インターネットで知り合った女性に「電話で話すまで諦めんよ」などのメッセージを40件以上送ったとして、滋賀県の男子大学生が1月中旬、ストーカー規制法違反の疑いで佐賀県警に逮捕された。

サガテレビ1月12日)によると、大学生は昨年5月、佐賀県内の女性とネット上で知り合った。一度も会ったことはないものの、およそ4カ月間交際していた。同年10月、女性から別れを告げられたことがきっかけとなって、犯行に及んだとみられている。

大学生は昨年12月にも、「復縁してください」「家族を避難させても無駄」「殺します」などのメッセージSNSで送信したとして、強要未遂の疑いで逮捕されていた。いずれの容疑も認めているという。

ストーカーといえば、つきまとって、嫌がらせをするイメージが強い。今回のように一度も会ったことがない相手に対しても成立することがあるというのは、少々意外だ。どのような行為がストーカー規制法違反となるのだろうか。岡本裕明弁護士に聞いた。

SNS上でのメッセージ送信も「ストーカー行為」になりうる

——「ストーカー行為」とは法的にどのようなものでしょうか。

ストーカー規制法における「ストーカー行為」とは、同じ人に「つきまとい等」を反復してすることとされています(2条3項)。

——「つきまとい等」とは、具体的にどのような行為でしょうか。

恋愛感情など好意の感情や、またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、ストーカー規制法が定める特定の行為をした場合、「つきまとい等」にあたります(同法2条1項)。

特定の行為の中に含まれているのは、相手を待ち伏せる行為や、住居や勤務先に押し掛ける行為のように、ストーカーとしてイメージしやすい典型的な行為だけではありません。

直接相手に接触することがないような無言電話、FAXに加え、電子メールSNS上でのメッセージを送信する行為なども含まれています。

——SNS上でのメッセージ送信も「つきまとい等」にあたることがあるのですね。

ストーカー規制法が制定された当時は、電子メールSNS上でのメッセージを送信する行為は「つきまとい等」にあたる行為とは定められていませんでした。

しかし、その後、執拗に電子メールSNS上でのメッセージが送信されるような事件が多発したことから、電子メールの送信については2013年の法改正で、SNS上でのメッセージ送信については2016年の法改正で、新たに「つきまとい等」にあたる行為として追加されました。

「禁止命令」違反のストーカー行為には重い罰則

——いやがらせのような電子メールSNS上でのメッセージを送信すると、ただちに「つきまとい等」になってしまうのでしょうか。

電子メールの送信等による場合、被害者に対して、著しい不安を覚えさせるような方法でなければ、「ストーカー行為」にはあたらないものとされています。

ただし、インターネット上のやり取りなどの際には、相手の反応をただちに確認できないことから、相手の反応がないことに苛立ちを感じ、言動をエスカレートさせてしまいがちです。

今回の事件のように、インターネット上の付き合いしかない場合であっても、ストーカー規制法違反の罪が成立してしまうケースは決して珍しいものではありません。

——「ストーカー行為」を防ぐ手段は何か定められていますか。

ストーカー規制法は、「つきまとい等」をおこなった者に対する「警告」(4条)や「禁止命令等」(5条)を定めています。

「警告」は、「つきまとい等」をおこなった者に対して、その行為を止めるように求めるもので、法的な拘束力はありません。

しかし、「警告」がなされたにもかかわらず、相手方に電子メールメッセージを送信するなどの行為が続けられた場合、「警告」がなされる前よりも、相手に不安を覚えさせることになりやすく、「ストーカー行為」として認められやすくなることが考えられます。

「禁止命令等」は、「つきまとい等」をおこなわないように命令するものです。

——「警告」「禁止命令等」はどのように機能しているのでしょうか。

単にストーカー行為をした場合については、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が定められていますが(18条)、「禁止命令等」に違反してストーカー行為をした場合については、「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」という加重された刑罰が定められています(19条)。

「警告」や「禁止命令等」の段階で事態が収まるケースも少なくないため、すべてのストーカー行為について刑事罰が科されているわけではありません。

一方で、刑事罰が科される前に、必ず「警告」や「禁止命令等」がおこなわれるわけではなく、最初から刑事罰を科すために被疑者を逮捕することもありえますし、「禁止命令等」のほとんどが「警告」を経ずにおこなわれています。

——ストーカー行為から死傷事件に発展してしまうケースもあります。

直接対面する場合ももちろんですが、相手の顔を見ることができないインターネット上の付き合いであっても、やりとりをしている相手が感情のある人間であることを忘れることなく、しっかりとコミュニケーションをとっていただきたいと思います。

【取材協力弁護士
岡本 裕明(おかもと・ひろあき)弁護士
刑事事件及び労働事件を得意分野とし、外国人を被疑者・被告人とする事件を多く取り扱っている。多数の裁判員裁判も経験している一方、犯罪被害者の代理人として、被害者参加等も手掛ける。

事務所名:弁護士法人ダーウィン法律事務所
事務所URLhttps://criminal.darwin-law.jp/

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