JRグループが、2021年3月13日に行う予定のダイヤ改正。コロナ禍を受け、全体的に大きく収縮しているのが特徴ですが、一過性のものではなく、これが今後の通常になっていく歴史的なダイヤ改正になるかもしれません。

厳しい2021年3月のダイヤ改正

JRグループが2020年12月18日(金)に発表した、今年2021年3月13日(土)に実施するダイヤ改正の内容は、コロナ禍を受け、厳しいものになっていました。

ただこれは、コロナ禍を受けた一過性のものではないかもしれません。

2021年3月のJRダイヤ改正では、利用の減少、夜間作業時間の確保を背景として、終電時間の繰り上げが広く行われるほか、新幹線在来線特急列車普通列車の減便や臨時列車化も各地で実施されます。九州新幹線では、列車本数の約1割が削減される予定です。

関連して、広島地区の「シティライナー」や福岡県篠栗線など、快速列車の削減も目立つところ。路線の運転本数を減らす場合、快速列車より各駅をカバーできる普通列車を残すほうが、路線全体としての乗車機会はまだ保てます。

ワンマン運転も、JR東日本の秋田地区や房総地区、JR西日本七尾線などで新たに導入、または拡大されます。

東北新幹線はやて」「やまびこ」で専任アテンダントによる「グランクラス」のサービス縮小、北陸新幹線の一部列車と在来線特急「いなほ」「かいじ」での車内販売終了も実施。小田急でも特急ロマンスカー車内販売が2021年3月12日(金)で終了です。

社会的に許容された減便

新型車両の導入や接続の向上、増発といった例もあるほか、JR東海関係では特に減便の発表はありませんが、2021年3月13日(土)のJRダイヤ改正は、全体的に見ると大きく収縮しているのが特徴です。

JR西日本長谷川一明社長が、10年後に想定していた未来がコロナで突然現れたと語ったように、元々、今後の人口減少社会が日本の鉄道が抱える課題として存在しており(乗客減少という意味でも鉄道会社の人員確保という意味でも)、収縮の動きが起こっていました。ワンマン化や車内販売の縮小は、近年の全体的な傾向です。

しかし、特に減便や終電の繰り上げは、沿線や利用者にとって明確な利便性の低下になるため、したくても容易にできることではありません。しかしそれが「コロナ禍」の発生によって社会的に許容される形になり、2021年3月13日(土)のダイヤ改正で一気に収縮が進行します。JRだけでなく、私鉄各社でも進行します。

JR西日本長谷川社長も、JR東日本の深沢祐二社長も、コロナ禍で減った乗客が元に戻ることはないだろうという認識を示しています。今回のダイヤ改正は、一過性ではなく、その収縮した形が新しい日常、「ニューノーマル」になる可能性も高いでしょう。(インバウンドや観光動向に左右される新幹線特急列車は戻ることもありそうですが)。

全国的に特急列車網が構築された1961(昭和36)年10月の国鉄ダイヤ改正を「サンロクトオ」、ストライキや輸送実績の減少、運賃の値上げなどによる状況の悪化を受け1978(昭和53)年10月に行われた国鉄ダイヤ改正を「ゴーサントオ」など、歴史的なダイヤ改正には呼称があったりしますが、2021(令和3)年3月のJRダイヤ改正も「レイサンサン」としてもいいような、歴史的な転換点になるダイヤ改正になりそうです。

JR東日本の首都圏エリアで終電が繰り上げられる区間(画像:JR東日本)。