子育てをする中で、子どもの「歯」のケアに頭を悩ませる人も多いのではないでしょうか。特に、子どもが小さいうちは自分で歯を磨くことができないため、親が代わりに歯を磨く必要がありますが、子どもが歯磨きを嫌がることもあります。また、共働き家庭で忙しく、毎食後に磨くのが困難な場合もあります。子どもの歯磨きについて、歯科医師の中村貢治さんに聞きました。

3歳ごろまでに自分で歯ブラシ

Q.そもそも、子どもの歯磨きは何歳から始めた方がよいのでしょうか。また、何歳までに一人で磨けるようにすべきなのでしょうか。

中村さん「基本的には、歯が生え始めた頃(早い子で生後6カ月程度)に歯磨きを開始するのがよいといわれています。ミルクや離乳食はいずれも虫歯の原因となり得ますので、できるだけ早めに開始すべきです。大人と同様、歯磨きは食後30分以降に行ってください。

3歳ごろには、自分で歯ブラシを持って磨けるようになるのがよいでしょう。ただし、10歳未満の子どもは磨き残しが多い傾向にあるため、子どもが磨いた後、親が必ず確認し、仕上げ磨きをしてあげてください。また、子どもが自主的に確認や仕上げ磨きを求めているのであれば、応じてあげましょう。

一般的に、10歳から12歳までの間に、子どもが一人で歯を磨けるようになるとよいといわれています。親が確認したときに磨き残しが見られないようであれば、一人で磨かせても問題ありません」

Q.保育園によっては食後に歯磨きの時間を設けない施設もあります。また、共働き家庭の中には、朝食後に子どもの歯を磨くのが難しく、歯を磨くのは寝る前の1回のみという家庭もあるようです。歯磨きは1日1回でも問題ないのでしょうか。

中村さん「できれば、毎食後に磨くのが理想ですが、難しい場合は1日2回、朝と夜寝る前に磨くとよいでしょう。就寝中は唾液の分泌が少なくなるため、虫歯になりやすくなります。また、朝は口の中が乾燥するため、一日で最も虫歯になりやすい時間帯です。

歯磨きの回数が1日1回になってしまう場合、丁寧に仕上げ磨きをすることはもちろん、乳歯は隙間が空いているケースが多いので、隙間に食べかすが残らないよう注意してください。特に、奥歯の頬側は食べかすが残りやすいので重点的に磨いてください。

なお、子どもの機嫌が悪いときに親が無理やり歯を磨くと、子どもが歯磨きを嫌がるようになります。歯磨きは子どもが機嫌のよいときに集中的に行うと効果的です」

Q.歯磨きを習慣付けるコツはありますか。

中村さん「子どもが自ら歯を磨くようになればよいのですが、親が何も言わなければ歯磨きをしないのは当然です。そこで、親が『歯を磨くのが楽しい』と思える環境をつくる努力をしてください。そのためには『褒めて伸ばす』ことを心掛けましょう。子どもが歯磨きを嫌がったり、うまく磨けなかったりしても決して叱らないでください。最初は歯磨きのまねごとでもよいので、できた時点で褒めるようにしましょう。

まずは褒めて、子どもが自ら歯磨きするようになること、自分で磨いた後に親に確認を求めるようになるまで褒めて伸ばしてください。褒めれば子どもはうれしくなりますから、おのずと確認させてくれるようになります。磨き残しは親が『確認』『仕上げ磨き』をすることで対処できます」

Q.子どもの虫歯を防ぐために、与えるのを控えた方がよい食べ物はありますか。

中村さん「基本的にありませんが、食事の質は子どもの学力にも影響するといわれています。しっかりとバランスを考え、偏った食事にならないようにすることが大切です。また、やわらかい食品は歯の間や口の中に食べ物が残りやすいため、それらの物を食べた後はしっかりと歯磨きをすることが大事です」

Q.小さいうちから、歯科医院で定期健診を受けるべきでしょうか。

中村さん「少なくとも『1歳半健診』『3歳児健診』は必ず受けるべきです。また、小学校に入ると学校健診が年1回実施されるので、なるべく受診するようにしましょう。このほか、自治体によっては『4歳児健診』『6歳児健診』がありますので、可能であれば受けた方がいいでしょう。

それ以外も定期的に受診した方がよいのですが、子どもが嫌がる場合は無理に連れて行かないようにしましょう。無理やり連れて行くと歯科医院に行きたがらなくなります。気を付けてください」

オトナンサー編集部

子どもの歯磨き、注意点は?