天才てれびくんMAX」(2003-2010年、NHK教育)、「大!天才てれびくん」(2011-2013年、NHK Eテレ)に出演していた“元てれび戦士”、鎮西寿々歌。

【写真を見る】写真集ではアンニュイな表情も見せる鎮西寿々歌

現在は「ニャンちゅう!宇宙!放送チュー!」(毎週日曜昼5:00-5:25、NHK Eテレ)にて12代目おねえさんを務めているほか、連続テレビ小説べっぴんさん」(2016-2017年、NHK総合ほか)などで女優としても頭角を現している彼女が、12月25日(金)、自身初となるデジタル写真集「resonance 鎮西寿々歌」を発売する。

今回、WEBザテレビジョンでは鎮西に取材を行い、初めての写真集撮影への思いや、彼女がこれから芸能界でやっていきたいこと、新たな挑戦についてたっぷり話を聞いた。

■“3日間の断食”をして臨んだ念願の写真集撮影

――初めてのデジタル写真集撮影、決まった時はどのようなお気持ちでしたか?

「写真集を出したい」とずっと思っていたので、念願がかなってうれしかったです。

デジタル写真集は時代に合っていてよりたくさんの人に見てもらえるし、コロナ禍で書店に行けないこともあるかと思うので、ありがたいと思いました。

被写体として撮影してもらうことが久しぶりだったので、いい意味で緊張感があって。あらためて撮られるというお仕事が好きだと思いました。

――撮影前に気を付けたことはありますか?

撮影前に3日ほど断食をしました。体を絞るためでもあったのですが、断食をすると細胞が入れ替わって肌もよくなると言われていて。心も体もすっきりして撮影に臨むことができましたし、感覚も研ぎ澄まされた実感がありました。

――千葉・館山リゾートホテルでの滞在はどうでしたか?

滞在中、至福とはこのことだなと思いました! プールもテニスコートもあるし、ちょっと歩けば海もあるし。こういう所で何も考えずにぼーっと1週間くらい過ごしたいなって。実際に撮影をしていた時間は半日くらいだったんですけどね(笑)。充実した時間でした。

――今回の写真集では何を表現したいと思われていたんですか?

今まで応援してきてくださった方に「懐かしい」と感じていただけるような部分と、「成長したんだな」って思ってもらえる部分、両方を併せ持つ写真集にしたかったんです。

子役からの無邪気な部分は、海での笑顔の写真で表現ができたんじゃないかと思います。表現というか、本当に楽しくて笑っている写真なんですけど(笑)。

成長した部分は部屋に戻って来てからの少しアンニュイな写真からくみ取ってもらえると思います。“色気”というよりも中性的であいまいな雰囲気が出せたらいいなと思っていました。

■大好きな「めぞん一刻」にも出てくるテニスコートでのカットがお気に入り

――特にお気に入りのカットを教えてください。

テニスコートでのカットがお気に入りです。テニス自体が好きというわけではないんですけど、大好きな漫画・アニメの「めぞん一刻」をはじめ、これまで漫画とかドラマの中で“男女のコミュニケーション”の一つとして描かれてきたのを見ていて、憧れが蓄積されました(笑)。テニスコートへの憧れ、皆さんもないですか?(笑)

――撮影中の面白いエピソードがあれば教えてください!

カメラマンの細居幸次郎さんに「ガチャピンに似てる」って言われたことです(笑)。

小学5年生のころから見た目がガチャピンに似ていると言われるんですが、特に気が抜けたときは「ガチャピンが憑依(ひょうい)する」とまで言われるんですよね。撮影中に素が出ていたんだと思います。

それから、海のシーンで、打合せもないまま私が海にどんどん入っていってしまったせいでワンピースがびしょびしょになりました(笑)。

紺色のワンピースだったので写真では目立っていないかもしれないんですけど。あの時は魂が海に行けって言ってたんでしょうね…(笑)。それでも「大丈夫だよ」って言ってくれる、優しい撮影チームでした。

■写真集タイトルに込められた思い

――写真集のタイトルは「resonance 鎮西寿々歌」。どのような意味が込められているのでしょうか?

resonance”は日本語だと“共振”という意味なんですけど、 “外部からの影響を受けて別のものに変わる”という意味を込めています。

私は子役からこの業界でお仕事させていただいているのですが、そのせいで型にはまってしまう部分もあって。「大人の方の期待に応えなきゃ」「求められるものに応えないと」と。

うそをついているわけではないんですけど、笑いを取るために話を誇張したりもしました。まあ、そこに関しては関西人としての性みたいなのも絶対あるんですけどね(笑)。それが、今年になってから殻を破ることができた瞬間があったんです。

原点回帰、でも当時とは違う、いろんな人との出会いがあった上での新しい私という意味で、このタイトルになりました。

――殻を破ることができたきっかけは何ですか?

コロナの影響もあって、自分の内面に目を向ける機会が多くなったんです。

これまではこの職業なので、周囲からどのように見られているのかを常に意識していたんですが、自分と向き合った結果、“自分が”何をしていきたいのか、何が好きなのかで動いてもいいのかもしれないと思うようになって。

自分軸で動いた先で、そういう自分のことを好きだと思う人は集まってくださるんじゃないかなって。ようやく“自分が何を表現していきたいのか”がはっきりしてきたと思います。

――表現したいものと言いますと?

「カテゴライズされることが嫌だな」という思いが強くあって。

個としての価値観を尊重していくような世の中になってほしいですし、“自由でいいんだよ”っていうことを発信していけたらいいなと思っています。自分自身も境界線のない、あいまいで中性的な存在でいたいですね。

■笑いにはストイック!

――芸能界に入ったきっかけを教えてください。

もともとダンスが好きで、家でずっと踊っているような子だったんです。公民館で行われていたダンススクールに通っていたんですが、そこで、以前所属していた大阪の事務所に声をかけていただいて。間もなく、事務所から「『天才てれびくん』のオーディションに応募したよ」って急に言われて、「え!?」みたいな(笑)。

武器が何もないので「とりあえず一発ギャグを身に付けるしかない」と思って。急いで習得して、オーディションで披露したら、受かりました(笑)。

一発ギャグは、その後も舞台で披露したりしています。日替わりで毎日違うギャグを見せる演出だったんですが、笑いにはストイックになるところがあって本番だけでなくリハーサルでも毎回違うギャグを披露していましたね。

――「天才てれびくん」「ニャンちゅう」への思いをお聞かせください。

天才てれびくん」はずっと見ていたので、てれび戦士は憧れでした。テレビで見て憧れていた方々と一緒にお仕事をさせていただけて。本当に“小学生の頃の願いがかなった”という経験でした。

ニャンちゅう」も昔から見ていたのですが、実は“キャラクター”というものに憧れているんです。朽ちることがないじゃないですか。そういう存在になれたらいいなという思いはずっと持っています。

■芸能界での目標は…

――多才な鎮西さんですが、今後はどのような分野で活躍したいですか?

分野を絞りたくないな、というのが正直な気持ちなんです。あえて挙げるなら、ダンスと歌がやりたいですかね。

あと、文章を書くのも好きで。自分は口頭で伝えるよりも書いた方が言いたいことがストレートに伝わる人間なのかなと思っているんです。

せっかく「ニャンちゅう」に携わらせていただいているということもあり、いつか子ども向けに絵本を作りたいんですが、絵が壊滅的に下手なんです(笑)。そんな状態で何言ってるんだ、ということは重々承知しているんですけど、子どもだからこそ受け取ってもらえるものがあるんじゃないかなと思っています。

教育というよりは子どもに歩み寄るようなものを発信していきたいです。

――芸能界で尊敬している先輩はいますか?

出川哲朗さんですね。尊敬しています。

天てれ」のお仕事でご一緒したのですが、何をするか分からない子どもをまとめあげて番組にしてくださっていたというのがすごいなと思って。

番組を通じて“出川イズム”を教わったのですが、鼻水でさえダイヤモンドに見える方じゃないですか(笑)。あそこまで振り切ってやって、あの地位を確立されていて。人柄もすてきですし…。

出川さんのように他の人の魅力を引き出すような、プロデュースや司会のお仕事もできたらなと思います。

■“自分のやりたいことを実験的にできる場”としてのYouTube

――先日自身のYouTubeチャンネルを開設されたそうですね。

テレビでは“イメージを崩さないように”じゃないですけど、求められているものを100%やりたいって思っているんです。だけど、“自分のやりたいこと”を実験的にできる場所も欲しいな、と思ってチャンネルを開設しました。

――チャンネル名の「おすずのあいまいにぃ~」にはどのような意味を込められたんですか?

私、「あいまい」という概念が好きなんです。“はっきりした境界線がない”ってすごく大切だなって思っていて。

白黒はっきりさせないといけないこともありますが、カテゴライズされることで生きづらい人もいると思うんですね。その人はその人でいいじゃん、あいまいでいいじゃんっていうことを、私が何かにチャレンジしている姿などから感じとってもらえるようなチャンネルにできたらな、という思いからこの名前にしました。

あとは響きですね。英語の人称代名詞みたいでゴロも良いと思いませんか?(笑)

――今後YouTubeでやってみたい企画はありますか?

たくさんあります!

まず、オーガニックコットンのブランドを始めたいと思っているんですが、立ち上げから動画にしてみたいです。

あとはマクロビの企画もやってみたいです。女性が好きなイメージが強いと思うんですけど、最近では男性でも食べられるくらいボリュームのあるものも出てきているんですよ。

――最後に読者へのメッセージをお願いします!

今回初めてデジタル写真集を出させていただく鎮西寿々歌です。YouTubeを始めるほか、商品のプロデュースなど裏方でもやりたいことがたくさんあり、これから “表現者としての鎮西寿々歌”という新しい山を登っていけたらなと思っています! もしよかったら、一緒に登ってください!

鎮西寿々歌にインタビューを行った/撮影:岡田佳那子