沖縄本島からさらに約350km東に位置する南大東島と北大東島では、乗客の乗り降りに際し、クレーンでゴンドラを吊り上げ、それで港と船を結ぶというアトラクションさながらの方法が取られます。その様子を実際に見てきました。

荷物をクレーンでやり取りするなら人も同じ方法で

沖縄県に位置しながら、沖縄本島からさらに約350km東に位置する「南大東島」、およびそこから約10km北にある「北大東島」には、アトラクションさながらのダイナミックな入島方法が存在します。

沖縄本島と、南北の大東島を結ぶフェリーを運航する大東海運(那覇市)が実施するもので、「人を大きな箱のようなゴンドラ(搬器)に載せて、そのゴンドラをクレーンで吊り上げて陸地と船のあいだを移送することで、乗客がフェリーから乗り降りする」という方法です。

大東海運によると、2島とも断崖絶壁に囲まれているため、フェリーが接岸できる船着き場を設けることが難しいことから、このような方法をとっているとのこと。ただし、那覇港と南北大東島のあいだを1航海4日かけて往復することから、各港を出航するのはおよそ5日に1回の頻度とも。つまり、南大東島、北大東島という離島で、かつ数日に一度しか見られない光景です。

2020年12月、その様子を南大東島で見てきました。

フェリー入港の様子をレポ 一瞬すぎる「ゴンドラ入島」

南大東島にはいくつもの港がありますが、このフェリーが発着するのは、島内の繁華街から2.5kmほど離れた「西港」。この日は、フェリーが北大東島から午前9時に到着し、午後に那覇へ向け出航する予定とのこと。荷役の準備は入港の1時間前、午前8時ごろから始まりました。

船が港に近づいたのは、午前8時50分を回ったころ。そこから10分くらいかけ、フェリーをロープで固定します。

クレーンに吊られたゴンドラがフェリーに向かうため、地面を離れたのは、ちょうど9時10分ごろ。ここからはまさに一瞬の出来事でした。そこから1分程度で上空に吊られたゴンドラがフェリーに「到着」。その後すぐに乗客6人がゴンドラに乗り込んだのが9時12分ごろで、そこから陸に向けゴンドラがフェリーから離れます。乗客を乗せたままゴンドラは宙を舞い、一瞬で陸に到着。乗客が宙に浮いている時間はわずか30秒ほどでした。

乗客を“ダイナミック”に入島させたクレーンは、今度は自動車やコンテナなどを次々に吊り上げ、港へ運び入れていました。

南大東島におけるフェリーからの「クレーン上陸」の様子(乗りものニュース編集部撮影)。