今月初め、アメリカに住む9歳女児が大好きな父を交通事故で亡くした。女児はその後、お葬式をあげるお金がないことを知り、父とよく一緒に焼いたクッキーなどを手作りして販売することにした。心温まるニュースを『People.com』などが伝えている。

ケンタッキー州フェアデール在住のジェイソンバートンさん(Jason Barton、35)は3日夜11時頃、車を運転中に事故に遭い息を引き取った。3児の父だったジェイソンさん生命保険に加入していなかったばかりか貯金もほとんどなく、大黒柱の死はコロナ禍で厳しい生活を強いられていた一家を窮地に追い詰めた。

事故の翌日、悲しみに暮れる一家のためにジェイソンさんの親戚のコートニーさん(Kourtney)がクラウドファンディングサイト『GoFundMe』を立ち上げ、次のように訴えた。

「残された家族にとってこんなつらい事故はありません。子供が父親を失うのを見るのは心が痛みます。葬儀費用を出せない一家のために、少しでもいいから寄付をお願いします。」

そしてジェイソンさんの長女で小学4年生のケイリー・ミラーちゃん(Kaylei Miller、9)も、「父のためになんとかお葬式をしてあげたい」と得意なお菓子を作って販売することにした。ケイリーちゃんは事故から3日後、自宅のキッチンで丸一日をかけてポップコーンクッキー、レッドベルベットケーキ、ブラウニーなどを作り、小さな袋に詰め込んだ。

こうして今月7日、ケイリーちゃんは地元のアイスクリームショップ「デイリークイーン(Dairy Queen)」の駐車場で手作りのお菓子を販売した。

実はケイリーちゃんがジェイソンさんのためにお菓子の販売をすることはSNSなどを通じて広まっており、当日店の裏には「なんとか一家をサポートができれば」という人や車が長い列を作り、ケイリーちゃんは辺りが暗くなるまで販売を続けた。

ケンタッキー州ルイビルのメディア『WAVE 3 News』を見てやってきたというジャックさんとデビーさんは、チョコレートクッキー2枚の代金として1000ドル(約10万3000円)を手渡しており、ケイリーちゃんの母ウィットニーさん(Whitney)は涙を浮かべて感謝した。

ジャックさんは寄付について、同メディアのインタビューに次のように語った。

パンデミックだからといって、私たちが思いやりの心を失うことはありません。私の妻は小学3年生の時に父を亡くしており、当時のことを今でも覚えているそうです。まだ若い彼女の心の痛みを考えたら、助けずにはいられなかったのです。」

また『GoFundMe』には日本時間18日の時点で、目標額3000ドル(約31万円)に対し4万6000ドル(約477万円)以上が集まっている。ウィットニーさんは10日、同サイトに感謝の言葉をこのように綴った。

「今まで一度も会ったこともない人たちがたくさんの寄付をして、私たちを支えてくれています。人々が私たちのことをこれほど気遣ってくれるなんて、そんなことは一生あり得ないと思っていました。」

「夫が一生懸命働いてくれたおかげで、私たち家族はここにいます。私は夫のおかげで自分らしくいられたし、3人の美しい子供たちにも恵まれました。子供たちを見ていると夫の顔や笑顔が浮かんで、彼のことを考えない日はありません。事故は悲劇です。私は叶わないと分かっていながらも、これが事実でなければ、子供たちに『ダディはもう帰ってこないんだよ』と伝えなくても済んだのに…と思ったものでした。」

「悲しみに打ちひしがれ途方に暮れている私たちにとって、みなさんの寄付や思いやりがどんなに嬉しかったことか…。私たちはきっとこれを乗り越え、ジェイソンのことを忘れることなく生きていきます。」

一方でケイリーちゃんは「昨日は泣いちゃったの。だって、みんなが私たちのことを考えて思いやってくれたから。父は私の全てだった。だから本当に感謝しているわ!」と語り、笑顔を見せた。

ケイリーちゃんには「負けないで」「きっとお父さんは、あなたのことを誇りに思っているよ」「お父さんに可愛がられていたんだね。きっと天国から見てくれているよ」といったメッセージが届いており、ケイリーちゃんは翌日の午後もお菓子の販売を続けたという。

画像は『WAVE 3 News 2021年1月9日付Facebook「9-year-old Fairdale girl raising money for dad’s funeral through bake sales」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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