
※本稿は、成毛眞『アフターコロナの生存戦略』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■SNSが発達しても情報の非対称は改善されていない
よく、SNSの発達によってかつては闇に葬られていた事実が明るみに出るようになったという人がいる。しかし、それはごく一部で、実際にはSNSを巧みに利用することで、隠されている事実のほうが多いのではないだろうか。
SNSの欠点は、消費者、一般大衆の話しか出てこないことだ。そして、消費者が消費者の話を聞いて納得しているだけで、そこには専門家の視点が欠如することになる。
いくらSNSが発達したからといって、情報の非対称性は改善されていないのだ。ある意味で、プロが意図的に素人を騙すこともできるので、安易に信用してはいけない。だからこそ、顔の見える付き合いのできる専門家とつながっていることが重要になるというわけだ。
知り合いも多いので気がひけるが、もはやメディアの人の多くも素人になってしまっている。スポーツ紙などが顕著な例で、「こたつ記事」というのが横行しているらしい。記者といえば、夜討ち朝駆けで徹底的にネタと向き合うイメージを持っている人はもう古い。
■素人の素人による素人のためのニュース
最近の記者というのは、テレビでスポーツ中継を見たり、テレビでコメンテーターがコメントしているのを見たりして、記事を書くというのだ。こたつに入りながら書くものだから、業界では「こたつ記事」というらしい。しかも、ネット上ではそうした記事がサイト全体のアクセス数の半分を占めていたりするというから世も末だ。
そうした場合、もしコメンテーターが専門家だったらまだいいけれど、専門家の顔をした素人がコメンテーターを務めている場合はどうなるだろうか。
結果、素人が言ったことを、素人のライター(もはや記者ではない)がまとめて、それを素人が見て、納得しているという、素人の素人による素人のためのニュースが日々流れているわけで、フェイクニュースが横行するのも無理はないというのが、メディアの現状なのだ。
■10人中2人が知っている情報に価値はない
私が情報の価値を測るときに、指標としているのは、先述したように、顔の見える専門家から直接聞くことに加え、10人のうち2人以上がその情報を知っているかどうかを意識している。
もし10人のうち1人しか知らない情報であれば、その情報は極めて価値が高いといえるからだ。もし、10人のうち2人以上が「ああ、あれね」というのであれば、残念ながらその情報に価値はない。
出版なども同じ。誰もが知っているようなことはノンフィクション作品には絶対にならない。誰も知らないからこそ、ノンフィクションとして成立するのだ。
眉唾な情報か、新情報かを見分けるのは人脈と経験、といってしまえばそれまでだが、やはりある程度の知識量は必要だろう。また、一次情報を得るのが難しい場合は、情報の出どころ、どこの新聞の報道か、どんな出版社の出版物か、なんというテレビ番組のネタかといったことにも注意を払いたい。
■立派な人の発言にこそ予防線を張れ
同じように、書き手や発言者が誰かも重要だ。やはり、なかにはあまり信用のおけない新聞社というのはあるし、NHKでさえ、間違ってはいないが、物事の30%くらいしかとらえていない番組づくりになっていることはよくある。あの『NHKスペシャル』でさえ、真に受けて見ていいのは半分くらいではないだろうか?
また、人物という意味では、○○の第一人者とか○○大学教授とか○○賞受賞者の発言も懐疑的に聞いたほうがいい。本当に専門分野の話をしているのか、自分の利益になるようなポジショントークをしていないかという点はしっかりと確認したい。
彼らにも同情の余地があって、毎日何十人もの人から「先生!」「先生!」といわれ、それが10年くらい続いたら誰だって「俺、けっこう偉いな」と思ってしまうものだ。立派な人ほどそういうリスクがあるため、視聴者側で予防線を張っておくにこしたことはない。
■「逃げ足の速さ」は重要スキル
フェイクニュースと同様、相手が人間でも用心が必要な場合がある。これは天性のスキルという側面もあるが、「逃げ足の速さ」は、これからの時代、ますます重要なスキルとなっていくだろう。
私が大学生のころから、被害額は大したことはないものの、車の部品を売るというようなマルチまがいのビジネスに巻き込まれている同級生がいた。
好きで入っているならいいのだが、有料のコミュニティなども、私からすると昭和の匂いがする。これは好き嫌いの問題でもあるので、個別のアドバイスは難しいが、「ちょっとどうかな」と違和感をもったなら、すぐに逃げたほうがいい。
コツはよくよく匂いを嗅ぐまでもなく、すぐに逃げることだ。敏感な人でも、逃げるまでには時間がかかるし、鈍感な人になると、10回くらい変だな、変だな、と思っても逃げない。
これは人付き合いも一緒で、たとえばある会合があって、私と知人2人、そして知らない方が1人いたとして、「あっ、変だな」と思ったら、私はすぐにお腹を壊すことにしている。
開始早々、「あっ、ちょっと最近、お腹が弱くて、下痢気味なんだよね」といって、お先に失礼するのだ。あとあと、その人と飲んでいたというだけでも困るような事態になるのを避けたいのと、そもそも一緒に飲んでも楽しくないからだ。
■「合う・合わない」の感覚を大切にしろ
一事が万事こういう調子だから、仕事でも逃げる。先日、フェイスブックにも書いたが、マイクロソフト時代、ある証券会社の偉い人があまりに横柄だから、すぐにお腹が痛くなって逃げた。当時の人に聞いてもらうとわかるが、私の仮病は有名だった。
実は仕事というのは、好き嫌いが大切だったりする。たとえば、一緒に本をつくるとして、どんなに名文を書くライターや凄腕の編集者だったとしても、どんなによい本になりそうだとしても、好きになれない相手だと最終的には納得するのが難しい。合わないものは合わないからだ。
もちろん、仕事や立場によっては、すぐに逃げられないこともあるだろう。たまに、取引先のことが好きになれないとか言って悩む人がいるが、いちいち取引先のことを好きになっていたら身がもたない。
だからこそ、「合う・合わない」が大きいということは、知っておいて損はない。「合う・合わない」という世界があることを知っていると、気持ちが楽になるし、逃げるべきときに逃げられるようになる。
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HONZ代表
1955年、北海道生まれ。中央大学商学部卒業。自動車部品メーカー、アスキーなどを経て、1986年、日本マイクロソフト入社。1991年、同社代表取締役社長就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社インスパイア設立。2010年、書評サイト「HONZ」を開設、代表を務める。
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