TOKYO MX地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。12月4日(金)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、公認会計士で税理士の森井じゅんさんが“改正種苗法”について述べました。

◆育成者の権利を守り、海外流出を防ぐ「種苗法」

国内で開発されたブランド果実などの種や苗木を海外へ不正に持ち出すことを禁じる「改正種苗法」が参院本会議で可決成立。2021年4月に施行される見通しです。

種苗法とは種や苗に関する法律で、種には大きく分けて「登録品種」と「一般品種」の2つあります。前者は種を作った育成者の権利を守るために登録されたもの。一方、後者はそうではないもので、例えば在来種や固定種など。今回、問題提起したのは登録品種で、通常作物を作る生産者は種を買い、それを植えて育てますが、その収穫した作物から採れた種を再度植えていいのか、ということ。

これは「自家増殖」と呼ばれ、例外品目はあるものの基本的に問題ありませんでしたが、改正種苗法では禁止され、一律許諾制に。その目的は「育成者の権利保護強化」で、前提にあるのは「海外流出を防ぐため」であるものの、一方で農水省は「海外において品種登録を行うことが唯一の対策」と提言するなど曖昧な部分があり、森井さんはこれを解き明かすには「背景を辿る必要がある」と指摘。

というのも、国の責任で種を管理する「種子法」が廃止されると同時に「農業競争力強化支援法」で蓄積された知見やデータを、外資を含む民間企業に提供することになったのですが、「これは自己矛盾」と森井さんは疑問視。その上、今回の「改正種苗法」では育成者の権利とともに「競争力の強化」も訴求していますが、「本当にそうなるのか」と苦言を呈します。

◆農家には訴訟リスクも…改正種苗法の問題点

森井さんは過去、アメリカで同様の事例を見てきたそうで、それこそ種を買う生産者のコストが上がると消費者にも大きく影響し、さらに農家には訴訟のリスクも生まれると言います。例えば、在来種と交配した場合も既存の品種と形が似ているだけで訴えられたケースも多々あり、「多額の賠償金を払うことになり、借金漬けになった農家がたくさんいる」と森井さん。これは寡占化が進み、巨大なアグリビジネスの前には「仕方がない」としつつも、その結果「食の安全保障の問題が起こる」と警鐘を鳴らします。

そして、最後に「育成者と生産者の対立にしてはいけない」と主張。そのために必要なこととして、前述の「種子法」、「農業競争力強化支援法」、「種苗法改正」は「アグリビジネス大企業を優遇し、日本の利益を海外に流出させていくもの」と危険視し、それらを巻き戻すと同時に「育成者の権利を守るのであれば、プラスアルファで国がお金を出すべき」と提言。

さらに、2つ目には在来種に多様性がなければ、何かあったときに人間の食料がなくなってしまうと危惧し「在来種の保護・育成支援」を訴えます。

そして、3つ目に最も重要なこととして「国民全体の所得向上」を切望。例えばフルーツを買う際、知り合いと海外の農家どちらから買いたいかといえば、当然知り合いからが心情としてあるものの「みんなが貧困化しているから安いところからしか買えない」と現状を語る森井さん。「判断基準がお金でしかない。だから所得を底上げし、ちゃんと選べるように、みんながみんなの考えでお金を使えるようにならなければいけない」と力説。

とはいえ、「改正種苗法」は参議院本会議で可決成立済み。しかし、森井さんは「(日本は)民主主義の国家なので私たちで法律も変えていけるはず」と期待していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter@morning_cross

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