と土星が400年ぶりの大接近をすることは先日お伝えしたとおりだ。

 木星は約12年で太陽の周りを1周し、土星は約30年で1周する。太陽から見ると、この2つの惑星は約20年ごとに同じ方向に並ぶ。「会合」と呼ばれるこの現象は約20年に1度、周期的に発生するのだが、毎回大接近となるわけではない。

 なぜなら木星と土星の公転軌道がわずかに傾いているため、同じ方向に見えても上下方向にずれるためだ。ところが今年は違う。

 今回の場合は木星と土星の軌道が見かけ上交わる点の付近での接近する為、超大接近となるのだ。約0.1度間隔まで近づいたのは約397年前の江戸時代である。

 またアメリカやイギリスなどから観察する場合、実に800年ぶり、1226年3月4日以来となる大接近で、まるで2つの惑星が融合でもするかのように見えるという。今回の大接近がいかに珍しい現象かわかるだろう。

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Pixabay

ベツレヘムの星の正体は木星と土星の会合か?


 じつは木星と土星の会合が先述したベツレヘムの星の正体だという説がある。

 これを唱えたのは、「ケプラーの法則」と知られる天体の運動法則を発見した16~17世紀の天文学ヨハネス・ケプラーだ。

 紀元前7年、木星と土星は合体して見えるくらいの大接近を3度繰り返したとされており、ケプラーはこれをもってベツレヘムの星の正体であると結論づけている。

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フィレンツェの画家ジョット・ディ・ボンドーネ(1267年 – 1337年)の「東方三博士の礼拝」。ベツレヘムの星は幼子の上空の彗星としてあらわされている。ジョットは1301年に出現した彗星(ハレー彗星)を見てこれを描いた

 聖書に記載されている出来事の期日を正確に特定することは難しいし、そもそも本当に出現したのかどうかも分からないのだから、ケプラーの説はあくまで推測の域を超えるものではない。

 ベツレヘムの星の正体についてはほかにも、紀元前2年に起きた水星・金星・火星・木星の接近であるとする説、紀元前12年のハレー彗星とする説、また最近提唱されたものとしてアンドロメダ銀河付近の超新星であるとする説など、諸説ある。

 さらに実際の出来事ではなく、マタイの福音書の著者が考案したフィクションであるとする見解もある。

超大接近は新しい時代の予兆なのか?

 人間は大昔から珍しい自然現象を吉兆や凶兆として捉えてきた。

 2020年はいろいろな意味で歴史的な年で、私たちの暮らしは大きく変わらざるを得なかった。後年、今年の冬至の大接近を振り返り、時代の変化の予兆だったとまことしやかに囁く人たちも出てくるかもしれない。

 21日と22日は、夕方6時頃に南西の空を見上げて、互いに寄り添う木星と土星が良い前触れであることを祈ろう。


2020年12月 木星と土星の超大接近(宵空の見え方)
References:ancient-origins/ written by hiroching / edited by parumo
追記(2020/12/14)本文を一部修正して再送します。

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52297388.html
 

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