ジャンプマンガの人気作品の魅力を楽しめる、集英社主催「ジャンプフェスタ2021 ONLINE」が12月19日(土)・20日(日)に開催された。今年はオンライン上に様々なイベントコンテンツが登場。その中から「週刊少年ジャンプ」及び「ジャンプSQ.」関連の大人気マンガを原作に多くの2.5次元舞台の制作・発信を行なっているネルケプランニングの配信チャンネル「ネルケプランニングチャンネル」をピックアップ。2日にわたり特設ステージから届けられたLIVE配信の模様をダイジェストでお届けする。

取材・文 / 西村由美

◆「エンタメの力で心をひとつに」

ネルケプランニングチャンネル」では、ネルケプランニングが手がけた作品から、ミュージカル新テニスの王子様』、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」、「僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stage 、舞台「銀牙 -流れ星 銀-」、舞台「鬼滅の刃」の5タイトルが選りすぐられ、各公演に出演している俳優たちが登壇した「トークステージ」、〈ヒロステ〉の限定パフォーマンス、過去上演作品のダイジェスト映像「ヒストリー of ジャンプ×ネルケ2.5D」など、オリジナル企画が盛りだくさんに生配信された。

両日ともMCは、ミュージカル『テニスの王子様』1stシーズン(宍戸 亮 役)やハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」(武田一鉄 役)など数多くの2.5次元舞台に出演している鎌苅健太が、昨年に続き務め(19日の舞台「銀牙- 流れ星 銀-」トークステージ除く)、作品への熱い思いをはじめ公演制作の裏話など、俳優たちの生の声を引き出した。細やかな鎌苅のMCさばきには、“ケンケン”の愛称で役者仲間から慕われている彼の人望の厚さも垣間見えた。

ミュージカル新テニスの王子様』トークステージ

ジャンプSQ.」にて2009年より連載中の許斐 剛の『新テニスの王子様』を原作に、今冬初舞台化されたばかりのミュージカル新テニスの王子様』。卓越したテニスの腕を持つ中学生・越前リョーマらが、戦う場所を全国大会後のU-17(アンダーセブンティーン)日本代表合宿へと移し、新たな強敵たちと切磋琢磨していく様を描いていくシリーズ。その第1弾〈The First Stage〉が12月12日(土)に開幕、絶賛上演中だ。

12月19日(土)>
【出演者:今牧輝琉(越前リョーマ 役)、山田健登(手塚国光 役)、前田隆太朗(切原赤也 役)、小野健斗徳川カズヤ 役)】


「これから本番です」と、まだ真新しいキャラクター衣裳に袖を通して登場したメンバー。MC・鎌苅の役どころを含めた呼び込みに、今牧輝琉はリョーマの「まだまだだね!」、山田健登は手塚の「油断せずに行こう」、前田隆太朗は切原の「うわさの切原赤也って俺の事っス」と、それぞれキメ台詞で応えていき、小野健斗も徳川の「もう帰りたいのか?」を発し、カメラに向かってクールに目線を送るが、「早い! まだ始まったばかり」とツッコミを受けることになり、緊張感を見せていた彼らの表情がゆるむ。ジャンプフェスタでの〈テニミュ〉恒例のサイコロトークも〈新テニミュ〉バージョンで行われ、“当たり目=自分の役の好きな台詞”を引いた今牧は「俺達が新しい2番コートでいいっスね」を選び、“みんなの第一印象”という質問には山田が「隆くんは最初怖かったんですよ、目力がすごいから。でも面倒見がすごく良くて。健斗さんはイケメンすぎて話しかけづらかったけど、話してみたら優しい先輩で。輝琉は、本当に可愛い!」と告白。“初めて〈テニミュ〉を見たときの感想”に「3rdシーズンの聖ルドルフ公演」を挙げた前田は、その後自身がオーディションを受けた際のエピソードも披露。小野は“公演の見どころ”に「全部が見どころだけど、俺も見どころだと思う!(笑)」と即答してみせた。「U-17(アンダーセブンティーン)」にかけた“17秒”での自己PRコーナーも含めてカンパニーの初々しさを漂わせながら、互いの距離をさらに縮めていくのがうかがえた。公演中の感想に小野が「みんなが日々成長していく。それを間近で見ていて刺激になるし、そういうところが〈テニミュ〉の素晴らしいところ」と話していたが、シーズンを重ねて成長していくキャストも見どころのひとつだろう。

12月20日(日)>
【出演者:今牧輝琉(越前リョーマ 役)、高橋怜也(跡部景吾 役)、平松來馬(遠山金太郎 役)、岡本悠紀(鬼 十次郎 役)】


この日の今牧はリョーマの「オレは上に行くよ」、そして高橋怜也は跡部の「俺様の美技に酔いな」、平松來馬は金太郎の「やられたらやり返したる!!」、岡本悠紀は鬼の「ブラックジャックナイフ!!」と、前日に続き各キャラクターのキメ台詞でもって登壇。ミュージカル俳優としてのキャリアを持ち、今回〈テニミュ〉に初めて触れている岡本が「カーテンコールまでキラキラが止まらない。〈テニミュ〉の魔法ってこれなんだ」と共演者のフレッシュさにあてられている日々を明かしたが、〈テニミュ〉出身者であるMC・鎌苅も「可愛いが止まらない!」と後輩を見守る先輩の顔を覗かせ、サイコロトークでは“いじり”を炸裂させる。感染対策を講じて鎌苅が代わりにサイコロを振っていくのだが、連続で同じ目を引き当てるという珍事を起こす。それも“好きなおにぎりの具”というお題。今牧が「圧倒的に明太子が大好き」と答えれば、「どういうところが好きなの?」とツッコミ「つぶつぶ」とカメラ目線で言わせ、「僕は、梅かツナマヨです」と言う高橋には「酸っぱいのを食べたときどんな顔になる?」とアップで抜かせ、「何もないのが好き。塩に、パリパリの海苔が最高」との平松にも「可愛く“おかか”って言って」と無茶ぶり。さらに岡本の番には違う質問面が出たにも関わらず、手元で面を変える荒技を繰り出し、「高菜」とかっこいい低音ボイスで言わせてしまう(*この後、じゃんけんに勝った平松が再度サイコロを振り「当たり目」を出します)。大いに笑いを振りまきながら、まるで控室での役者同士の素顔のやりとりを見ているかのようで、〈新テニミュ〉のチームワークの良さが増していく予感もいっぱいに、来年再びこのステージで彼らに会えることを楽しみに待ちたい気持ちになった。

ミュージカル新テニスの王子様』The First Stageは、東京公演を終え、12月29日(火)よりメルパルクホール大阪にて大阪公演を、2021年2月5日(金)から日本青年館ホールにて東京凱旋公演を上演する。今牧らキャスト一同の「劇場で待っています!」の言葉をぜひ受け取ってほしい。また、11月の〈Dream Stream〉の配信でフィナーレを迎えたミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズンの映像商品が2021年2月5日(金)に発売される。

(c)許斐 剛/集英社・新テニミュ製作委員会

ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」トークステージ「週刊少年ジャンプ」での8年半にわたる連載が今年7月に最終回を迎えた古舘春一のバレーボール漫画「ハイキュー!!」を原作とするハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」。2015年11月の初演からシリーズを重ね、2019年に烏野高校のキャストを一新、最新作“ゴミ捨て場の決戦”は12月13日(日)まで上演された。そして、完結編となる“頂の景色・2”が、2021年3月に上演されることが発表された。

12月19日(土)>
【出演者:醍醐虎汰朗(日向翔陽 役)、赤名竜之輔(影山飛雄 役)、桜庭大翔(木兎光太郎 役)、高崎俊吾(赤葦京治 役)】


醍醐虎汰朗も赤名竜之輔も「演劇「ハイキュー!!」ロスです」と名残惜しそうな表情を浮かべて始まったこの日は、武田一鉄として本作に出演しているMCの鎌苅が「演劇「ハイキュー!!」と言えば、ここも見せ場」と豪語する、公演のオープニングだけをまとめた特別映像を見ながら振り返っていく。「新生という感じがすごくあった」という感想が出た、醍醐と赤名にとっては演劇「ハイキュー!!」初ステージの“飛翔”、桜庭大翔と高崎俊吾が演じる梟谷も出演し、悔しくも4公演のみの上演となった“最強の挑戦者(チャレンジャー)”、高崎が観劇していて「オープニングから涙が出た」と感動を伝えた“ゴミ捨て場の決戦”と、3作ともに物語が始まる前のキャスト紹介を兼ねたシーンでありながら、「オープニングだけでも演劇「ハイキュー!!」ならではの、“繋いでいる”感がありますね」と赤名がコメントしたように、シリーズを通じて継承と進化という特色が凝縮され、5人の中にも各公演がフラッシュバックしたようだった。そんな演劇「ハイキュー!!」も次作“頂の景色・2”にてファイナルを迎える。終幕に向け、「一球入魂ならぬ、一公演入魂で頑張っていきたい」(高崎)、「最後まで梟谷らしく、木兎らしく、最高に盛り上げて楽しんでいけたら」(桜庭)、「すべての思いを背負って全力で臨んでいきたい」(赤名)、「最後に携われることは、すごく幸せなこと。(音駒・孤爪研磨 役の永田)崇人くんからも“楽しんでほしい”とメッセージをいただいたので、めちゃめちゃ楽しんでやろうと思っています。皆さんの思いを引き継いで、ハッピーに楽しく臨もうと思います」(醍醐)と意気込みを語っており、これまで携わったすべての人の愛をもパワーに変えて最高の“頂の景色”を見せてくれることだろう。

ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」“頂の景色・2”は、2021年3月20日(土・祝)よりTOKYO DOME CITY HALLにて東京公演を開幕。その後、宮城、大阪、兵庫、福岡を巡り、4月29日(木・祝)から東京凱旋公演をTOKYO DOME CITY HALLにて行い、5月9日(日)に大千秋楽を迎える。

(c)古舘春一/集英社ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」製作委員会

●「僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stageトークステージ&「僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stage 本物の英雄(ヒーロー)〜ジャンプフェスタ2021 スペシャルパフォーマンス〜

週刊少年ジャンプ」にて連載中の堀越耕平による「僕のヒーローアカデミア」は、主人公・緑谷出久みどりやいずく)が最高のヒーローを目指して成長していく様を描くヒーローアクション。〈The “Ultra” Stage〉として2019年4月に舞台化・初演され、続く〈本物の英雄(ヒーロー)〉は今年3月に外出自粛やイベント自粛に関する要請をふまえ、わずか6公演のみで終了してしまった。そしてこのたび、完全版となる〈本物の英雄(ヒーロー)PLUS ULTRA ver.〉しての上演が2021年に決定した。

僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stageトークステージ
12月19日(土)>
【出演者:田村 心(緑谷出久 役)、小林亮太(爆豪勝己 役)、岩永洋昭オールマイト(マッスルフォーム)役)、元吉庸泰(演出家)】


デクの等身大パネルを抱えて笑顔で登場した田村 心を筆頭に、このステージには演出家の元吉庸泰も登壇。「足踏みをしてしまったけれど」「より高く飛ぶために」チャージ期間を経たと、〈本物の英雄(ヒーロー)PLUS ULTRA ver.〉の上演決定を晴れやかに告知する。そして、初演を面白おかしく笑いを交えて振り返る企画として、あいうえお作文や元吉がセレクトした舞台写真に妄想アテレコをするという、罰ゲーム付きの「いわゆる大喜利」が開催された。田村の「こういう企画は僕たちの担当じゃないんです!」という嘆きは届かず、3人とも必死に考えるも、審査員である元吉も苦笑を浮かべるダダすべりの回答を繰り広げる。その中で、小林亮太が岩永洋昭に本番中に笑わされそうになった裏話や上海公演時のことなどが明かされ、現場の楽しそうな雰囲気も伝わってきた。結果、罰ゲームの一発芸をやることになったのは小林。「何も考えてなかった」と焦りながらも覚悟を決めて挑もうとしたが、3言目くらいで噛み、自爆。座り込み頭を抱えてしまった小林には「これでまた君は強くなれる! まだまだレベルアップしよう!」とMC・鎌苅からの絶妙なヒーローフォローが投げかけられた。また最後にはスクショタイムも設けられ、田村の「更に向こうへ!」の声がけに合わせ「Plus Ultra!!」と叫び、4人が右手を高く上げたポーズを決めるサービスもあった。冒頭に田村が「明日=未来に〈ヒロステ〉を繋げられると思う。前向きに待っていてくれたら」と言っていたように、パワーアップした“本物の英雄(ヒーロー)”の姿を見られる来年に向けて、私たちもチャージをして待ちたいと思った。

僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stage 本物の英雄(ヒーロー)〜ジャンプフェスタ2021 スペシャルパフォーマンス〜
12月20日(日)>
【出演者:田村 心(緑谷出久 役)、小林亮太(爆豪勝己 役)、岩永洋昭オールマイト(マッスルフォーム)役)】


前日、トークステージに登場した演出家の元吉庸泰が「〈本物の英雄(ヒーロー)〉のあるシーンを抜粋して、この3人でできる特別バージョンに編集した」と解説していた、この日限定の〈ヒロステ〉のパフォーマンス。幕張メッセに設えられた、劇場を模した特設ステージ上に立ち上がった彼らはまさに、ヒーローだった。“無個性”で生まれてしまった緑谷出久(通称:デク)が、幼い頃から憧れていたヒーローのオールマイトに出会い、彼の“個性”「ワン・フォー・オール」を受け継ぎ、「雄英高校」のヒーロー科に入学。幼馴染み爆豪勝己らと学びながら、徐々に自信を持ち、夢に立ち向かっていく。初演で描かれていた物語がデクの回想として甦り、オールマイトとのやりとりや爆豪との関係性が浮かび上がる。そして、「期末試験」を迎え、デクは爆豪とふたりでオールマイトに立ち向かっていく──。そんな歌と芝居を支える「I want to be a HERO」は、時に力強く、時に優しく、風を切っていくように〈ヒロステ〉の世界を推進し、観る者を引き込む。デクを、爆豪を、我々までをも鼓舞し、「更に向こうへ!」と背中を押してくれるナンバーで、彼らが“更に”躍動する来年のステージに高揚感も高まるスペシャルパフォーマンスだった。

僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stage 本物の英雄(ヒーロー)PLUS ULTRA ver.は、2021年に上演される。詳細は随時発表の予定。続報をお楽しみに。

(c)堀越耕平集英社・「僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stage製作委員会

●舞台「銀牙 -流れ星 銀-」トークステージ

1983年1987年にかけて「週刊少年ジャンプ」にて連載された、高橋よしひろによる「銀牙 -流れ星 銀-」を原作に、2019年7月に舞台「銀牙 -流れ星 銀-」〜絆編〜が初演された。2020年10月には〈~牙城決戦編~〉を上演、11月1日(日)に千秋楽を迎えたばかり。秋田犬の銀が最強の熊犬である父・リキのため、仲間と共に殺人熊の赤カブトに立ち向かっていく日々を描いた物語。

12月19日(土)>
【出演者:赤澤遼太郎(赤虎 役)、鮎川太陽(スナイパー 役)、田鶴翔吾(ビル 役)、川崎優作(武蔵 役)、輝馬(クロス 役)】


このステージのMCは、本作出演の武蔵 役 川崎優作が担当。皆、犬役だけに(!?)「おすわり!」の号令を合図に「ワンワン」と着席し、11月に終えた〈~牙城決戦編~〉から、それぞれの好きなシーンを映像で振り返っていく。川崎も交えて当時を思い出していくのもあって、より楽屋感がトークに滲む。赤澤遼太郎は「振りを覚えるのが大変だったけど、みんなで作り上げたダンスだったので印象深い」と〈十三人の決死隊〉を選び、「〈舞台「銀牙」〉の“一輪の花”」こと輝馬は(ベン 役)郷本直也デュエットした〈欠けた月〜ベンとクロスの別れ〜〉を挙げ、「帰り道も一緒で、マジで夫婦に見えましたよ」と川崎もふたりの仲の良さを口にしていた。また、田鶴翔吾は「可愛らしい振付」と〈満月〜ビルver.〉を紹介し、そのパートが「(銀 役)佐奈(宏紀)ちゃんが日替わりで好き勝手やるんですけど、僕たちは舞台上で初めて知るんです」と告白。川崎がピックした〈闘犬魂〉も「(赤カブト 役)spiさんに相談して歌舞伎の要素を取り入れた」と明かされた。そして、鮎川太陽は「僕(スナイパー)が佐奈ちゃんを踏みにじるシーンなんですけど、コレ、実は踏んでないんですよ!」と言うも、「佐奈ちゃん、“日によって痛い日がある”って言ってたよ(笑)」と田鶴にバラされ、「バランスが崩れるんだけど、ブレちゃいけないなって、コントロールするのが大変だった」と本音を語った。最後に「じゃあ、みんなハウス!」と締めた川崎からの言葉にもあったが、各シーンがどのように作り上げられていたのかが見えたこの裏話を思い返しながら、来年発売されるDVDで、もう一度公演を楽しみたい気持ちになった。

12月20日(日)>
【出演者:佐奈宏紀(銀 役)、北代高士(紅桜 役)、spi(赤カブト 役)、坂元健児(リキ 役)】


新たなメンバーで臨んだこの日は、佐奈宏紀が「僕にとっても〈舞台「銀牙」〉は大事な作品で、何としても完結させたかった」と無事に上演できた喜びを表した〈~牙城決戦編~〉に原作者の高橋よしひろが観劇に訪れた際のエピソードが早速語られた。そして昨日に続き、みんなが選んだシーンを映像で見ていくことに。最初に〈鏡の虎〉を選んだ佐奈が、抜かれたワイプの中でも映像に合わせて歌い上げ、茶目っ気で笑いを誘う。そんな佐奈に対して「誰よりも練習するんです。それを見ていたら、老犬としても一緒にやろうと鼓舞されます」と明かした北代高士は「歌合戦が始まったんじゃないかって思った」とspiと坂元健児による歌の掛け合い〈正義のために〉を取り上げ、「サカケンさんと歌でバトルできるなんて役者冥利につきる」と思いを述べたspiは〈十三人の決死隊〉をピックして「コーラス箇所を付け足させてもらった。13人の熱量がすごくて、負けてらんねえなと思ったので」と解説。佐奈も「赤カブトのあの声があるから、僕らも熱量が上がった」と振り返った。また坂元の番には、リキの元に全国から犬たちが集合するシーンが映し出されたのだが、「このあとに〈TOMORROW〉という歌があって、ベン役の郷本直也アドリブに入っていくんですけど、そこが、僕は気に入っていたんですよ」と残念そうな表情を浮かべることに。ただこの後、お気に入りの1曲を挙げていくコーナーもあり、そこで坂元があらためて〈TOMORROW〉を選んだ際には、佐奈のナイストスが上がり、一節を生歌で披露してくれるというサプライズがあった。一曲一曲深掘りしていくと、また違った芝居の見方や感動も生まれる。あらためて、じっくり味わいたいと思った。

舞台銀牙 -流れ星 銀-」~牙城決戦編~は、2021年1月11日(月)=ワンワンワンの日であり、赤澤の誕生日に楽曲配信がスタート。さらに、5月13日(木)=愛犬の日にはDVDが発売される。「今後とも舞台「銀牙」を愛してくれると嬉しいです」という佐奈からのメッセージと共に、芝居だけでなく、音楽も楽しんでほしい。

(c)高橋よしひろ/集英社・舞台「銀牙-流れ星銀-」

●舞台「鬼滅の刃」トークステージ

2016年より今年5月まで「週刊少年ジャンプ」にて連載されていた吾峠呼世晴による『鬼滅の刃』は、マンガだけでなく、TVアニメ、劇場版共に大ヒットを記録。言わずもがな2020年に金字塔を打ち立てた傑作だ。舞台「鬼滅の刃」は2020年1月に初演され、鼓屋敷での戦いまでが描かれた。続編が多く望まれていたなか、ついに新作の上演が2021年夏に決定した。

12月19日(土)>
【出演者:小林亮太(竈門炭治郎 役)、植田圭輔(我妻善逸 役)、佐藤祐吾(嘴平伊之助 役)】


「3人会うのが久しぶりだから嬉しい!」と満面の笑みを見せていた小林亮太が開始早々に涙し、MC・鎌苅だけでなく、おそらく観ていた人たちも「炭治郎そのもの」と声を漏らしたに違いないこの日。冒頭の作品紹介映像を見て「みんなで助け合ってやっていたなって思い出して」と涙目になった小林に、植田圭輔の「自分らで言うことでもないんですけど、頑張ったんだよな」、佐藤祐吾の「最初はみんなで(座長の)亮太を支えようって言ってたけど、やっていくうちに亮太に引っ張られて」と仲間がかけた言葉が、彼の涙腺を後押ししたようだった。舞台化にあたり「プレッシャーがなかったと言えば嘘になります」と心中を明かしていた小林が、原作と同じように使命を持って志を共にするみんなで本気で戦っていたことを、あの涙は物語っていたと思う。それは、印象的なシーンを映像で振り返っていく際に明かされたエピソード、錆兎 役の星璃と稽古場で「本当の師弟関係のようにシーンを作っていた」こと、鋼鐵塚 蛍を佐藤が兼役で演じていたこと、善逸登場シーンのブリッジや伊之助登場シーンのアクションはそれぞれの提案だったことなどからも伝わってきた。そして待望の新作上演の発表も行われ、植田は「あそこどうなるんだろうっていうことがありすぎて、稽古が楽しみ」と語り、猪頭をとった伊之助を映像で見ていた際「なんか顔が小さく見えません?」とつぶやいて「身体がでかいからだよ!(笑)」と総ツッコミを受けていた佐藤も「身体も初演を超えることを目指して頑張りたい」とワクワク感をにじませた。最後に小林が「より一丸となっていい物語を届けられたら」と力強く締め括り、彼の晴れやかな笑顔に、来夏出会える炭治郎がひと回り強くなっていることを予感した。

12月20日(日)>
【出演者:小林亮太(竈門炭治郎 役)、高石あかり竈門禰豆子 役)、佐藤祐吾(嘴平伊之助 役)】

禰豆子の「禰」は「ネ(しめすへん)」が正式表記となります。

2日目には高石あかりも登場。昨日と同じように初演の印象的なシーンを見ながら公演の裏話を披露していく。禰豆子冨岡義勇の殺陣シーンでは「(義勇 役)本田礼生さんと毎日毎日練習していて、正解が見つからないーって探してましたね」と高石が苦労を思い返していた。ほかにも「ヒデさま、美しい」と口を揃えた、鬼舞辻無惨佐々木喜英)と炭治郎の出会いの場面や、「動きをみんなで考えた」という矢琶羽や朱紗丸との戦い、鱗滝左近次 役の高木トモユキが兼役で演じていたという響凱との戦い、藤の家紋の家でのほのぼのとした布団シーンなどを見ながら思い出を語る。大エンディングの映像には「この花吹雪は、千秋楽に(脚本・演出の)末満(健一)さんが僕らに内緒で振らせてくれたもので。この演出、嬉しかったよね?」と小林がふたりに声をかけるも、佐藤は「花吹雪が降っていたことを後から初めて知った。(猪頭をかぶっていて)暗くてよく見えてないから、なんか肌がチクチクするなとは思ってたけど(笑)」と告白。高石も「その千秋楽で、踊ってるときに横をパッと見たら、“なんかすごい号泣してる人がいるー”って(笑)」と逆暴露。小林は「よく泣く人ってなるじゃん!」と苦笑いを浮かべた。また、前日のトークステージでは舞台で使用していた小道具として日輪刀などが紹介されたが、この日は高石の「口の形に合わせた」という禰豆子の竹轡が披露されたほか、舞台「鬼滅の刃」ビジュアルガイド(集英社刊)の写真を元に衣裳についての解説も行われた。小林が言っていた「家族のようなカンパニー」だからこそ「愛に溢れた」作品に創り上げられるのだろう。

舞台鬼滅の刃」の新作公演は、2021年夏に上演される。「伊之助は続投が発表されましたが、次回の公演に鋼鐵塚さんは出るのか、どうなるのか、楽しみにお待ちください!」との佐藤の言葉どおり、詳細発表を楽しみに待ちたい。劇中歌の歌詞や舞台写真などが掲載されたビジュアルガイドは集英社より発売中。

(c)吾峠呼世晴集英社
(c)舞台「鬼滅の刃」製作委員会2021

20日(日)には、「ヒストリー of ジャンプ×ネルケ2.5D」として、舞台版『こちら葛飾区亀有公園前派出所』や「ROCK MUSICAL BLEACH」、ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」といったネルケ制作のジャンプ関連過去作品のダイジェスト映像も配信され、「懐かしい」という声が多くチャットで上がった。画面越しからも伝わってくる、汗、熱、息遣い。目の前に“存在”しているという実感に心が踊った。
この2日間のイベントを通して、2.5次元舞台の面白さは、生身の役者が己の肉体を存分に使ってキャラクターに生命を宿らせ、衣裳、振付、殺陣、映像、照明、音楽、、、挙げきれないほどの様々な演出という人間たちの創意工夫の融合により、原作の世界を何もないステージに生み出すことにある、とあらためて思った。また、2日にわたってMCを務め上げた鎌苅健太が最後に目に浮かべた涙に、2020年に舞台人たちが感じた様々な思いを見たような気がする。来年、すべての作品の幕が開き、劇場で体感し交歓できる演劇の醍醐味をたくさんの人と分かち合えたらと願う──「エンタメの力で心をひとつに」。

この「ネルケプランニングチャンネル」の模様は、12月25日(金)18:00〜期間限定でアーカイブ配信(「僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stage 本物の英雄(ヒーロー)〜ジャンプフェスタ2021 スペシャルパフォーマンス〜を除く)されることも決定している。ここには書ききれていないオモシロトークが多々繰り広げられつつ、公演の映像も見られるので、ぜひ合わせてチェックしてみてください。

※「高崎俊吾」の「高」ははしごだか、「崎」はたつさきが正式表記
※「川崎優作」の「崎」はたつさきが正式表記
※「高石あかり」の「高」ははしごだかが正式表記

舞台「鬼滅の刃」、「ヒロステ」、演劇「ハイキュー!!」の新作上演が決定! 人気マンガのあの世界を生のステージで楽しむ。 “ジャンプフェスタ”の「ネルケプランニングチャンネル」に2.5次元舞台のキャストが大集結!!は、WHAT's IN? tokyoへ。
(WHAT's IN? tokyo)

掲載:M-ON! Press