新人時代は、仕事において様々な失敗をしてしまうもの。それはどうやら“アイドル”も同じだそうで……。

モデル アイドル
画像はイメージです(以下同じ)
「ほんと、今思い出しても背筋がゾッとするような話なんですけど……」。自分の失敗エピソードについて、終始キラキラした笑顔で語ってくれたのは、現役アイドルのみゆさん(仮名・21歳)。彼女がデビュー当時、19歳の頃にやらかしてしまった“大失敗”を振り返ってもらいました。

上京後、念願のアイドルデビュー

 高校卒業後、みゆさんは子供の頃から憧れていたアイドルになるために静岡県から上京。アルバイトで貯めた貯金を切り崩しながらレッスンを受け、なんと上京から3か月ほどで夢のアイドルデビューを果たしたそうです

オーディションは4つほど受けて、そのうち2つに合格しました。1つは研究生として、もう1つは正規メンバーとして。1日でも早く、ちゃんと“アイドル”としてステージに立ちたかったので、後者の地下アイドルユニットで活動することに決めました」

 オーディション合格後は10曲以上の歌とダンスを2週間で覚えるように言われ、3週間後にはデビューステージが決定。正にとんとん拍子でアイドルになったみゆさんでしたが、やはり苦労も多かったようで……。

週4日深夜バイトで休みなく働く

アルバイト 電話

地下アイドルの主な収益は、ライブ後に行う物販での“チェキ”。当然ですが、新メンバーの私にはファンが少なく、バイトシフトも結構ガッツリ入れないと生活ができないような状況でした

 さらには、スキルアップのため自費でボイストレーニングにも通っていたというみゆさん。週3日ほどのライブステージと、合間に行われる最低週2日のレッスン、週1日のボイトレ、そして週4日で深夜バイト……。みゆさんは毎日休みなく活動していたそうです。

多忙な日々が続き疲労困憊…

「当時は、家に帰ったらお風呂に入って寝るだけという感じでした。郵便物を開ける気にすらなれなかったので、いつの間にか電気が止められていたこともありました。とにかく、時間にも心にも余裕がなかったですね」

 多忙な日々が続く中、みゆさんにとって嬉しい出来事が。みゆさんがユニットに加入してから初めての“遠征ライブ”が決定したのです。場所は、ずっと行ってみたかった北海道

 みゆさんは「北海道の人たちにも自分のステージを観てもらえる」と遠征ライブの実施を心から喜んだそうです。

 しかし、そんな北海道遠征に向かう道中で悲劇が起こります。北海道遠征前日も深夜バイトを入れていたみゆさん。朝方帰宅してから急いで荷物をまとめ、ロクに睡眠もとらず家を飛び出したそうです。

空港でまさかの勘違いが発覚…

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「当時の私は蒲田在住だったので、羽田空港まで近かったんです。まあ、それがアダになってしまったんですけど…」

「到着したら連絡して」とマネージャーから言われていたみゆさん。待ち合わせ時間よりも30分ほど早く着いたので、早速マネージャーに電話を入れました。しかし、二人の会話はなかなか噛み合わず……。

マネージャーから『まさかとは思うけど、お前羽田空港にいたりしないよな?』と言われ、私は、自分が空港を間違えていたことに初めて気が付きました。慌ててユニットグループラインを見返すと、そこにはハッキリ『成田空港8時集合』と書かれていたのです。その時はもう、頭が真っ白でした……」

 マネージャーもまさかの出来事に動揺していたようですが、「調べたらクルマが一番早いみたいだから、とりあえずタクシーに乗ってこい!」と指示を受け、みゆさんは猛ダッシュタクシー乗り場へ向かったといいます。

成田から羽田まで、電車では約2時間

空港 タクシー

「運転手さんに半泣きで『成田までお願いします!』と懇願しました。運転手さんは丁寧に状況を確認してくれて、『運が良かったですね。その時間ならまだ間に合いますよ』と私を励ましてくれました。

 不幸中の幸いというか、うちのユニットはとにかく遅刻魔が多かったので、毎回かなり余裕を持った集合時間を伝えられていたんです

 タクシー運転手さんが近道を選んで走ってくれたこと、道が混んでいなかったこと、そして、かなり早めに待ち合わせ時間を設定していたこと……。さまざまなラッキーが重なり、みゆさんはなんとか搭乗時間に間に合ったといいます。

タクシー料金は自腹で3万円に

「本当に心臓が止まる思いでした。マネージャーには『前日にリマインドまで送ったのに』とめちゃくちゃ叱られましたし、タクシー代は自費で3万円近くかかってしまい、かなり痛い出費でした……。

 でも、運転手さんが車の中でずっと私を慰め続けてくれて『有名になってテレビで観られる日を楽しみにしています』と言ってくれたんです。あの優しさは絶対に忘れません」

 ゾッとするような大失敗をしてしまったみゆさんですが、東京で人の優しさに触れて心が温かくなったそうです。アイドル歴3年目に突入したみゆさん。コロナによってステージに立つ機会が減ってしまったそうですが、あのときの運転手さんに言われた言葉を胸に、彼女は今日もアイドル活動を頑張っています。

TEXT/渡辺ありさ イラストパウロタスク(@paultaskart)>

【渡辺ありさ】

1994年生まれ。ライタータレントアイドル雑誌「楽遊IDOL PASS」の編集を経て、「週刊プレイボーイ」「pop'n'roll」等で執筆。EX「全力坂」MXTV「真夜中のおバカ騒ぎ」等出演 Twitter:@Arisaaa_w