消防署は緊急事態に備えて24時間体制が基本だ。しかし南アフリカのある男性は火災に見舞われて近所の消防署へ向かったが、警備員に「閉まっている」と言われてしまった。その結果、高級車2台が燃え尽きてしまったという。『News24』などが伝えている。

南アフリカヨハネスブルグに住むアナンド・ムードリアさん(Anand Moodliar)は1月8日の早朝3時40分、ガレージの上の階に住んでいるお手伝いの女性から「燃えているニオイがする」と電話がかかってきた。ムードリアさんが監視カメラを確認すると、確かにガレージの方向から煙が出ていた。彼は急いでガレージに向かったがすでに煙に包まれており、すぐに消火器を用意した。さらに手元にあったホースパイプも持ち出したが、その頃には消火が難しいほど炎が大きくなっていた。

同時に家族が消防署の緊急番号へ通報したが、消防車がやってくる様子がなかったことから何度も電話をかけるもサイレンが聞こえる気配が全くなかった。業を煮やした男性は、2キロ先に消防署があることを思い出した。しかしたどり着いた消防署で、そこにいた警備員から「消防署は閉まっているよ」と言われてしまったのだ。

焦ったであろうムードリアさんだったが、かつて別の消防署を見かけたことを思い出し、そちらに向かうことにした。4時8分、ムードリアさんはたどり着いた消防署のドアを叩き、火事であることを叫んだ。中にいた消防隊員は速やかに準備をしているかと思いきやそうではなかったようで、結局4時28分に現場に到着した。消火の様子は動画で伝えられたが、炎の勢いに比較して消防隊員に緊迫感はなく、放水の勢いも全くない。最終的に鎮火したものの、ガレージにあったポルシェランドローバーの高級車2台は灰と化してしまった。

ムードリアさんの家族や住み込みの従業員も怪我がなかったのは幸いだったが、火事という命に関わるような緊急事態に対処できていない状況はおかしいとムードリアさんは指摘する。「もし家に誰か閉じ込められていたらどうしてくれるんだ」とムードリアさんは怒りがおさまらない。

この件でヨハネスブルグ救急サービスは、警備員が「消防署が閉まっている」というあり得ない言葉を発したことについて調査を進めるという。またヨハネスブルグでは十分な消防車を保有していないのが現状で、消防車の追加手続きをしているが非常に時間がかかっているそうだ。一方で今回の場合、「閉まっていると言われても消防署の中に入り、消防隊に助けを求めるべきだった」と同救急サービスは述べている。

さらに問題は、通報に応答しないサービスにもある。ムードリアさんと家族は火災発生後、3時48分から4時17分のおよそ30分で10回も電話をかけたが、まったく来る気配がなかった。火災発生時はロックダウンの外出禁止時間帯であり、渋滞に巻き込まれるはずもないのだが、サイレンの音は全く聞こえなかったそうだ。

画像は『News24 2021年1月10日付「WATCH | Joburg man horrified to find fire station closed as his Porsche, Land Rover burn」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN

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