真っ黒なブラックエディションが追加
高級感のある大型SUVの人気は堅調で、各メーカーがラインナップに据えている。数ある中でも、フォルクスワーゲン・トゥアレグは最も人目を引かないモデルといえるだろう。
そんなトゥアレグに、ブラックエディションが追加された。大雑把にいえば、Rライン仕様を、デザインコンシャスにしたグレードとなる。
ブラックも指定できる21インチのアルミホイールを履き、ルーフレールやリアディフューザー、ドアミラー、サイドウインドウ・モール、フロントグリル、ヘッドライト・ガーニッシュなどがブラックで統一される。通常はクロームメッキだったり、ボディ色だったりする。
もちろん、ボディ塗装をブラックで仕立てることもできる。これらすべてをコーディネートすれば、とても真っ黒なトゥアレグが完成する。今回の試乗車のように。
英国のテレビ広告で、フォルクスワーゲンはアクティブ・セーフティがテーマの内容を展開している。真っ黒なトゥアレグの場合、暗い夜道や光の具合では発見が難しくなるわけで、皮肉に思えてしまった。
このブラックエディションで選べるエンジンは、2種類。最高出力231psと286psの設定が与えられた3.0LのV6ターボディーゼル、TDIと、339psを発揮する3.0LのV6ターボガソリンとなる。今回の試乗車は、286psのTDIだった。
選べない装備はないほどオプションは充実
プラグイン・ハイブリッド(PHEV)版のトゥアレグRも、2021年中には追加予定。ちなみに現在、トゥアレグは日本へ正規導入されていない。
ブラックエディションを選択すると、アダプティブダンパーと車高調整できるエアサスペンションが標準で付いてくる。トゥアレグ共通で、センターデフをベースとする四輪駆動システムに、8速ATが組み合わされる。
トゥアレグにはほかにも、LEDマトリックス・アクティブヘッドライトにパノラマサンルーフ、フルゾーン・エアコン、ウィーン・レザー内装などを標準装備する。360度カメラ映像を用いて、クルマの外から俯瞰して眺めるように駐車もできる。
オプションも多彩。ディナウディオ社製のオーディオにヘッドアップ・ディスプレイ、ナイトビジョン・カメラ、四輪操舵システムなどを装備した結果、試乗車は7万ポンド(980万円)を超えていた。それでも、追加できるオプションはまだ残っていたようだ。
マッサージ機能の付いたレザーシートに90Lの大容量燃料タンク、アクティブ・アンチロールバーなど、ほかの高級SUVで選べて、トゥアレグで選べない装備は存在しないかもしれない。
「ベントレー・ベンテイガやポルシェ・カイエンで装備できるものは、トゥアレグでも装備できます。フォルクスワーゲン・グループですから」。と目を輝かせる、フォルクスワーゲンのディレクターを想像してしまう。
華やかさは控えめでもソリッドなインテリア
フォルクスワーゲン・トゥアレグは、レンジローバー・スポーツやアウディQ7などと同等の能力を備えた、匿名性の高い選択肢だといえる。実際、充実装備のブラックエディションは、そんな存在が目指されている。
大型SUVを欲しいと考えるユーザーの中には、控えめなトゥアレグが良いと考える人もいるだろう。あえて黒いホイールやルーフレールを指定するかどうかは、わからないが。
全長は4878mmもあるから車内はとても広く、体格のいい大人でも4名が快適に過ごせる。リアシートは、小柄な人なら3名掛けでも問題ない。ただし、7シーターは指定できない。
自動で車高を落としてくれるエアサスペンションを装備し、乗り降りも容易。運転席に座ると、操作系のレイアウトはシンプルでわかりやすい。組付けもしっかりしていて、フォルクスワーゲンらしくソリッド感が高い。
ノートパソコン・サイズの15インチ・タッチモニターがインフォテインメント用にダッシュボード中央へ据えられる。上等に設えられたインテリアだ。ステレオはパワフルで、半分程度のボリュームでも耳が痛くなる。
だが、7万ポンド(980万円)するSUVらしい高級感に溢れているわけでもない。ライバルモデルと比較すると、華やかさには欠ける。小ぶりなステアリングホイールは、ハッチバックのゴルフのものにそっくりだった。
この続きは後編にて。
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