日常が満たされていないわけではなのに、いつもなんとなく寂しい。

恋人に「もっと自分を必要とされたい!」と思う気持ちが強過ぎて、相手に愛情確認の行為がやめられない、など愛情のコントロールに悩んでいませんか?

今回は「愛されたい」と願う気持ちの正体を探り、そうした感情への対処法をお伝えしていきたいと思います。

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■そもそも「愛されたい」と思う心理とは

精神医学者のフロイトは、人間の最大のトラウマは「産まれてくること」であると提唱しました。これは言い換えれば、母親とへその緒でつながった状態が絶対的な安心であるということを意味すると考えられます。

したがって、母親から分離して「個」となっても、人はやはり「つながっている」という絶対的な安心への回帰願望があるということではないでしょうか。

つまり「愛されたい」と願うことは生まれてきた人間誰もが持つ自然な感情であり、それは男女の恋愛に限定して生じる感情ではありません。実際は恋愛において使われることが多い「愛されたい」という概念ですが、それだけではないことをまず理解してください。

■「愛されたい症候群」って知ってる?

中でも、恋愛の場面において過剰に愛されたいと願う心理状態やそれに伴う言動を、世俗的に「愛されたい症候群」といいます。

前述したように、「愛されたい」と願う気持ちは誰もが持つ感情ですが、この感情が「過剰」であるということがポイントで、しばしば相手に負担を強いていることが分かっていても止められないという状態を伴います。

■【診断】あなたの「愛されたい」という気持ちは過剰?

では、あなたの「愛されたい」と思う気持ちは、過剰と判断されるものなのかチェックしてみましょう。

4つ以上当てはまる場合は、愛されたい症候群かもしれません。

□恋人の愛情を試すような行動を取ってしまう
□付き合うとその相手とすぐに結婚をしたくなる
□親からの愛情が薄い幼少期を過ごした
□親が過干渉だった
□常に漠然とした不安がある
□自分に自信がない

■過剰に「愛されたい」と思ってしまう原因

では、どうして強く「愛されたい」と思ってしまうのでしょうか? その原因に迫ります。

◇(1)幼少期の愛情不足

赤ちゃんや幼少期の子どもはオムツが濡れたら泣き、お腹が空いたら泣き、欲しい物があればダダをこね、とてもわがままで自由奔放です。

しかし、この時期に「それでも愛される」という体験はとても大切です。自分はありのままで愛される存在であるという体験が薄いと、恋愛をした際にわざと相手を混乱させることをして「こんな私でも好き?」といった相手を試す行動につながりやすくなります。

◇(2)親からの条件付きの愛情

親にとっての「良い子」でいる時のみしか愛してもらえないという「親からの条件付きの愛情」の中で育つと、自分に自信が持てず、必要以上に相手の顔色を伺う癖がついてしまいます。

そうなると恋愛関係になっても相手の愛情を信じることができず、常に「本当に好き?」といった愛情確認がやめられず、次第にお互いが疲弊していってしまいます。

◇(3)過去の恋愛で深く傷ついた

信頼し、深く愛した人からひどい裏切られ方をした経験から、自分が愛し過ぎると深い傷がつくというトラウマが残り、その後の恋愛で相手の愛情と自分の愛情の度合いを測るようになってしまいます。

その結果、自分の愛情を出し惜しみして相手からの愛情だけ欲しがるという自分勝手な恋愛になってしまうのです。

■満たされない気持ちの解消法

「愛されたい」と思う理由はさまざまですが、そんな満たされない気持ちを解消するにはどうずればいいのかも詳しくお伝えします。

◇(1)好きなものを通じて人とつながる

あなたが好きなものは何ですか? 身の周りに同調できる人がいなくても、今はSNSで世界の人とつながることができます。

そんなふうに、自分が好きなものを通じて積極的に人とつながってみてください。「私と恋人」という1対1の閉鎖された空間だけでなく、もっと広い空間でつながれる場所があるということを知ると、一人の愛情だけに固執しなくなります。

◇(2)自分からしっかり愛情表現をする

「なんでもっと連絡くれないの?」「どうしてもっと自分のために時間を割いてくれないの?」と相手に要求する気持ちが暴走しそうになったら、一度深呼吸をして「じゃあ、自分は相手にきちんと愛情表現しているか」と自分に問いかけてみてください。

相手を責める言葉を送りたくなった時こそ、相手に愛の言葉を送ってみてください。その言葉で、自分自身も満たされることに気付くはずです。

◇(3)一人で笑顔になれるものを見つける

あえて「趣味を見つけましょう」とは言いません。「趣味」というと「趣味と呼べるものも特にない」とますます落ち込んでしまう方が多いからです。

ですが、趣味と呼べるものでなくても、自然と笑顔になってしまうことは意外と日常の中にあります。例えば、好きなタレントが出ているドラマや映画を見ている時や、欲しかった物を買って満足した時など。それを自覚してその時間を大切にしてみてください。

そうすることで、心が満たされるでしょう。

■愛される人になる方法

「愛されたい」と思うなら、愛される人になる努力も必要です。最後に、その方法をお伝えします。

◇(1)「ない」ではなく「ある」の発想を持つ

日常生活を、「ない」で考えてしまう癖がないかを点検してみましょう。例えば「今月はあと1万円しか使えない」「今日しか休みがない」など。

しかし、それを「今月あと1万円ある」「休みがあと1日ある」といったふうに「ある」で考えていくと、既に十分与えられていることに気付きます。

そうすることで、気持ちが前向きになり、そんなポジティブさが周りの人に愛される要素となっていくでしょう。

◇(2)好きなものを好きという

「愛されたいと願うなら、まず自分から愛すること」は前述しましたが、自分から愛し、さらにそれを相手に伝えるのは恥ずかしいと躊躇してしまう方も多いのではないでしょうか。

ですので、まずは好きなものを「好き」ということを意識してください。

例えば、「高尚な趣味でないから言うのは恥ずかしい……」と考えてしまう人は意外と多いのですが、人に迷惑をかけなければ「好き」は自由です。

自分の好きを堂々と言えるようになると、好きの対象が人になってもそれを伝えられるようになります。愛は待つだけではなく、伝えた方が返ってくる確率が上がるのです。

◇(3)一人で受け入れる

何でも一人で耐えることが良いということではありません。つらい時にSOSを出すこともとても大切です。

ただ、自分が「愛されたい症候群」の気質がありそれを直していきたいと思うのでしたら、つらさや寂しさを感じた時に「一人でその感情を受け入れる」という力を身に付けることも必要です。

愛されたい症候群の人は、愛をもらえたことが強烈な成功体験となり「もっと、もっと」とエスカレートしていきがちです。しかし、相手の与えられる限界はあります。「もう無理!」とバーンアウトされてしまったら戻ることは困難ですし、自分も深く傷つきます。

ですので、愛されたいのであれば、過度に欲しがる気持ちを抑えて耐える時間も大切なのです。

■自分から愛していくことも忘れないで

例えば、風邪を引いた時。自分の代わりに薬を買ってきてもらうことはできでも、体のつらい症状を相手に引き受けてもらうことはできませんよね。

これと同じように、自分自身の感情は、最終的には自分が引き受けて満たしていくしかないのです。

心に寄り添ってほしい、愛してほしいと願う気持ちが、いつしか自分と一体化してほしいという不可能な要求になってはいないでしょうか? 過剰に求めてしまう時ほど深呼吸を。冷静になって自分に問いかけてみることが大切です。

小日向るり子)

※画像はイメージです

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