OSK日本歌劇団(以下、OSK)のトップスター、桐生麻耶のラストステージとなる公演『レビュー春のおどり』が1月28日(木)より大阪松竹座で幕を開ける。

レビューの第一部は尾上流四代目家元の尾上菊之丞が構成・演出・振付を手がける『ツクヨミthe moon〜』。月をテーマに、飛鳥時代戦国時代江戸時代と3つの時代を巡り、時代ごとに桐生は蘇我入鹿伊達政宗、堀部安兵衛に扮する。そして戦国時代では阿国に扮した次期トップスターの楊琳と踊り比べも披露する。

第二部は宝塚歌劇団出身の荻田浩一作・演出によるレビュー『Victoria!』を上演。「トルコ行進曲」や「ウィリアムテル序曲」などの行進曲でダンスを披露。デュエットダンスやラインダンス、ボリウッド風の群舞など、まさに「ダンスのOSK」と讃えられる真骨頂を発揮する。

本公演は2020年4月に上演を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、中止に。先日、大阪市内で開かれた開催発表会見で桐生は、再び開催できる喜びを語った。

桐生麻耶

桐生麻耶

「『春のおどり』は年に1回のとても貴重な時間。お客様に「OSKを選んでよかった」と言ってもらえるように、そしてこの選択肢は間違っていなかったんだと思える舞台を届けたいです」と桐生。

演目については、「第一部では、蘇我入鹿の場面はどこか悲しみを伝えたい。伊達政宗の場面では楽しさを届けられれば。OSKらしさが出る総踊りの場面もあるので、運動会のような勢いでやりたいと思います。堀部安兵衛では、優しさを届けることができればと思っています。そして第二部はオーソドックスなショーから始まり、その後はコミカルな場面やシリアスな場面も詰め込まれているので、場面ごとの役割をお届けできたらいいなと思います」と語った。

また、第二部のラインダンスは必見と話す。「本当に素敵で、稽古で何回見ても飽きません。ラインダンスをはじめ、盛りだくさんのレビューショーになっているので、楽しみにしていただけたらと思います」と誘う。また、個人的に好きな場面を尋ねると「ラインダンスへとつながる導入で、応援団みたいな振りの場面があるのですが、そこが楽しいです」と笑顔を見せる。

フィナーレ前に男役に囲まれて歌う場面も取り上げ「これがとても難しい歌で、どう歌い上げていくか、活動自粛期間に楽譜と格闘して、歌詞にどういうメッセージがあるのか探りました。普段は歌詞の奥にある意味を考える時間があまりないので……」と、活動自粛の日々を振り返った。

桐生麻耶

桐生麻耶

男役スター勇退後は、OSKの特別専科に進む。「トップスターという立場になって専科に進む意識が芽生えました。舞台は終わりがないと思い、許されるのであれば今後も続けて、もう少し先に行ってみたい。進んだ先では、「まじめにふざける役」を演じて、劇場にいらしてくださったお客様に喜怒哀楽をフルに出してもらうということを目指したいなと思います」と新たな決断をした理由を語った。

1922年4月に松竹楽劇部として創設されたOSK。2022年には100周年を迎える。「続けていくためには、劇団員一人一人のスキルが更に上がらなければいけないと思いますし、与えてもらった場面をもっと考えて、作り上げる力も持たなければ。守らなければいけないものを守りつつ、今の時代に対応できる力を持つことも必要だと思います。でも何よりも大切なものは情熱ではないでしょうか。情熱だけでは続かないというのも重々わかりますが、私たちはとにかく情熱をもって芸事と向き合うことが大切だと思います」と力強い眼差しで未来を見据えた。

取材・文・撮影=Iwamoto.K

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