2000年代の名作RPGとして名高い『真・女神転生III NOCTURNE』を“原作尊重”の精神でリマスター化し、PlayStation(R)4/Nintendo Switch(TM)向けソフトとして帰ってきた『真・女神転生III NOCTURNE HD REMASTER』(以下、『真III HD』)。前回の記事ではプレイヤーの意志や主張がルート分岐に大きく関わるメインストーリー、戦略性の高いバトル、自由度の高い主人公の育成、悪魔合体を駆使したパーティー編成など、2020年プレイしてもいまなお魅力的であった要素を語らせてもらった。後半の今回は、ストーリー終盤に向かってより歯ごたえのある戦いが続くバトル、悪魔合体の楽しさが増す2周目以降のプレイオリジナル版では終盤戦や周回プレイ時に感じやすかった煩わしさを軽減するダウンロードコンテンツDLC)の活用法などを紹介していきたい。

文 / マンモス丸谷

◆敵とともに仲魔も強くなっていく終盤戦

敵・味方の弱点(属性)に合わせた攻撃を行なうことで、ターン中に行動できる回数が変動する“プレスターンバトル”がキモとなっている本作のバトル。前回は“なるべく敵の弱点を突けるよう、さまざまな属性の魔法スキルを使えるパーティーを作るのが重要”というような話をしたと思うが、メインストーリーも終盤に入ってくると有効な作戦が微妙に変化していく。
まず魔法攻撃系のスキルメインを張る4属性(火炎、氷結、衝撃、電撃)が弱点の敵が減り始める。たとえ弱点を持った敵が出現したとしても、妖獣フレスベルグ(火炎が弱点だが氷結は反射する)&魔獣ケルベロス(氷結が弱点だが火炎は反射)のようにこちらが全体魔法で弱点を突いても、行動回数を増やせるどころか減少してしまう組み合わせで敵として出現することが少なくない。こうなってくると単体を攻撃できる魔法スキル、ひと回りして物理攻撃の価値が見直されてくる。序盤~中盤では、HPの減少量が多くて使いづらいと感じていた物理属性での全体攻撃を持った仲魔の存在感が増し、主人公のパラメーターも力を上げて物理攻撃の質を上げたくなってくる。しかし『真・女神転生シリーズには“物理攻撃がまったく効かない”悪魔が伝統的に存在し、本作にも邪神ギリメカラを筆頭に物理攻撃を無効化、吸収・反射する悪魔も複数出現。物理攻撃偏重では切り抜けられないダンジョンも出てくるため、パーティー内での魔法と物理攻撃のバランスが重要になってくる。そもそも明確な弱点が存在しない悪魔も多く出現するようになってくるので、バックアタックで先手を取られる、主人公の装備しているマガタマの弱点(メイン4属性の魔法はともかく、一発死の危険性がある破魔、呪殺属性に弱いマガタマを装備している際のバトルはどれだけレベルを上げてもスリリング)、ボタンの押し間違え(物理攻撃反射のギリメカラうっかりオートバトルを挑んで全滅するのは“メガテンあるある”のひとつ)といった要因で、パーティーが壊滅する恐れも高まってくる。

敵=悪魔が強いということは、仲魔にしてしまえば有力な手駒になるという裏返しでもあり(後半に進むにつれ弱点のないパーティーは作りやすくなる)、それにボス敵を含んだ相手の攻撃手段には悪魔合体時の工夫、つまりプレイヤーの下準備しだいで完璧に近いレベルで対応できるのが本作の戦闘まわりの楽しいポイントでもある。
そんな全対応のパーティー作りで重要になってくるのが、仲魔のレベルアップと合体時に継承させるスキル。本作の仲魔はレベルアップしていくと新しいスキルを習得し、悪魔合体で新たな仲魔を作る際にはその覚えたスキルをいくつか継承させられる。継承可能なスキルの数は合体させる悪魔の育成具合で決まるため、組み合わせしだいでは超即戦力な悪魔を生み出すことも難しくない。そういった強い仲魔を複数体(最大12体)ストックして、
フィールド移動時のベストパーティー主人公を含めた4人で魔法攻撃の属性をカバーし、SP回復のスキルを継承させているのが望ましい)
・対ボス戦用パーティー(味方の能力をアップさせるカジャ系スキル、敵の能力を下げるンダ系やフォッグブレス持ち、回復役など)
・その他サポート役(状態回復スキルライトマ、リフトマなどフィールド上の異常を回復する役回り)
といったように使い分けられるようにしておくと、強敵に悩まされるというよりは、「そんな強い敵を倒せるウチの仲魔たちはすげえ!」と(ラスボス、アマラ深界の最奥部で戦う悪魔と天使、真のラスボスあたり以外とは)テンション高めで気持ちよく戦えるはずだ。

◆周回プレイやディープな悪魔合体を助けるDLC

ストーリー終盤に訪れるダンジョン、アマラ深界後半で悪魔合体に必要な素材やレベル上げに励むのは本作で最も楽しい時間ではあるのだが、1周のプレイですべて遊び尽くそうとすると非常に労力がかかってしまう。そこで推奨したいのがゲームクリアしてからの周回プレイだ。
クリアデータを引き継いでゲームスタートさせると、それまで作成・登録した悪魔全書を引き継ぐことができるうえ、1周目にはあった“自分よりレベルが高い悪魔は召喚できない”という制限が撤廃され悪魔合体の自由度が大きく跳ね上がる。序盤からマッカ(お金)さえ支払えば、1周目で作った悪魔、ライドウ、ダンテ以外の魔人を悪魔全書から召喚してスピーディーに各ダンジョンを攻略していくことが可能なのだ。

ただし“マッカさえあれば”自由に召喚できるという点がネックで、1周目で育てた悪魔ほど召喚に必要な額が上がってしまう。そのためオリジナル版では、序盤から強力な仲魔を使役するのはかなりハードルが高かった。しかし『真III HD』ではDLCを利用することで、周回プレイスタート時、ストーリー中盤から終盤にかけての仲魔の育成時に感じる煩わしさを解消することが可能だ。
ソフト本体以外には絶対にお金を払いたくない!」という人は、無料でDLできる初心者向け難易度MERCIFULを“適度に”利用するといいだろう。難易度MERCIFULの戦闘では主人公たちの通常攻撃が必殺の一撃となり、わざと反射・吸収される属性の攻撃を連発でもしない限り通常の戦闘で負けることがなくなる。そのうえ一度の勝利で得られる経験値やマッカは少なく見積もっても5倍ほどにアップ。MERCIFULでゲームを進めれば、早期の悪魔全書の利用、回復の泉の利用代や悪魔との交渉、マガタマの購入などで起こるゲーム序盤の金欠も防止できる。

マッカが増えることは素直にありがたいと思えるのだが、得られる経験値に関しては本作のバトルを楽しむという点から見るといささか過剰に感じた。要は戦闘がヌルくなりすぎるのである(そもそもMERCIFULはストーリールート分岐をストレスなく楽しみたい人向けの機能なので仕方ないが)。『真III HD』が持つゲームとしての楽しさは残しつつ、悪魔合体や仲魔の育成を楽しみたいという人に勧めたいのが、経験値とマッカを稼げる専用ダンジョンを開放できる有料DLC“坊ちゃまの情け”と“主の期待”だ。

得られる見返り(経験値&マッカ)だけ見るとMERCIFULでの戦闘と同じどころか、目的に応じて別々のダンジョンに行かなければならないため効率が悪いのだが、有料DLCでの経験値&マッカ稼ぎは、敵の落としたアイテムを消費することで完了するところがポイント。MERCIFUL時のように過剰に主人公レベルアップしていくことを防げるため、2周目以降で主人公レベルを上げすぎずに悪魔全書を使いたい場合や、「特定の仲魔のレベルだけを上げてスキルの習得や別の悪魔へ進化させたい」、「(1周目で)この悪魔を召喚するために主人公レベルを1だけ上げたい」といった、ピンポイントな育成を行ないたい際に非常に有効。これが筆者のような「いろいろな悪魔を作りたいけれど、バトルを楽しみつつ楽ができるところは楽がしたい」プレイヤーにはありがたく、これまでの『真・女神転生シリーズではスルーしがちだったレベル80以上の悪魔、特殊な条件を満たすことで合体可能になる悪魔の作成にも手を出すことができ、悪魔合体に関しては学生時代にオリジナル版をプレイした際よりも楽しめた。本作を遊びたいけどシナリオ、戦闘、育成等のボリュームに尻込みしている人は、DLCを利用した効率プレイでチャレンジしてみてはいかがだろうか。

オリジナル版が生み出したゲームシステムHDリマスター化してもそのまま残しつつ、DLCを利用すれば現代寄りの時短プレイでもシナリオや戦闘を楽しめるようになっている『真III HD』。個人的には気にならなかった“特定場面における不具合ならびに挙動の速度”(おそらく悪魔合体時などにおける、悪魔の3Dモデルの表示スピードと思われる)も修正されるようなので、年末に腰を据えて本格的なRPGを遊びたいという人はぜひ本作を触ってみてほしい。

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真・女神転生III NOCTURNE HD REMASTER』スリリングなバトル&理想の悪魔作りが捗る周回プレイの楽しさは、WHAT's IN? tokyoへ。
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掲載:M-ON! Press