ブンデスリーガ第15節が9日に行われ、ホッフェンハイムを4-0で下したシャルケがついに今季初白星を挙げた。同試合でハットトリックを達成したシャルケのアメリカ人FWマシュー・ホッペについて、リーグの公式サイトが特集で紹介している。

◆■大不振シャルケのヒーローに

 昨季後半から不振が続いていたシャルケは、開幕2試合でデイヴィッドワグナー元監督を解任し、後任のマヌエル・バウム元監督も昨年12月18日に解任。2020年内はフーブ・ステフェンス氏が暫定で指揮をとり、昨年末からスイス人のクリスティアン・グロス監督を迎えていた。

 グロス監督の2試合目となったホッフェンハイム戦で、ホッペは42分にループシュートを沈めてプロ初得点をマークする。57分にはスルーパスに抜け出し、飛び出してきた相手GKを冷静にかわして2点目をゲット。63分には再び相手DFの背後をとり、ループ気味のシュートでネットを揺らしてハットトリックを達成した。シャルケはさらに、ホッペの3得点すべてをアシストしたモロッコ代表MFアミーヌ・アリが80分にダメ押しの4点目を獲得した。

 シャルケは昨年1月17日に行われた2019-20ブンデスリーガ第18節のボルシアMG戦以来、31試合ぶりにリーグ戦で勝ち点「3」を獲得。また、タスマニア・ベルリン(※1973年解散、後継クラブは現在5部)が1965-66シーズンに記録した、「リーグ戦31試合連続未勝利」の不名誉なブンデスリーガ記録に並ぶことを回避した。

◆■バルセロナアカデミーで才能が開花

 ホッペは2001年3月13日カリフォルニア州南部オレンジ郡のヨーバリンダで生まれた。2011年にゴールデン・ステート・フォースの下部組織に入団し、ロサンゼルスギャラクシーカリフォルニア・ユナイテッドストライカーズアカデミーにも在籍。2017年から2019年にかけては、スペインの名門バルセロナと提携を結んでいるアリゾナ州の『バルサ・レジデンシー・アカデミー』に在籍していた。

 2017-18シーズンはU-17カテゴリーの30試合に出場し、24得点を記録。2018-19シーズンのリーグ戦『デベロップメント・アカデミー・サウスウェスト・ディヴィジョン』では23試合の出場で29ゴールを挙げ、バルサアカデミーの優勝に貢献した。驚くべきことに、ストライカーとして本格的にプレーし始めたのはこの頃からだったという。

◆■シャルケ移籍とデビュー

 ホッペはサンディエゴ州立大学に進学したが、アメリカ代表MFウェストン・マケニー(現ユヴェントス)も所属していたシャルケからオファーが届くと、2019年7月に契約を交わして渡独。まずはU-19チームでプレーし、今季からは4部のシャルケⅡに昇格し、昨年11月からトップチームに帯同するようになる。そして、同月末に行われたブンデスリーガ第9節ボルシアMG戦でスタメンに名を連ね、プロデビューを果たした。

 第10節レヴァークーゼン戦と第12節フライブルク戦は途中出場、第11節アウクスブルク戦は出番なしに終わった。だが、グロス監督の初陣となった前節ヘルタ・ベルリン戦でスタメンに復帰。2戦連続の先発出場となったホッフェンハイム戦で一躍、世界にその名が知れ渡った。

◆■そのプレースタイルは“レヴィー”を彷彿⁉︎

 ブンデスリーガは、191センチメートルの大型ストライカーであるホッペのプレースタイルについて、今季もリーグ得点王争いをリードするポーランド代表FWロベルト・レヴァンドフスキバイエルン)に近いと紹介している。

「ホッペは確かに、バイエルンの“ヒットマン”と同じレベルに達するにはまだまだ長い道のりが待っている。それでも、そのために必要な基本的な要素はすべて備えている。背が高く、しなやかで、体格も良い。絶妙なタイミングでマーカーを外し、ペナルティエリア内にスペースを作り、巧みな動きを見せている」

「主に右利きだが、左足、頭、ボックス外からの得点も可能だ。この10代の才能は2020年11月に初めてファーストチームのトレーニングに招集され、プロの選手たちと肩を並べる時間を過ごしたことで、すでにレヴィーのような飛躍的な成長を遂げている」

シャルケの新星ホッペ [写真]=Getty Images