JR東海道線の「湘南ライナー」が廃止され、新たに特急「湘南」が登場。「踊り子」も車両がE257系に統一され、新たな着席サービスと料金が導入されます。料金体系は従来のライナー料金から、どう変わるのでしょうか。

特急「踊り子」「湘南」は新料金に

2021年春、首都圏と伊豆を結ぶJR東海道線の特急「踊り子」が変わります。

車両は185系電車が定期運用から退き、E257系電車に統一。現在、185系215系で運行中の「湘南ライナー」「おはようライナー新宿」「ホームライナー小田原」(以下、ライナー)は廃止され、新たにE257系による通勤客向けの特急「湘南」が東京・新宿~小田原間に登場する予定です。

車両や列車とともに変わるのが「着席サービス」です。現在の特急「踊り子」は大多数のJR特急と同様、普通車指定席、普通車自由席グリーン車指定席の3種類が設定されていますが、このうち普通車は全て指定席に変わります。

しかし全車指定席だと、「席は乗ったときに選びたい」「その日に特急で帰るけど、用事がいつ終わるか分からないから列車を決められない」といった人は困ってしまいます。そのため、座席を指定しない特急券「座席未指定券」も登場。値段は指定席特急券と同額ですが、座席の指定はなく、指定席の空席に座ることになります。

ちなみにこの新しい着席サービスは、すでに中央線の特急「あずさ」「かいじ」や常磐線の特急「ひたち」「ときわ」、高崎線の「スワローあかぎ」などに導入されています。料金体系も、指定席と自由席に分けている従来のものとは別の、「新しい着席サービス」用のものです。

東海道線でもライナーが廃止され、新しい着席サービスの特急「踊り子」「湘南」が登場することになりますが、料金は結局上がるのでしょうか。下がるのでしょうか。

現在の自由席より高くはなるが…

結論を簡単にいうと、ライナー利用者にとっては、新登場の特急「湘南」のどの区間を利用しても現在の520円から上がります。しかし、特急どうしの比較だと、現行の自由席より高く、指定席より安くなります。

ライナーは座席定員制で料金は一律520円です。これが、「湘南ライナー」に代わる特急「湘南」の場合、営業キロが50キロだと760円、100キロまでだと倍近い1020円……といった形に変わります。実際の区間に当てはめると、東京~大船間は760円ですが、1駅長い東京~藤沢間や、それ以上の新宿~小田原間などは1020円。座れても座れなくても値段は同じです。また、普通車の特急券を車内で購入すると、さらに260円高い「車内料金」が請求されます。

ただし特急料金は、期間限定の「えきねっとチケットレスサービス」スタート記念キャンペーンを利用すると、2021年9月30日までの申し込み分は300円引きに。50キロ以下の利用の場合、期間限定ですが460円となり、ライナーの520円より安くなります。キャンペーン後の10月以降だと100円引きです。

一方、特急「踊り子」の場合、新料金の指定席は安くなります。例えば東京~熱海間は1890円(通常期。以下同じ)から1580円(事前料金。以下同じ)に、東京~伊豆急下田間は2410円から2100円にそれぞれ下がります。しかし自由席ユーザーにとっては70円から340円、値上がりします。

ちなみに今回の新サービス導入に合わせて、「踊り子」が乗り入れる伊豆箱根鉄道駿豆線(三島~修善寺)でも変化が生じます。1981(昭和56)年10月の乗り入れ開始以来、40年にわたり駿豆線内は特急料金が設定されてきませんでしたが、今回の新サービス導入にあわせて、線内一律200円(子ども100円)の特急料金が設定されることになりました。ただしこれを含めても東京~修善寺間の場合1780円ですから、現行の1970円と比べて190円安くなっています。

なお、特急「踊り子」も「えきねっとチケットレスサービス」スタート記念キャンペーンが適用されます。2021年9月30日までの申し込み分は300円引きです。

グリーン車はこれまでと同様、座席の指定を受けて利用する形態です。プレミアムグリーンとグリーン車からなる特急「サフィール踊り子」も変更はありません。

185系特急「踊り子」と並ぶE257系2000番台(2020年3月、伊藤真悟撮影)。