遠隔操作で空高く舞うことができるドローンは、カメラを搭載して空撮などによく用いられている。このほど中国で、火炎放射器として改造されたドローンがワスプスズメバチ科などの大型のハチ)の巣を焼き払うミッションに臨んだという。『ABC News』などが伝えた。

中国最大のボランティアレスキュー団体「Blue Sky Rescue Team」は、中国重慶市の中央部に位置する忠県の村と協力し、ワスプスズメバチ科などの大型のハチ)の駆除にあたることとなった。中国の地方ではハチに刺され死亡するケースが多発しているが、医療機関が少ないため治療が遅れてしまうこともあるという。『China Daily』によると、2013年には四川省だけで100人以上の犠牲者が出たそうだ。

高い木の上に作られたワスプの巣を駆除するために、同団体は80,000人民元(約127万円)の資金を集め、6つの回転翼を持つドローンとガソリンタンク、長いノズルなどの部品を購入した。そしてこれらを組み合わせてドローンに火炎放射器の機能を付け加えた。

駆除の様子を撮影した動画には、高い木の上部にある巣まで飛んでいくドローンの姿が映っている。操縦者が火炎放射器のスイッチを押すと、取り付けられた長いノズルから巣に向かって勢いよく炎が噴出した。

地元メディアでは「炎に焼かれ灰となった巣が徐々に落下してくると、見守っていた住民たちから称賛の拍手が起こった」と報じており、住民らも「もうハチに刺される心配をする必要が無いんです」と喜びの声をあげた。同団体はこれまでに11個の巣を駆除したが、周辺には100個以上も巣が残っているそうだ。

イギリスの害虫駆除団体によると、1匹のワスプに刺されても致命傷にはならないが、30~40回も刺されると命に関わってくるとのことだ。

そんなハチの危険性が叫ばれる一方で、生態学者は駆除を奨励していない。これはスズメバチらが植物の花粉を媒介したり、農家が害虫とみなしている生き物を捕食するなど自然界で重要な役割を担っているからだという。

画像は『ABC News 2020年12月13日付「Chinese volunteers use flamethrower drone to eradicate wasp nests in village near Chongqing」(AP: Blue Sky Rescue Of Zhong County)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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