累計発行部数130万部を超えるベストセラーコミックス『さんかく窓の外側は夜』が豪華俳優陣によって実写映画化された。

本作は、霊が祓える男・冷川理人(岡田将生)と霊が視える男・三角康介(志尊 淳)が、“除霊”という特殊能力を使って怪奇事件の解決に挑む新感覚ミステリー。ダブル主演を務める岡田と志尊が初共演にして最強バディを組むことに加え、呪いを操る女子高生としてストーリーの鍵を握るヒロイン・ヒウラエリカ役に平手友梨奈がキャスティングされたことでも注目を集めている。

今回は、SNSに3ショットを公開するなど、その仲の良さから“さんかく窓3兄妹”と呼ばれている岡田・志尊・平手にインタビュー。作品や役柄のこと、そしてお互いの印象や距離が縮まったきっかけなどついて、微笑ましいやりとりを交えながら教えてくれた。

取材・文 / 上條真由美 撮影 / 斎藤大嗣

◆早い段階で距離を縮められた。ふたりとは冗談を言い合える心地の良い関係性(岡田)

ーー SNSなどで以前から皆さんの仲睦まじい姿を拝見していました。今回が初共演となりますが、どのようにその関係性をつくっていかれたのでしょうか?

【 岡田 】 志尊くんとはバディ役だったので、できるだけ早く仲良くなって信頼関係を築きたいと思っていたのですが、(志尊)淳くんも同じように考えてくれていたようで、すぐに意気投合しました。

てち(平手)はすごく人見知りで、最初は現場のすみっこで捨てられた子犬のように(真似をして)ポツンと座っていたんです(笑)。でも、あるとき森ガキ監督が間に入ってくださって。それからは常に僕と淳くんのそばにいて、少しずつ話もしてくれるようになりました。クランクインして早い段階で距離を縮められたので、みんなで作品と向き合うことができてよかったです。ふたりとは今日のようにひさしぶりに会っても冗談を言い合える、心地の良い関係性ですね。

【 志尊 】 まーくん(岡田)とは本当にすぐ仲良くなりました。おかげで、どうバディ感をつくっていくかなど、言葉で共有せずとも一緒に過ごす中でわかり合えることが多かったです。それぞれの役づくりを尊重していたので、撮影中に芝居の話をすることはありませんでしたが、役者の先輩としていろんな相談に乗っていただきました。

てちはたしかに捨てられた子犬のようでした(笑)。でも、僕らが呼びかけると、ちゃんと反応してくれて、徐々に心を開いてくれているのもわかったので、歩み寄りやすかったです。最終的に現場の空気をつくっていたのはてちで、僕らはそれについていかせてもらった感じですね。

ーー おふたりとも平手さんのことを捨てられた子犬のようだったと。

【 平手 】 そんなことは……(笑)。私は役柄的にひとりのシーンが多く、おふたりと一緒になることはあまりなかったのですが、監督から「もっとコミュニケーションを取ってほしい」と言われて。滝藤(賢一)さん含め3人でお話をしているところに入れていただいたんです。

【 志尊 】 てちと初めて会った日のことよく覚えているよ。クランクイン前のお祓いで、最初に「平手友梨奈です。よろしくお願いします」と挨拶してくれて、帰るときには「お先に失礼します。お疲れ様でした」と声をかけてくれて、すごく丁寧な子だなと思った。

【 平手 】 (恐縮そうに顔を横に振る)

【 志尊 】 撮影初日に中空きができてしまい「いっぱい待たせてごめんね」と謝ったときも、「いえ、とんでもないです。全然構わないですから」と言ってくれて。本当に大丈夫って顔をしてくれたから、もっと積極的にコミュニケーションを取りたいなと思いました。

まーくんは心に熱を秘めている。てちは母親のよう(志尊)

ーー 撮影前後でお互いの印象は変わりましたか?

【 岡田 】 淳くんは出演作などを通じて抱いていた印象と変わらなかったです。熱くて、作品への愛や信念を持っている人でしたね。

てちは無口な印象でしたが、距離が近くなるとわりとしゃべる子でした。3人のときにだけ見せる顔があって、それを少しでも皆様にお届けしたいと思っているのですが、なかなか難しいですね(笑)。

ーー 3人のときはどんなお話をされているんですか?

【 志尊 】 まーくんとてちは、ずっと何か言い合っています(笑)。

【 岡田 】 平手ちゃんとは年齢がひと回りくらい違うのですが…。

ーー 本当に兄妹のような関係性なんですね。志尊さんはおふたりの印象についていかがですか?

【 志尊 】 まーくんは楽観的な印象で「熱量」という言葉がしっくりこないタイプだと思っていたのですが、内に熱と強い意志を秘めている人でした。それを表には出さず、ここぞってときに滲ませるところも素敵なんですよね。

てちはあまり生活感が見えないので「どんな子なんだろう」と興味がありました。実際に接してみるととても優しくて、仕事の状況を把握した上で健康を気遣う言葉をかけてくれたり、高校生なのに母親のようなところもある、不思議な魅力を持った子です。まーくんクランクアップしたときには「おめでとう」ってケーキを渡したり(笑)。

【 岡田 】 しかも、それ本作ではなく別の作品のクランクアップなんですよ。そんなことをしてもらったのは初めてだったので、わけがわからなくて「え?」ってなりました(笑)。

【 平手 】 そうやって他の作品でもお祝いするが当たり前だと思ってたんです。びっくりしてる岡田さんにびっくりして。なんかごめんなさい。

【 岡田 】 ううん、すごく嬉しかったよ!

【 志尊 】 健気でかわいらしいですよね。でも、本人は恥ずかしがってそういう部分を出したがらないんですよ。

ーー 平手さんはおふたりの印象についていかがですか?

【 平手 】 遠い存在というか。私が関わることのない方々だと思っていました。

【 岡田 】 質問ちゃんと聞いてた?(笑)

【 平手 】 印象……?

【 志尊 】 そう。撮影前後で変わった?

【 岡田 】 変わってないってことでいい(笑)?

【 平手 】 おふたりのことをそんなに知らない状態でお会いしたので、差やギャップを感じることはなかったです。

【 岡田・志尊 】 (にこにこ

◆何を得られたかこれから実感していくと思う(平手)

ーー 岡田さんは除霊師の冷川役をどのように演じようと思われましたか?

【 岡田 】 台本を読んで「このバディで心地の良い気持ち悪さを出したい」と思いました。それがミステリアスで感情が欠落している冷川という人間に直結すると考えたからです。

僕が集中して役や表現と向き合えたのは、作品の土台を支え、全体のバランスを取ってくれていた淳くんのおかげなので本当に感謝しています。周りが好き勝手やって、それを受け止めて丸く収める、今回の淳くんの立ち位置の大変さは僕もよくわかっているので。これまで先輩達に自由に芝居されて「いつか僕もその立ち位置に行ってやる」と思っていましたが、やっとここまで来られました(笑)。

ーー あははは(笑)。志尊さんは三角として冷川を受け止める立場でしたが。

【 志尊 】 仲の良いバディ役は何度かやったことがあるのですが、冷川と三角のような関係性は初めてだったので「これでいいのかな?」と思う瞬間もありましたが、「これでいいんだ」と自分に言い聞かせて演じました。

はじめは冷川のことを「何この人、気持ち悪い」と思う三角ですが、だんだんマイノリティとして生きてきた人間の孤独を共有できることに、言葉にはできない安心感を覚えるようになります。本作は言葉の数が少ないので、ふたりの距離感の変化を目線やセリフのぶつけ方でどう伝えるかをすごく考えました。また、三角はお客さんの目線に一番近い人物でもあるので、冷川のことを受け止めつつ、観ている方を置いていかないようなバランスも大切にしました。

ーー 平手さんが演じられたヒウラエリカは本作のキーパーソンでした。森ガキ監督からはどのような演出がありましたか?

【 平手 】 エリカは原作と映画で少し描かれ方が違うので、監督と相談しながらつくりあげていきました。演じる上では、最初に「孤独感を出したい」と言われていたので、そのことを常に意識しました。

ーー エリカ役を演じて得たものはありますか?

【 平手 】 まだ自分の中で消化しきれていなくて。これから少しずつ実感していくのだと思います。

ーー 本作を通して幽霊よりも人間のほうが怖いと思ったのですが、皆さんは幽霊よりも怖いと思うものはありますか?

【 岡田 】 SNSやネットでの誹謗中傷などを見ると人間の怖さを感じますよね。近年特に心ない言葉を目にすることが増えました。発信している本人もよくないことだと理解していると思うのですが、文字にするとその意識が薄れてしまうのかもしれません。そういった考えが間違っているということも、本作を通して伝えられたらと思います。

もうひとつ、クランクイン前日の夜がものすごく怖いです。お芝居をする怖さ、主演として作品を背負う怖さ。10年以上このお仕事をさせていただいていますが、まともに寝られたことがなくて、クランクインの日はいつも眠くてしょうがないんです(笑)。一方で、その怖さに慣れちゃいけないと思っている自分やその怖さを待っている自分もいて。だからこうして続けられていると思うんですけどね。

【 志尊 】 たしかにプレッシャーはすごいよね。僕が怖いのはイメージです。イメージってそれぞれがつくりあげるもので、コントロールすることもできるじゃないですか。それによってできなくなってしまうことや言えなくなってしまうこともあると思うんです。僕も昔は世間からどう見られているかすごく気にしていました。イメージと違っていたときにどこか悪者のようになること、イメージと実際が違っていたとしても否定できないことが辛かったですね。

ーー 平手さんはいかがですか?

【 平手 】 なんだろう……。(しばらく考えて)大きい音が怖いです。

【 岡田 】 ワンちゃんみたい(笑)。

【 志尊 】 「バーン!」みたいなのがダメなの?

【 平手 】 そう。こんな回答ですみません。おふたりはすごく真剣に答えたのに……。

【 志尊 】 雰囲気が重くならないようにバランスを取ってくれたんだよね!

ーー 本当に息ぴったりですね。文字になっても皆さんの仲の良さは十分に伝わると思います。ありがとうございました!

(c)2021映画「さんかく窓の外側は夜」製作委員会 (c)Tomoko Yamashita/libre

映画『さんかく窓の外側は夜』で初共演の岡田将生&志尊 淳&平手友梨奈が“さんかく窓3兄妹”と呼ばれるほど仲良くなったきっかけとは?は、WHAT's IN? tokyoへ。
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掲載:M-ON! Press