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電動化シフトが加速するなかで量産へ

text:Kenji Momota(桃田健史
editor:Taro Ueno(上野太朗)

2021年もウィズ・コロナが続くことが確実視されるなか、クルマ業界では注目の新型モデルが次々と登場する。その中から、世間の注目度と期待度が高いモデルをピックアップし、登場の背景を探ってみたい。

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最初は、日産のクロスオーバーEVのアリアだ。発売時期について、日産は2021年中頃としている。同社の内田誠社長が決算報告会など、これまで何度も強調してように、日産を旧ゴーン体制を刷新して再スタートするためには、アリアの失敗は絶対に許されない。

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日産アリア    日産

モノとしては、新車発表の約1年前となる2020年7月15日の発表時点で、日本仕様の主要諸元を明確に公開している。全長4595mm×全幅1850mm×全高1655mm。駆動方式は前輪駆動とe-4ORCEと呼ばれる四輪駆動バッテリーサイズは65kWhと90kWhの2種類。

気になる価格は、「お客さまの実質購入価格」として500万円からという表現。国や地方自治体の購入補助金を見込んだことであり、新車価格は前輪駆動65kWhで500万円台後半、e-4ORCE 90kWhは+150万円程度ではないだろうか。

ライバルだが、少し前までなら、テスラのモデルS/X、さらにモデル3あたりだったが、メルセデス・ベンツEQ、アウディeトロン、また日本での発売は当面ないフォード・マスタングマッハEなど、競争は激しさを増している。

カローラもクロス化 クラウンも影響

アリアのような電動車という括りでは、マツダMX-30 EVが2020年夏の欧州発売に次いで、2021年初頭から日本仕様が発売される。

こちらは、ホンダeと同様に、欧州市場でのCO2規制を念頭に置いて開発されたモデルであり、日本市場では限られた航続距離の中で、プレミアム性を強調したファッションアイテムとして訴求が進むだろう。そのため、価格差だけではなく、アリアとの明確なライバルという位置付けにはならない。

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トヨタ・カローラ・クロス    トヨタ

日本では2030年代に向けて、政府方針として電動化シフトを明確にしていくが、日本市場での電動化は、これまでどおり、トヨタハイブリッド車を軸足として、プラグインハイブリッド車が徐々に広まるという流れが継続される可能性が高い。そうした中で進むのが、トヨタの「クロス(オーバー)化」戦略である。

このトレンドは2019年のトヨタのRAVとライズから本格化し、2020年に入ってハリアーヤリス・クロスが登場となったが、真打ちはこれから登場する。2021年の目玉は、カローラ・クロスだ。2020年7月にタイで先行発売し「今後、順次、導入国を拡大」としており、そのうちの1つが日本だ。

世界戦略車カローラのクロス化は、クラウンの世界戦略化、つまりクラウン・クロス誕生の布石となるかもしれない。

オフロード系の正常進化SUV 3モデル

新顔の登場が目立つなか、満を持して正常進化するSUV3モデルがある。

まずは、ランクル(300系)だ。時計の針を少し戻すと、現行(200系)が登場した2007年、富士山麓で開催された報道陣向け試乗会のことを、つい最近の出来事だったかのように思い出す。これだけの大柄なボディで、オフロードでのかなり急こう配な上りと下り、さらにかなり急なクランクコーナーをズシズシと進む様に驚いた。

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トヨタ・ランドクルーザー    トヨタ

油圧でスタビを連結を制御するKDSSの効果を思い知った。また、トヨタがイチオシだったのが、いまでは当たり前になった自動運転のような超スロー走行のクロールコントロールだった。こうした200系の走行性能が300系ではいったいどこまで進化しているのか、いまから期待が高まる。

各方面から聞こえてくる噂では、エンジンの排気量ダウンサイジング+ハイブリッド化となりそうだが、V8とは若干違う重要配分が過酷な走路での走行性能にどう影響しているのだろうか?

電動化オフローダーとしては、日産エクストレイルの正常進化も確定している。北米でローグとして既に登場しているが、日本仕様で「噂通り」eパワー搭載モデルがあれば、主力グレードとなることは間違いない。

eパワーは2020年12月発売の新型ノートから第二世代へと刷新されている。

エクストレイル/アウトランダーPHEVもう少し先

さらに気になるのが、エクストレイルPHEVだ。新型ノートの先行取材会で、日産関係者はその存在を否定しなかった。

むろん、PHEVの技術は三菱の研究開発との連携がある。その三菱からも2021年2月には3代目アウトランダーが登場が確定したが、PHEVのみならず、エクストレイルとの共用性がどこまであるのか、もうじきその全容が明らかになる。

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日産エクストレイル

なお、三菱の新車ロードマップでは、アウトランダーPHEV登場は2022年度としている。日産と三菱の共同採用での量産効果により、PHEVでのリーズナブルな価格設定を期待したい。

さらに、乗用車とは別領域でも、2021年は様々な動きがある。7月の東京オリンピックパラリンピックを念頭に、トヨタの小型自動運転車「eパレット」(2020年12月量産車公開)や、超小型モビリティ、さらに歩行領域EVと呼ばれる1人乗りの各種EVが社会実証から社会実装へと移る。

クルマの電動化や知能化が、クルマと社会との新しい関係を築く。このように、2021年の日本市場は電動化シフトとSUVシフトが軸足となるだろう。そうした中で、ユーザーは新時代に向けた様々な新しいトレンドを肌感覚でとらえることできる年になりそうだ。


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