中国では、近年の経済発展に伴い旅行が人々の日常生活の一部となった。特に最近では新型コロナウイルスの影響で海外旅行へ行けないため、国内旅行をする人が増えており、交通手段として多くの人が高速鉄道を利用しているようだが、いまだに昔ながらの寝台列車にも根強い需要があるという。

 中国メディアの百家号は7日、一部の旅行客が高速鉄道ではなくあえて寝台列車を選ぶ理由について分析する記事を掲載した。速度から言えば高速鉄道を選ぶべきなのに、それでも寝台列車を選ぶのには3つの理由があると分析している。

 記事が挙げた1つ目の理由は「快適性」を考慮してのことだ。高速鉄道は運行速度が速いとはいえ、何時間も座席に座ったままでいるのはあまり快適ではないと指摘。特に高齢者にとっては、寝台列車のように寝ていれば目的地に着く方が快適なのだという。

 2つ目の理由は「運賃」の違いだ。当然のことながら、高速鉄道は価格設定が高めであり、この点で寝台列車は遅いとはいえ運賃が安いので、お得に移動できるからだと説明した。

 3つ目は「高速鉄道の普及率」と関係があると分析。今ではすべての省に高速鉄道網が拡充されたとはいえ、比較的小さな都市では寝台列車なら通っていても、高速鉄道駅はまだないところも多いからだという。また、高速鉄道があっても駅が郊外にあって不便なため、市街地に駅がある寝台列車を好む人も多いとしている。

 高速鉄道の普及で、一昔前と比べると寝台列車はずいぶんと減ったが、こうした需要がある限りは中国で寝台列車が完全になくなることはなさそうだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

高速鉄道が普及した中国、今も鈍行の「寝台列車」を利用する人が多い理由