―[貧困東大生・布施川天馬]―


 現役東大生の布施川天馬と申します。学生生活の傍ら、ライターとして受験に関する情報発信などをしています。

◆東大生も抑えられない「サボり癖」

 みなさんは「やらなきゃいけないこと」をサボった経験はありませんか?

 大事な試験が、面接が、会議が控えていることはわかる。けれども、全然やる気が湧かない……。だから、なんとなく「やらなきゃいけないなぁ」と思いながらも布団の上でダラダラ過ごしてしまう。

 僕もまったく同じことを考えながら生きてきました。先ほどのようなサボりだって、何度も経験してきています。たとえば、僕は東大入試の1週間前に、まったくやる気がわかなかったので、なんと1日中アニメを観て過ごしていたことがあります。

 当時の僕の合否判定は最高でもB判定でしたから、「余裕で合格!」なんて夢のまた夢でした。むしろかなりギリギリな成績の受験生でした。

◆賢い人は全部計算したうえでサボる

 テレビ番組などから「博学」「真面目」などのイメージを持たれやすい東大生ではありますが、みんながみんな勤勉ではありません。僕のようなサボり癖の強い学生だっています。

 というよりも、世間で思われているよりも、ずっと多くの東大生が「めんどくさがり」であるように思えます。

 この時期になると卒業論文や卒業研究に追われる学生が増えてきますが、締め切りギリギリになってもまだ遊んでいるとか、とにかく後回しにする学生は、僕を含め非常に多いです。

 しかし、それで失敗してしまったという話はあまり聞きません。なぜなら、東大生は全部を計算した上でサボっているからです。

「やりたくないからサボる」ということは同じですが、そこに1つの狙いがあるだけで、その後成功するかどうかが変わってくるのです。今回は「何に気をつけながらサボればいいのか」についてお伝えします。

◆「成功する人のサボり方」とは?

 サボってもあとあと成功するためのサボり方とは、いったい何でしょうか? それは「サボる3日前から計画を立ててサボる」というものです。

 先ほどお話したように、僕は東大入試の1週間前であるにもかかわらず、丸々1日勉強をせず、ずっとアニメを観て過ごしたことがあります。でも、これは当日に衝動的に決めたものではありません。

 2月の半ばにはすでに「コンディションを整えるために試験本番3日前までのどこかで1日休む日を作ろう」と決めていました。

受験生の目標は「頭がよくなる」ではない

 東大の入試は毎年必ず2月25日から始まります。ですから、受験生はこの日に向けてコンディションを整えてきます。模試でいくらいい点数を取って、どれだけいい判定をもらっていたとしても、試験本番で実力が発揮できずに落ちてしまったら、何の意味もありません。

 なので、僕も学校で教わった通り、ほとんどの受験生は受験当日に向けて、生活習慣を最適化させていきました。

 具体的には夜型の生活をしている人は朝から始まる試験のために朝型の生活リズムに体を慣れさせます。風邪をもらうリスクは徹底的に避ける必要がありますから、当然、無駄な外出などもしません。

 受験生は「頭がよくなるために勉強している」のではなく、あくまで「志望校に合格するために勉強している」からです。

◆受験直前なのに最悪のコンディション

 ですが、2月の半ば、東大入試まで残り2週間というタイミングにきたときの僕は最悪のコンディションでした。急き立てられるように勉強だけはしているが、中々頭に入らない。「遊びたい」という欲求がいつも頭の隅にあって、勉強の邪魔をしてきたのです。それに加えて、勉強漬けの毎日に体力も切れかけていました。

 ストレスや疲れのせいで、調子がいいときの半分くらいの力でしか頭が回りませんでした。このまま勉強を続けて入試に臨んでも、100%の実力は発揮できないであろうということは明白でした。

 ですから、僕はこのように考えました。

「どうせこのまま勉強を無理に続けても、どうせ頭に入らないだろう。この先10日間を50%の力で勉強するなら、どこかで1日休んで、100%の力が出るように調整したほうが得ではないだろうか?」

◆「思いつき」だけでは決して行動しない

 まるでゲームのような考え方ですが、好調時に1日100の経験が得られるとしましょう。すると、調子がいいときの半分以下の力しか出なかった当時は1日頑張っても50の経験しか得られないということになります。

 この考え方に従えば、休まずに10日間頑張ったときは「50×10日間=500」の経験を得ることができます。しかし、1日休んで、体力を100まで回復させれば「100×9日間=900」の経験を得られます。

 しかし、これを思いついたその日を休養日にすることはしませんでした。なぜならこれを思いついたタイミングでは、この「休養案」はただの思い付きにしか過ぎないからです。

 受験を差し控えた2月という時期は、受験生にとって、実は非常に不安定な時期でもあります。入試本番を目前として緊張の糸が途切れてしまった受験生が勉強そっちのけで遊び回ってしまうという事例が多発する時期でもあるのです。

◆満を持して3日後に休む

 実際、僕も先生から「この時期は油断して、つい遊んでしまう人がとても多い。2月になったからって『あとはテストを受けるだけ』と安心するな! 全部の受験日程が終わるまでは、油断しないで今まで通りの勉強スタイルを続けなさい」と言われていました。

 そんな時期にただの思い付きでいきなり1日休んだらサボり癖がついてしまうかもと怖かったですし、勉強の計画だって崩れてしまいます。ですから、「今日ではなくて、3日後をお休みの日にしよう」と予定に組み込んだのです。

 3日ほど余裕を持てば、計画の練り直しも余裕が持てます。しかも、もしもこの判断が間違っていたとしても、この3日の間に「いや、やっぱり休養日なんてとるべきじゃない」と正気に戻れば、もともとの勉強計画に戻ることもできます。

◆「サボり」はタイミングが重要

 この結果、僕は入試本番でいつも通りの実力を発揮することができ、なんとか東大に合格することができました。この休養日の導入がなければ合格に届かなかっただろうと、今から振り返っても強く思います。

「思い立ったが吉日」とはいいますが、休むタイミングについてだけは、少し慎重に決めたほうがいいのかもしれません。

【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』が発売中

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