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Eクラスがマイナーチェンジ

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)

ビッグMCを行った新型Eクラス・セダンには、AMG車を除いても6タイプのパワートレインが設定され、価格レンジも769~1144万円と幅広い。

【画像】セダン、ステーションワゴン どっちが好き?【改良型Eクラス】 全161枚

試乗したE 200スポーツはエントリーに位置、日本市場では最も安価なEクラスということになる。

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メルセデス・ベンツのEクラスが9月に改良新型へアップデート。エントリーグレードのE200スポーツを試乗した。    前田恵介

MB車の特徴として安定のコスパが挙げられる。

上位グレードは、嗜好的な要素も含めて価格上昇に応じた長所がある。

となればE 200スポーツは、Eクラスの“魅力が薄い”モデルなのか? 試乗印象は、「是」かつ「否」である。

エアサスを採用したクーペのE 300スポーツにも試乗したが、フットワークの質感もパワフルさも一枚上手。価格相応のグレードアップがなされる。

E 200スポーツもまた相応なのだが、グレードダウンしたというよりも、若々しくカジュアルに進化したような印象を受けた。

新しいフロントマスクに負う部分も大きいのだが、乗り味等々も含めて現代的な若々しさを感じさせてくれた。高級車然としたEクラスとは違ったユーザー層への積極的な新たなアプローチは、多いに共感できた。

どんな感じ?

最上級グレードのE 450エクスクルーシブ以外の全グレードにAMGラインエクステリアを標準採用。

上窄まりの台形ラジエターグリルを配したフロントマスクはCLSクラスやSLクラスを彷彿。威嚇感のないダイナミズムが品のよいスポーティを表現する。

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メルセデス・ベンツE200スポーツ(セダン/BSG搭載モデル)    前田恵介

フットワークの印象もそんな外観から想像するとおりだ。

サスチューンの硬柔で言えば硬め。アジリティコントロールサスの効果もあって刺激的な突き上げは抑制されているものの、ストロークそのものは抑え気味。

「スポーツ」というグレード名の語感からすれば穏やかにも思えるが、路面感覚も強めであり、大らか、あるいは安楽な快適性を求める特性ではない。

高級セダンとしてはEクラスのベーシックなのだが、ドライバーズカーとしてはまとまりがいい。

低速から高速まで安定した前後輪のグリップバランスと操舵追従のいいラインコントロール性は5m近い全長と1.7tを超える車重を意識させない。

神経質に操舵しなくとも狙ったラインに乗せやすいので、幅員の狭いワインディングも存外に扱いやすい。

乗り心地と操縦感覚の印象が一致。外観と走りの印象も一致。Eクラスのスポーツカジュアル仕様といったフットワークである。

1.5Lターボ+48VマイルドHV

搭載エンジンは1.5Lのダウンサイジングターボ。時代に逆行してショートストローク設計なのは、2Lエンジンからボアを詰めて排気量減を図ったため。

……と、記せば低廉普及仕様のように誤解されそうだが、48VのBSG(ベルト駆動ISG)と専用リチウムイオン電池を用いたマイルドハイブリッドを採用した旬なエンジンである。ちなみに上位モデルのE 220 dとE 300は、BSG非採用である。

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試乗車の外装色はハイテックシルバー(9万7000円)。    前田恵介

電動モーター(ISG)は発電/回生と始動/パワーアシストを行う。

マイルドハイブリッドでは標準的な機能であり、動的にはスムーズな始動と初期加速反応の向上が挙げられ、E 200も例外ではない。

発進時や緩やかな踏み増しの初期トルクの立ち上げが素早く滑らか。ターボの過給圧上昇などのタイムラグもあるはずだが、そのトルク変動を電動モーターの制御で上手く均している。

比較的浅いアクセル開度での加速反応では2.5L級以上の余力を感じるが、踏み込み量が増えた時の上げ代は少なめ。2L級は上回るものの回す程に盛り上がるような加速感はない。

回しても4000rpm超に留め、9速ATを利して狭い回転レンジでリズミカルな運転を楽しむ。そんなドライビングが心地よいパワートレインでもある。

ヲタク心を掴む 最新MBUX/ADAS

増加するスイッチをデザインに取り込んだ新造形のステアリングが目を惹くが、インパネまわりの基本造形は従来車と共通。

流行りのパッドPC型センターディスプレイに比べると多少古くも見えるが、12.3インチワイドスクリーン2面構成は多機能表示のグラスコクピットを構成。機能的には最新仕様に更新されている。

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試乗車の内装はAMGインテリア・パッケージのブラック(ナッパレザー/グレーステッチ入り)。    前田恵介

MB車の象徴的装備になりつつあるMBUXも採用。

「はぁいメルセデス」で起動する対話型ボイスコマンドとIT機能が有名だが、Eクラスではタッチパッド上方空間にハンドサインを翳すことで登録機能を機動する新機能も追加。

目的地設定を登録して試してみたが、反応速く実用性が高い。ちょいとヲタク趣味で言えば、無詠唱で魔法を発動するような感じも楽しい。

運転支援関連も最新仕様。

ACCやLKAの使い勝手のよさに加えて、LKA作動時のステア保持認識に静電パッド式を加えて、手放しの誤認識がなくなった。運転支援システムでも、作動時の違和感の少なさも見所だ。

「買い」か?

同系パワートレインを搭載するC 200セダン・ローレウスエディションとの価格差は150万円以上。車格の差が、しっかりと価格に反映されている。

今さらの話でわざわざCクラスと比較する必要もないと思っていても、調べてしまうのはE 200スポーツの若々しさに惹かれたからである。

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写真のアクティブパーキングアシストをはじめ、メルセデス最新の安全運転支援システムがすべてのEクラスに標準装備となる。    前田恵介

大柄な男性4名が寛いで過ごせるキャビンスペースとシートの設え。トランクスペースも大容量。

テレマティックサービスも含めて大半の機能装備は標準装着され、OPのほとんどは内外装関連。

安定感に優れた重質な乗り味と静かな室内。エントリーに位置してもEクラスの車格を堪能できる。

そこに若々しくカジュアルな外観と運転感覚が加わえればCクラスの兄貴分にして強力なライバル! ……とオチを付けたかったが、MB車コスパ一定則のとおりの価格差。

それでもMCの方向性を最もよく表したモデルがE200スポーツなのは間違いなく、エントリーながら主力モデル的な存在。

プレミアムセダン選びの軸になるモデルである。

改良新型Eクラス・セダン スペック

E200スポーツ(BSG搭載モデル)

価格:769万円
全長:4940mm
全幅:1850mm
全高:1455mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費(WLTC):13.1km/L
CO2排出量:-
車両重量:1720kg
パワートレイン:1496cc直4ターボ+モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力(エンジン):184ps/5800-6100rpm
最大トルク(エンジン):28.6kg-m/3000-4000rpm
最高出力(モーター):13ps
最大トルク(モーター):3.9kg-m
ギアボックス:9速オートマティック

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VDA方式で540Lを確保したトランク。    前田恵介

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