MOVIE WALKER PRESSスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今週は、Zoomを使って霊との交信を始めた男女の恐怖を描くホラー、人類最強の格闘家たちが宇宙人たちを相手に大暴れするSFアクション、イラン警察VS麻薬王を描くイラン映画大ヒット作まで、ヘビー級の見ごたえ濃厚な3本!

【写真を見る】それぞれの部屋で不可解な現象が次々と発生!(『ズーム/見えない参加者』)

■ネットを通じて悪霊と交信!?コロナ禍に放たれた衝撃作…『ズーム/見えない参加者』(公開中)

コロナ禍に放たれるべくして放たれた、2020年製のオカルトスリラーロックダウン中のイギリスで、オンライン・ミーティングを楽しむ若者たちが面白半分で交霊会を開いた。だがアクシデントにより、降りてきた霊は悪霊と化す!霊がネットを通じて語りかけるという設定はもちろん、画面越しの惨殺描写もスリル満点。全編をPCやスマホのモニター画面に統一した映像はリモートワークの時代にフィットするのみならず、パンデミック下で工夫を凝らした映画人たちの創意が見て取れる。困難にあっても映画製作の可能性を追求した若い才能に拍手。同様の手法で作られた邦画『真・鮫島事件』と観比べるのも一興だ。(ライター・有馬楽)

■格闘型宇宙人と9人の戦士が、地球の命運をかけて戦う…『アースフォール JIU JITSU』(公開中)

6年に1度近づく彗星と共に、地球のある場所に空いた「穴」=アースホールを通って現れる好戦的な宇宙人に対し、武術を極めた9人の戦士が壮絶な戦いを挑む!このあらすじから、『プレデター』を彷彿とさせる設定や状況を思い浮かべるかもしれないが、本作では現れる宇宙人は野蛮な狩人ではなく、武を極めた格闘の達人!この格闘型宇宙人は、武を重んじるので、戦士たちは、それぞれが得意とする格闘スタイルで戦いを挑むことになる。ジャンクロード・ヴァン・ダムの代表作『キックボクサー』のリブート版主演に抜擢された新鋭アクション俳優アラン・ムーシを主演に迎え、トニー・ジャー、フランク・グリロ、そしてニコラス・ケイジなどの一流アクション映画の名優たちが集結。捻ったストーリーや難しい設定などは一切なし!キックボクシング、棒術やヌンチャクを駆使したクンフー、日本刀アクション、コマンドサンボなど、アクション俳優たちが自身の得意なスタイルでの格闘術を次々と披露。バトルシーンも格闘家の目線を味わえる一人称視点やワンカットバトルなど、さまざまな撮影技法を駆使してみせるノンストップアクションとなっており、ここも「細かいことはどうでもいいと」思わせる迫力を味わうことができる。深く思考を必要としない、まさに“考えないで感じる”アクション映画となっているので、ぜひノリと勢いで観に行って欲しい!(映画ライター・石井 誠)

■全編がギラギラ、カオスのごとき映像世界…『ジャスト6.5 闘いの証』(公開中)

イランで記録的な大ヒットを飛ばしたという本作は、厳格なイスラム国家であるこの国を蝕む麻薬という社会問題を扱ったクライム・スリラー。薬物犯罪の撲滅に燃える鬼刑事と、裏社会に隠れ潜む麻薬王との闘いを描き出す。警察の取り締まりチームがドラッグディーラーらを次々と逮捕していく序盤からして、気合い十分のアクション&サスペンスが炸裂。警察署内に舞台を移した中盤以降も、100以上の薬物中毒者が留置場に押し込められた異様な光景など、思わず唖然とする描写が連続する。麻薬捜査を題材にした犯罪映画はハリウッドなど世界中で作られているが、これほどまでに全編がギラギラしたカオスのごとき映像世界は滅多に体験できない。刑事の不屈の執念と、麻薬王の凄まじい悪あがき。最後に軍配が上がるのはどちらか、固唾をのんで見届けてほしい。(映画ライター・高橋諭治)

週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!

構成/サンクレイオ翼

全編、Zoomでの撮影を敢行(『ズーム/見えない参加者』)/[c]Shadowhouse Films and Boo-Urns 2020