東京メトロの駅ホームには、「無」とだけ表示されるものや、「0:20」など何かの時間を表す表示灯があります。これらは何を表しているのでしょうか。特に後者は電車が着いてから加算されていきますが、「裏の顔」もあります。

ただ「無」だけが表示される機械

東京メトロの駅のホームに、「無」とだけ表示される表示灯があります。また、そのすぐ近くのには、刻一刻と変わる「0:20」「0:25」といった表示が。これは何を表しているのでしょうか。

東京メトロによると、「無」の表示は「車掌業務を補助する駅スタッフがいない」ことを表すものだそうです。

東京メトロではラッシュ時を中心に、駅のスタッフが利用客の安全確保のほか、乗り降りの際に車掌が行うホームの安全確認や扉閉め確認の補助を行うことがあります。

車掌は普段、ホームに設置された監視モニターと目視でホームの安全確認を行い、扉閉め確認は車両の側面についたランプの消灯を見て行っています。駅スタッフが配置されている場合は、そのスタッフからの合図も確認する必要があります。

この駅スタッフの配置は駅によってまちまちで、ホームがカーブし見通しの悪い駅や、利用客の多い駅、ホームが狭い駅など、それぞれの条件と時間帯によって臨機応変に対応しています。そのため、駅に着くごとに車掌が確認方法を把握しやすくするため、「無」の表示灯が設置されているのです。

ただ時間だけが表示される機械

時間がカウントされていく表示は、「電車がホームに到着してからの時間」を示すものであり、構内放送とともに、電車の進入を感知して表示がスタートし、加算されていくそうです。

ただ本来、車掌がドアの開閉を行ううえで参考とするのは、あくまで携帯する「乗務行路表」に書かれた、あらかじめ秒単位で指定された時刻です。東京メトロによると、普段のカウントアップの表示はあくまで参考程度であるといいます。この表示灯が能力を発揮するのは、逆に「カウントダウンする時」とのこと。どういうことなのでしょうか。

表示灯が「カウントダウン」するのは、列車に遅延やダイヤの大幅な乱れが発生した時です。電車が数珠つなぎでやって来てしまうと、最初の列車は満員になるものの、直後に来た列車にはあまり乗客がいない、といった弊害が生じてしまいます。それを防ぐため、駅で十分な停車時間を設けるなどして列車の間隔調整を行うことがあり、その発車目安を指示するのが、カウントダウンの表示です。

このカウントダウン表示、最初は分単位の表示ですが、2分を切ると「120」となり、秒単位の表示になります。この発車目安は列車の運行を統括する総合指令所から送られてきます。東京メトロによると、導入当初はコンピューターが自動的に運転間隔を調整していたところ、現場状況に沿ってより柔軟に対応する必要があったことから、機器更新時に指令所の判断が反映できるように変更したそうです。

「無」とだけ表示されるLED表示灯(乗りものニュース編集部撮影)。