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はじめに

写真の公開時には、賛否両論が激しく巻き起こったBMW 4シリーズ。その新型が、英国のショールームに姿を見せたのは昨年の10月である。それから路上へ連れ出してテストするまでに、そこそこの時間が経ってしまった。

その間、ソーシャルメディアの敵対的な反応は、見慣れるにつれ多少は和らいできた部分もあるが、相変わらず馴染めないという声も根強い。もっとも、われわれとしてはいつも通り、外見だけでなく、エンジニアリング面も含めて、ロードテストの基準に照らして精査するだけだ。

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テスト車:BMW M440i xドライブ    MAX EDLESTON

第2世代となる4シリーズは、現時点では2ドアのみが販売されており、コードネームG22ことクーペとG23ことコンバーチブルを設定。今年後半には、G26こと4ドアのグランクーペが追加される予定だ。

エンジンは直4ターボのガソリンとディーゼル、直6ターボガソリンを用意するが、春ごろには直6ディーゼルを積む430dとM440dが登場する。もちろん、M4も待機中だ。

当然というべきか、G20こと3シリーズと同じくマイルドハイブリッドもラインナップするが、兄弟分に比べロー&ワイドで、ルックスは迫力がある。また、足回りは硬くなり、ハンドリングバランスはよりやる気にさせるものに。また、キャビンをより高級感ある仕立てとしているが、これは1970年代初期から変わらぬ、BMW製クーペのセールスポイントだ。

そして、デザイナーたちは最近のクーペモデルより、1970年代のモデルにモチーフを求めた。その結果、激しい議論の的となった、フロントに直立する大胆な縦長グリルが生まれたのだ。それは、ウィルヘルム・ホフマイスターが描き出したE9世代の3.0CSiへのオマージュである。

かようにデザイン面の話題が先行した4シリーズだが、われわれは現時点での最上位グレードであるM440i xドライブでその実力を確かめることとした。果たしてその走りは、先代のすばらしい出来から抱く期待を裏切らないものなのだろうか。

意匠と技術 ★★★★★☆☆☆☆☆

このスタイリングもだいぶ見慣れてはきたが、テスター陣がそれを好意的に受け入れるまでには至っていない。

矢のようなボンネットのプレスラインと物議を醸したグリルを擁するフロント周りは、新たなかたちの頼もしさと個性を発揮するべくデザインされた。ところが、そこには一貫性やシンプルさ、そして慎ましさといった、近年のよくできたBMW製クーペにみられた美点が、このクルマには見出せない。われわれが問題視しているのは、まさにその点だ。

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大きすぎる縦型キドニーグリルは、フロントで並々ならぬ存在感を放つ。たしかに、戦前型328グリルより高さは抑えたが、それでも過去のアイコンの現代解釈が、最新のクーペにしっくりきているとは言いがたい。    MAX EDLESTON

ボディパネルは膨らみ気味なうえに、ディテールに凝りすぎている。ボディ後部に至っては、均整が取れておらず、鮮明さに欠ける。ホフマイスターズキンクらしきものはあるが、どうにも不明瞭だ。

メカニズムに話を移せば事態は好転するが、そこにたどり着くまでには辛抱が必要だ。まず、初代4シリーズよりかなりサイズアップしているが、これは吉兆とはいえない。先代クーペのF32に対し、全長は128mmも伸び、全幅も全高も拡大。先代435i Mスポーツでは1640kgだった車両重量も、今回のテスト車では1775kgに達した。

ところが、現行世代の3シリーズと比較すると、多くの好材料を見つけられる。低められたボディは、重心高を21mm下げるのに貢献。またシャシーは、専用の補強が施されている。足回りでは4シリーズのほうがトレッドは広く、スプリングダンパー、スタビライザーが再チューンされた。

420dに搭載される2.0L直4ディーゼルは、191psを発生する最新世代のツインターボユニット。今回テストするM440iはガソリンの直6ツインスクロールターボで、最高出力は374ps。この2機種のエンジンには48Vマイルドハイブリッドシステムが組み合わされ、11psの電動アシストが加わる。

このほか、直4ガソリンユニットも用意。420iの184ps仕様と430iの259ps仕様が存在するが、いずれも最新の48V電装系は与えられなかった。

トランスミッションは、全車とも8速ステップトロニックことZF製のトルコンATを搭載。4気筒モデルは後輪駆動が標準仕様で、4WDはオプションだが、6気筒モデルはFRベースのxドライブこと四輪駆動システムがスタンダードとなる。

英国仕様は、エントリーグレードがMスポーツで、ハードなスプリングと、パッシブながら可変減衰力を実現するリフトリレーテッドダンパーを採用。さらに前部構造の補強と可変スポーツステアリングも標準装備される。上位エンジン搭載車には、Mスポーツブレーキも装着。Mスポーツ・プロエディションやMパフォーマンスといった上級仕様も選択でき、その場合はアダプティダンパーがついてくる。

テスト車のM440iは、Mパフォーマンスに分類されるグレードで、トルクベクタリング機能を持つ電子制御のリアディファレンシャルも標準装備。これは、430iと430dにもインストール可能だが、有償オプションとなるアイテムだ。

内装 ★★★★★★★★☆☆

BMW信者であれば、きらびやかさの増したマテリアルと、近年のBMWに共通のハイテク感が際立つデザイン術はすっかりおなじみだろう。ミュンヘンで車内を担当するデザイナーが、質感や雰囲気、高級感の演出を控えめに抑えていた時代は終わったのだ。

そう遠くない過去だが、このバイエルンの自動車メーカーは、アウディメルセデスに太刀打ちしうる室内が必要だと判断し、わかりやすい高級さや豪華さを備えたキャビンを仕立てるようになった。それからまもなくして、G20系3シリーズは、六角形モチーフのクロームと最先端のワイドディスプレイが目立つインテリアを得た。その処理は、4シリーズも踏襲している。

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かつてBMWキャビンは質素を旨としたような空間だったが、いまや同郷のプレミアムブランドに大きく見劣りするものではない。しかも、操作系のレイアウトは変わることなくすばらしい。    MAX EDLESTON

そこは、長時間乗っていてもきわめて快適な空間に仕上がっている。造形も装備も高級車らしく、どこをとっても扱いやすく、好みに合わせて調整するのも簡単だ。

ドライビングポジションは、3シリーズより低く寝そべるスタイルだが、その差はきわめてわずか。着座位置の低さも、乗降性や見晴らしといった点でも、スポーツカーほどではない。操作系のレイアウトは最高にすばらしく、ステアリングコラムの調整幅も十分にある。Aピラーがやや太く、前方視界をやや妨げるが、いまどきのクルマならあたりまえのレベルにすぎない。

メーターパネルはフルデジタルのディスプレイで、六角形の盤面の左右両端に速度計と回転計を配置。表示テーマは走行モードに応じて変化するが、そのほとんどがそうあってほしいほど読み取りやすいわけではない。ひと目で情報がわかるシンプルな円形メーターを表示してほしいが、それを叶えるモードは用意されていない。

オプションのヘッドアップディスプレイは、ルート案内やエンジン回転数などをわかりやすく投影する。その点については文句のつけようがない。ただし、もっと無駄を排して認識しやすいほうが長距離ドライブでは疲れにくいはずだ。それに関して、BMWはまだまだ改善できるはずだ。

リアシートは予想通り、ひとを乗せるのに便利だとはいえない。身長180cm以下でなければ頭上にゆとりを感じられず、さらに足元はもう少し体格が小さくても窮屈だ。ただし、たまにしか使わない座席としてみれば、おおむね納得できるレベルだといえる。

後席のシートバックは、40:20:40の3分割可倒式となっているので、積載量はフレキシブルに調整できる。そうでなくても、トランクスペースはそこそこ広い。

走り ★★★★★★★★★☆

6気筒ユニットと8速ATの性格には、たしかな底力がある。このコンビネーションは、フルスロットル時のパワーも、パートスロットル時のドライバビリティも、文句のつけどころがなかなかみつからない。しかもツーリング燃費が14km/Lを超えることに気がつけば、もはやケチをつける気すら起きない。

ただし、M440iに欠けているものがひとつだけある。説得力のある魅力的なサウンドだ。走行性能の客観的なデータと秤にかければ、取るに足らない不満だと思うかもしれない。

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自然吸気のようなスムースさと全域で強力なトルクを備えるエンジン、いたずらに変速したがらないAT、高効率の4WDが織りなす動力性能はみごと。ただし、サウンドの満足度は低い。    MAX EDLESTON

しかし、いくら今日の自動車メーカーが厳しい音量規制に苛まれているとわかっていても、この手の趣味性が強いクルマでなら、ボンネットの下で力を発揮するBMWご自慢のストレート6が発する美声を楽しみたいのが人情というものだ。とはいえ、それを許さない事情がひとつならずあるのが現実だ。

このエンジンのパワーデリバリーは幅広い回転域で、使いやすい有り余るほどのトルクに、歯切れよさやペダル操作へのリニアなレスポンスも兼ね備えている。ターボラグやドッカンターボ的な特性を感じることはまずない。また6000rpm以上まで楽に回り、自然吸気のような勢いが感じられる。

もちろん、低回転でもたつくこともない。0-100km/h加速の公称タイムは4.5秒。われわれのテストはやや湿って冷え切った路面状況で行われたが、4.1秒で97km/hに達した。この数字はトルクコンバーターのロスの少なさや、4WDシステムの効果を、はっきりと物語るものでもある。

ギアボックスがベストな能力を発揮するのは、よりスポーティな変速モードを選んだ場合だ。スロットルペダルを踏み込むと、スマートに迷いなくシフトダウンする。48Vマイルドハイブリッドアシストがパフォーマンスに影響しているとすれば、それはパートスロットル状態での応答性改善だろう。そう推測させるほど、じつにみごとなのだ。

最新のATは、その多くの段数を積極的に変速したがる傾向にあるが、このクルマのそれは違っていて、そこまでやたら活発に感じることはまずない。適正なギアを選んだら、走ることに全力を傾けるのだ。

しかし、注意深く耳を澄ませば、合成音のエンジンサウンドを聴き逃さずにはいられない。BMWの最新エキゾーストシステムにはパティキュレートフィルターが備わり、それがB58ユニットの混じり気ない魅力的なサウンドをスポイルしている。それを補うためか、もしくは単にドラマティックな音を演出したかったからか、とにかく合成添加物のような音が加えられているのだ。

理由はどうあれ、聞き流してしまえば当たり障りなくスポーティで、それらしいサウンドに思えてしまうかもしれない。しかしながら、かつての328iに積まれたシルキー6を忘れられないようなドライバーなら、M440iの作られた音に狂喜するようなことはないだろう。

使い勝手 ★★★★★★★★★☆

インフォテインメント

英国仕様はMスポーツがベーシックな仕様なので、全車ともフルサイズのデジタルメーターとインフォテインメントディスプレイがセットで装着される。

コネクティッドパッケージ・プロフェッショナルもフルスペックだが、スマートフォンのミラーリングはAppleもAndroidも有線式だ。オプションのエンハンスBluetoothを選択すれば、iPhoneのみワイアレスで同期できる。これは単体なら350ポンド(約4.9万円)だが、1900ポンド(約26.6万円)のテクノロジーパッケージや、3650ポンド(約51.1万円)のテクノロジープラスパッケージならセットに含まれる。

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インフォテインメントシステムの高機能ぶりと操作性のよさは特筆もので、さらにその内容を充実させるオプションも揃っている。    MAX EDLESTON

最新ソフトウェアのオペレーティングシステム7.0はじつによくできている。ヴィジュアルのみごとさやレスポンスのクイックさだけではない。おなじみのダイヤル式コントローラーやタッチ式ディスプレイ音声認識と、操作の柔軟さにも秀でている。

ホーム画面レイアウトのモジュラー性もすばらしい。ショートカットもよくできていて、システムのメニューをより楽に呼び出せる。

燈火類

テスト車は、オプション設定されるレーザーライト仕様のヘッドライトを装備。とんでもない明るさを期待しているのでなければ、照射距離も光の鮮明さもかなりいい線いっている。

ステアリングとペダル

主要な操作系のレイアウトにおけるエルゴノミクスはエクセレント。ペダルはやや右寄りにオフセットしているが、それでも十分に快適で、望めば左足ブレーキもできる。

操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆

「やがて直6FRベースのミッドサイズクーペは、M仕様でしか買えなくなります」。もし20年前にこんな予言をしたら、BMWファンはさぞかしザワついたことだろう。

現行4シリーズは、それがついに現実となったはじめてのモデルだ。そうはいっても、ファンを裏切ったわけではない。四駆は安定した走りに不可欠な要素で、重量は増してしまうが、運動性能を鈍らせてはいない。期待通り、その身のこなしは間違いなくこのクルマの売りだといえるものになっている。

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4WDになっても、FR的なフィールやアジリティは健在。重量増の弊害も感じられない。それでいて、全天候型の安定性も兼ね備える。BMW製クーペの美点は、しっかり息づいている。    MAX EDLESTON

M440i xドライブは、3シリーズの同等グレードに比較して、ボディコントロールはやや動揺が少なく、ハンドリングのレスポンスは鋭い。念のためにいっておくが、比較対象のM340i xドライブは、クラスベストのハンドリングカーと目される一台だ。

速さを追ったBMWすべてに共通することだが、このクルマも精度の高さを最優先している。思った通り、先代モデルならテールを振り回して楽しめたような状況でも、スタビリティとトラクションに優れ、足取りは確かだ。安定していて、それでいて思わず夢中になるような走りもみせてくれる。このクラスでも、そんなクルマはめったにない。

また、競合する4WDのクーペやセダンと異なり、本当に後輪駆動のようなフィールの持ち主だ。パワーオンでコーナリングや取り回しができて、現代のクルマの多くより根本的におもしろみで勝るハンドリングを堪能できる。

スポーツカーと呼べるアジリティには僅かに及ばず、純粋なドライバーズカーほどステアリングフィールが鮮明でなかったのは残念だ。それでも、運動性はかえってスポーツカーより懐が広い。

毎日乗れて、全天候性があり、ハイスピードでの長距離ツーリングも楽にこなせるスタビリティを備えている。BMWのクーペに欠かせない要素が、このクルマにも息づいているということにほかならない。

それには、サスペンションセッティング、とくにアダプティダンパーの貢献が大きい。これまで試乗したパッシブダンパー仕様の4シリーズより、今回のテスト車は乗り心地が穏やかで、快適性で勝っている。それでいて、フロントエンジンのスポーツカー的なグリップとハンドリングの安定ぶり、そして走りの楽しさも味わえるのだ。

快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆

先にも述べたが、これまで試乗を重ねた経験からいえば、アダプティブMサスペンションは4シリーズの快適な乗り心地に不可欠だろうと思える。パッシブのMスポーツダンパーでは、低めの速度でやや荒れ気味な路面の英国の道路を走る限り、そわそわした動きや過敏なところが多少感じられた。

少なくともA級道路やB級道路を走った限り、アダプティダンパーを備えるM440iにそうした問題は見られなかった。路面に凹凸があっても、穏やかに乗り越えてくれる。

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快適性を重視するなら、アダプティダンパーは必須だ。それでも、状況によっては乗り心地に気なるところがみられる。走りに妥協してもいいなら、これより快適なクーペは存在する。    MAX EDLESTON

この手のクルマは、より速度域が高く、移動距離も長い高速道路でこそ本領を発揮するものだが、それはM440iも例外ではない。そうはいうものの、郊外路を走る機会も多いドライバーも多いはずだ。そんな場合にも、予算が許すならサスペンションはアップグレードすることを強くおすすめする。

たとえそうしたとしても、市街地を低速で走ると、乗り心地はやや神経質なところを感じるはずだ。前後に軽く揺すられる動きがあり、もっと背の高いクルマでならヘッドトスが出ただろう。そこまでではないが、見過ごせるほど小さくもない。

19インチランフラットタイヤを履いているわりには、音も振動もよく遮断できているが、ずば抜けていいというほどではない。洗練度を優先してクルマ選びをするなら、クーペでもこれ以上のものはある。

購入と維持 ★★★★★★★★☆☆

エントリーモデルの420i Mスポーツは3万9870ポンド(約558万円)と、4万ポンド(約560万円)を切るためにつけたような価格でアピールを高めている。とはいえ、満足装備のM440i xドライブでさえ、すでに発売から時間を経ているメルセデスアウディの競合モデルよりわずかながらも安い。おまけに、残価率も僅差とはいえライバルの上を行く。

4シリーズの標準装備の内容は、3シリーズより多少充実している。それでも、Mスポーツプロパッケージにアップグレードしようというユーザーが多いはずだ。追加出費は2300ポンド(約32.2万円)からだが、アダプティダンパーを装着するにはこれしか方法がない。

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BMWの最新モデルは、ガチンコのライバルたちより残価率が高いものの、その差はそれほど大きくない。

そのほかにも、選択したいオプションはいくつかある。ワイアレス充電器やプレミアムオーディオヘッドアップディスプレイなどは1900ポンド(約26.6万円)のテクノロジーパッケージに含まれる。だが、必要なものだけを個別に注文すれば、多少は出費を抑えられる可能性もある。

スペック

レイアウト

直列6気筒をフロントに縦置きし、直後にトランスミッションを置く後輪駆動ベースのレイアウトは、BMWの伝統的なものだ。

xドライブこと4WDシステムはクラッチ式で、M440iはリアにトルクベクタリング機能を持つアクティブデフが加わる。前後重量配分は、実測54:46だった。

エンジン

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BMWの伝統通り、直6フロント縦置きの後輪駆動ベースとなる4シリーズ。M440i xドライブの前後重量配分は実測54:46と、ややフロント寄りだった。

駆動方式:フロント縦置き四輪駆動
形式:直列6気筒2998ccターボ、ガソリン
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ82.0×94.6mm
圧縮比:10.2:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:374ps/5500-6500rpm
最大トルク:51.0kg-m/1900-5000rpm
エンジン許容回転数:7000rpm
馬力荷重比:215ps/t
トルク荷重比:29.3kg-m/t
エンジン比出力:125ps/L

ボディ/シャシー

全長:4770mm
ホイールベース:2851mm
オーバーハング(前):859mm
オーバーハング(後):1060mm

全幅(ミラー含む):2085mm
全幅(両ドア開き):4100mm

全高:1393mm
全高:(トランクリッド開き):1640mm

足元長さ(前席):最大1130mm
足元長さ(後席):730mm
座面~天井(前席):最大990mm
座面~天井(後席):880mm

積載容量:440L

構造:スティールモノコック
車両重量:1740kg(公称値)/1775kg(実測値)
抗力係数:0.29
ホイール前/後:8.0Jx19/9.0Jx19
タイヤ前/後:225/40 R19 93Y/255/35 R19 96Y
ブリヂストン・トランザT005 RFT
スペアタイヤ:なし(ランフラットタイヤ

変速機

形式:8速AT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:5.25/8.4 
2速:3.36/13.2 
3速:2.17/20.4 
4速:1.72/25.7 
5速:1.14/38.9 
6速:1.00/44.3 
7速:0.82/54.1 
8速:0.64/69.2
最終減速比:2.81:1

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:9.6km/L
ツーリング:15.6km/L
動力性能計測時:4.7km/L

メーカー公表値:消費率
低速(市街地):8.8-8.9km/L
中速(郊外):12.8-13.0km/L
高速(高速道路):14.9-15.2km/L
超高速:13.5-13.9km/L
混合:12.8-13.0km/L

燃料タンク容量:59L
現実的な航続距離:598km
CO2排出量:176g/km

サスペンション

前:マクファーソンストラットコイルスプリング、スタビライザ
後:マルチリンク/コイルスプリング、スタビライザ

ステアリング

形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.2回転
最小回転直径:12.0m

ブレーキ

前:通気冷却式ディスク(サイズ未計測)
後:通気冷却式ディスク(サイズ未計測)
制御装置:ABS、ブレーキアシスト
ハンドブレーキ:電動、センターコンソールにスイッチ設置

静粛性

アイドリング:-dB
全開時:-dB
48km/h走行時:-dB
80km/h走行時:-dB
113km/h走行時:-dB

安全装備

ABS/ESC/DSC/DTC/EBD
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
交通弱者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%

発進加速

テスト条件:湿潤路面/気温5℃
0-30マイル/時(48km/h):1.6秒
0-40(64):2.3秒
0-50(80):3.1秒
0-60(97):4.1秒
0-70(113):5.3秒
0-80(129):6.6秒
0-90(145):8.1秒
0-100(161):10.0秒
0-110(177):12.2秒
0-120(193):14.8秒
0-130(209):17.9秒
0-140(225):22.3秒
0-402m発進加速:-秒(到達速度:-km/h)
0-1000m発進加速:-秒(到達速度:-km/h)

ライバルの発進加速

ライバルの発進加速
アウディS4 TDIクワトロ(2019年)
テスト条件:乾燥路面/気温23℃
0-30マイル/時(48km/h):1.8秒
0-40(64):2.6秒
0-50(80):3.6秒
0-60(97):4.6秒
0-70(113):5.9秒
0-80(129):7.5秒
0-90(145):9.4秒
0-100(161):11.5秒
0-110(177):14.2秒
0-120(193):17.1秒
0-130(209):20.6秒
0-140(225):25.3秒
0-402m発進加速:13.2秒(到達速度:172.2km/h)
0-1000m発進加速:24.0秒(到達速度:221.3km/h)

中間加速

20-40mph(32-64km/h):1.8秒(2速)/2.9秒(3速)

30-50(48-80):1.3秒(2速)/2.1秒(3速)/3.5秒(4速)/5.3秒(5速)

40-60(64-97):1.2秒(2速)/1.6秒(3速)/2.7秒(4速)/4.3秒(5速)/7.0秒(6速)

50-70(80-113):1.2秒(2速)/1.5秒(3速)/2.1秒(4速)/3.5秒(5速)/6.2秒(6速)/12.4秒(7速)

60-80(97-129):1.6秒(3速)/2.0秒(4速)/3.0秒(5速)/5.3秒(6速)11.3秒(7速)

70-90(113-145):1.7秒(3速)/2.1秒(4速)/2.7秒(5速)/4.6秒(6速)/10.4秒(7速)

80-100(129-161):1.8秒(3速)/2.1秒(4速)/2.9秒(5速)/4.4秒(6速)/9.1秒(7速)

90-110(145-177):2.2秒(4速)/3.1秒(5速)/4.3秒(6速)/8.5秒(7速)

100-120(161-193):2.4秒(4速)/3.2秒(5速)/4.4秒(6速)

120-140(193-225):3.7秒(5速)/5.3秒(6速)

140-160(225-257):5.0秒(5速)

制動距離

テスト条件:湿潤路面/気温5℃
30-0マイル/時(48km/h):9.2m
50-0マイル/時(64km/h):25.8m
70-0マイル/時(80km/h):49.6m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:3.01秒

ライバルの制動距離

アウディS4 TDIクワトロ(2019年)
テスト条件:乾燥路面/気温23℃
30-0マイル/時(48km/h):8.7m
50-0マイル/時(64km/h):23.7m
70-0マイル/時(80km/h):46.9m

各ギアの最高速

1速:59.5km/h(7000rpm)
2速:91.7km/h(7000rpm)
3速:143.2km/h(7000rpm)
4速:180.2km/h(7000rpm)
5速:249.4km/h(6414rpm)
6速:249.4km/h(5627rpm)
7速:249.4km/h(4614rpm)
8速(公称値):250.0km/h(3601rpm)

8速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):1626rpm/1859rpm

結論 ★★★★★★★★☆☆

いまや4シリーズはブランド性を確立したが、あまり成功しすぎるのは身のためにならないのではないかと思うのではないだろうか。というのも、先代モデルでは、相当数の3シリーズオーナーが、4シリーズのグランクーペに乗り換えたという噂が広まったからだ。

しかし、新型4シリーズのルックスと、BMWがパワートレインのラインアップを制限したことを踏まえると、2021年に乗り換えられる数は2013年のときほど多くはならないだろうと思える。

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結論:円熟味のある、魅力的で実力の高いクーペだ。ただし、ルックスだけは好き嫌いがハッキリわかれるだろう。    MAX EDLESTON

このクルマのスタイリングにいいたいことがいくらあったとしても、数多くのさまざまな客観的な資質に言及しないのは不公平だろう。M440iは毎日乗れて、どんな場合にも楽しめるクルマだ。速く、ドライビングに熱中できる。安定していて、落ち着きがあり、長距離の高速移動も得意で、洗練度も高い。しかも、インテリアはリッチでラグジュアリーだ。

残念なのは、感覚的な問題だ。見栄えがイマイチなだけではなく、サウンドも物足りない。採点するなら、ハイスコアを与えるに足るクルマだ。ただし、心から好きになれるかというのはまた別の話である。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

いくつかの走行モードを選ぶと、指針式のメーターが表示されなくなるのは気に入らない。デジタル速度計でいいと思えるときばかりではないし、オプションのヘッドアップディスプレイがなければ見づらいこともある。もっとシンプルで、読み取りやすい円形メーターが表示されれば、それこそ丸く収まるのだが。

リチャード・レーン

3シリーズでは最大サイズのタイヤをランフラットでなくしたBMWが、4シリーズでそうしなかったのは興味深い。ドライビングに悪影響はないのだろうか。ステアリングフィールはもっとよくなっただろうし、乗り心地ももう少しおだやかになったはずだ。ただし、どちらも大きな問題となるほどではない。

オプション追加のアドバイス

430iのMスポーツプロ仕様に、テクノロジーパッケージを装着するのがおすすめだ。高性能な後輪駆動クーペで、サスペンションは適切なスペックとなり、LSDもついてきて、価格は5万ポンド(約700万円)を切る。

改善してほしいポイント

・本当のエンジン音を、もっとキャビンで楽しみたい。フロントバルクヘッドに伝声管のようなものを設けることはできないだろうか。
グリルはもっと低くするべきだ。形状変更も、サイズ縮小もしなくていい。位置を下げるだけでいいのだ。
・5シリーズに設定される6気筒PHEVユニットを移植して、445eを仕立てることはできないだろうか。


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