雪の季節になると、特に豪雪地域では着雪により信号機が見えないトラブルが頻発します。従来の電球式に比べ熱を発さないLED式が増えていますが、雪の対策としてどのような工夫を凝らし、雪国に設置されているのでしょうか。

熱をほとんど発しないLED 灯火部分の雪は解けず…

道路の信号機は、雪の季節になると見づらくなるという問題が生じます。信号機に雪が積もり、日を追うごとに雪の塊やつららが成長し灯火を遮るためです。

とりわけ2010年代以降、LED式の信号機が普及すると事態は深刻に。従来の信号機は電球が発する熱で灯火部分の雪は解けていたものの、LEDはほとんど熱を発しないため、特に吹雪の時は灯火部分に着雪してしまうのです。

豪雪地域では着雪対策として、信号機を縦向きに設置してきました。こうすることで積雪の面積を減らすことができ、雪の重みでアームが損傷する事故も防げます。ではLED式信号機にも対策はなされているのでしょうか。

2010(平成22)年頃、本体の凹凸を極力なくしたフラット型のLED式信号機が登場します。表面に着雪しにくいほか、10cm以下の厚さに加えフードを取っ払ったため、積雪面積も大幅に減少しました。また、下向きに角度をつけて設置することで、雪が灯火を遮るのを防いでいます。

電熱線をあえて内蔵し融雪を試みるLED式信号機

しかしフラット型も万全ではなく、例えば正面から吹雪を受けると灯火への着雪が発生しました。そこで、今度は灯火を全て覆う透明なフードが登場。雪が落ちやすい形状をしているほか、撥水性の高い素材を用いることで着雪の軽減を試みました。これは一定の効果はあるものの、環境によってはフードがあることで冬季を通じて徐々に積雪してしまい、さらにはそれが冷えて氷になった後落下するという事象もあるようです。

ほかにも灯火に電熱線を内蔵した信号機も設置されています。消費電力を抑えられるとして積極的に採用されたLED式信号機ですが、融雪のため別途発熱させる必要があるのです。

しかし、いずれの策も解決の決定打とはなっていないのが現状です。設置される環境や当日の気象条件によって大きく左右されます。この時期は警察官や自治体の職員などが長い棒を使い、信号機の雪下ろしをする光景もしばしば見られます。

万が一雪で見えなくなっている信号機を見かけたら、減速もしくは停車し周囲の動きに注意するとともに、その状況を警察へ届け出るとよいでしょう。

積雪したLED式信号機(画像:写真AC)。