千葉の最東端部をゆっくりと走るローカル私鉄・銚子電鉄。実は近年、さらに「遅い」ダイヤにしているといいます。もしかしたら自転車より遅いのでは……? 銚子電鉄の竹本社長とともに検証してみました。

「全国1、2を争う遅い路線ですから」

千葉県ローカル私鉄・銚子電鉄まずい経営に掛けて100万本を売り上げたスナック菓子「まずい棒」、福袋ならぬ「一寸先は『闇袋』」など、数々の自虐ネタ商品を連発する同社ですが、運営するのは、銚子~外川間6.4kmの単線です。

中古の電車がゆっくりと走る路線で、全線の所要時間は2021年1月現在で最速19分、標準で22分。単純計算すれば、速度は平均20km/hほどです。もともと標準で19分だったところ、2020年以降、さらに「遅い」ダイヤにしたのだとか。もしかしたら自転車より遅いのでは……?

「いやー素晴らしい視点だと思います。表定速度(途中駅の停車時間も含めた速度)19.2km/hで、全国1、2を争う遅い路線ですから」

銚子電鉄の竹本勝紀社長がこう話してくれました。さすがに電車の方が速いでしょう、と思いきや「(自転車で)勝てるんじゃないですか?」ときっぱり。そこで、竹本社長とともに「銚電vs自転車」を検証しました。

対決の結果は…? そもそもなぜ「遅い」ダイヤに?

自転車(電動アシスト付き)は銚子駅前を15時05分に発進、終点の外川駅を目指します。一方、電車組は自転車の出発を見送ったのち銚電ホームまで移動し、15時10分発の便で出発しました。なお自転車は、線路に付かず離れず並行するようなルートを走ります。

電車には駅での停車時間がありますが、自転車も信号待ちで数分をロスします。とはいえルート上にある3か所の踏切は、すんなり進むことができました。どうやら、電車はまだ追い付いていないようです。

一方、竹本社長が同乗した電車も、ゆっくりとしたスピードで進みます。「あんまり急加速すると電車が壊れちゃう」と社長が言うように、加速も実に緩やか。

車内では「あ、社長!」と乗客から声を掛けられるなど、とてもアットホームな雰囲気。列車行き違いのため2分停車する笠上黒生駅では、学校から帰る子どもたちが元気に降りていきました。

対決の結果は「自転車の勝ち」。自転車は途中、犬吠駅付近で道を間違えるというミスを犯したものの、電車が到着する2分ほど前に終点の外川駅へ到着しました。ただ、冬でも汗だくになったことは言うまでもありません。

速さの面では「徒歩以上、自転車未満ですね」(竹本社長)という銚子電鉄ですが、なぜあえて、「遅い」ダイヤにしたのでしょうか。

「以前のダイヤでは、何かあった際に、JR線との接続時間などを意識して焦ってしまい、結果として遅延発生が多かったのです」と竹本社長は話します。輸送の安全を確保するうえでも、ダイヤに余裕を持たせたのだそうです。

終点の外川駅に到着した銚子電鉄の電車。