1月18日、北京。国家統計局の寧吉喆局長は年に一度行う記者会見で、大らかな口調で述べた。

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2020年、厳しく複雑な国内外の環境で、特に新型コロナウイルス感染症の打撃に見舞われたが、習近平同志を核心とする党中央の堅強な指導の下で、各地域各部門が安定した中に進歩を求める活動の総合的な基調を堅持し、ウイルスの押さえ込みと社会発展活動の調整をしながら、6つの安定した活動を着実に実行しながら、経済の運営を安定して回復させ、就業民生をしっかり保障し、経済社会発展の主要な目標任務を、想定していたよりもうまく成し遂げられた。

 初歩的な概算によれば、通年のGDP101兆5986億元で、額面で言えば、昨年よりも2.3%増加した。四半期ごとで言えば、第1四半期が6.8%減、第2四半期が3.2%増、第3四半期が4.9%増、第4四半期が6.5%増だった。産業別では、第一次産業が7兆7754億元で3.0%増、第二次産業が38兆4255億元で2.6%増、第三次産業が55兆3977億元で2.1%増だった」

 最初の段落は、中国式の「長い接頭語」なので、あまり意味はない。大事なのは、このコロナ禍の中で、中国が昨年、2.3%成長を遂げたという事実だ。四半期ごとのデータを見ても、中国経済が完全にV字回復していることが分かる。

 他にも、食糧生産量が0.9%増の6億6949万トン、工業増加値が2.8%増、貿易額が1.9%増の32兆1557億元、実質国民平均所得が2.1%増の3万2189元などとなっている。例年に較べると、かなり見劣りする数値だが、それでも増加に「踏みとどまっている」のだ。

OECDの予想をさらに上回った中国の成長率

 各国・地域の昨年のGDPデータがまだ出ていないため、正確な比較はできない。だが、OECD(経済協力開発機構・本部パリ)が先月、G20(主要国・地域)の19カ国+EUの経済予測を出していて、それによると中国だけが唯一、プラス成長である。

 今回の発表は、OECDの予測1.8%より、0.5ポイントも上回った。昨年10月にIMF(国際通貨基金)が出した予測1.9%をも上回った。つまり、中国が2%超えの成長をするとは、欧米の機関も予測していなかったのである。

 いずれにしても、昨年を通じた新型コロナウイルスの世界的な蔓延は、中国の武漢が発生源であったけれども、一年が終わってみれば「中国の一人勝ち」なのである。そして2021年は、いち早く復興を果たした中国が、世界経済復興の牽引役になると見られる。

コロナショックの救世主はやはり中国しかないのか

 これは、2008年から翌年にかけての世界経済の復興パターンと酷似している。2008年9月、負債総額6130億ドルというアメリカ史上最大の負債額を抱えて、リーマン・ブラザーズ証券が158年の歴史に終止符を打った。そこから雪崩を打って、世界的な金融危機が始まった。EUはギリシャ危機が起こる直前で、アップアップ。日本も「失われた20年」の真っ只中にいた。

 この時、「世界経済の救世主」となったのが、2008年8月に北京五輪を成功させ、自信をつけていた中国だった。同年11月ワシントンで初めて開かれたG20で、「4兆元(約58兆円)の緊急財政支出」を宣言。チャイナマネーに世界が群がる格好で、世界経済は復興していった。

 今回12年ぶりに、同様の現象が起こりそうな気配である。先月のOECD予測でも、こう記している。

〈世界のGDPは、2020年に4.2%減少した後、2021年には4.2%増加すると見込まれる。ウイルスを抑制したアジア諸国で、最も強い回復が見られる〉

 この「ウイルスを抑制したアジア諸国」というのは、前後の文脈や表・グラフから解釈するに、中国、インドインドネシアの3カ国を指している。つまり、日本は除外されているわけだが、3カ国の中でも、圧倒的存在感を見せるのが、中国なのである。

バイデン政権の政策はいずれも中国と二人三脚で?

 こうした中国経済に、欧米は早くも引き寄せられる気配を見せている。

 アメリカでは周知のように、今週20日に、ジョー・バイデン政権が出帆する。バイデン大統領は、「まずは喫緊の4つの政策に全力を傾ける」と宣言している。

 第一に新型コロナウイルス対策である。1月18日感染者数は2200万人を超え、死亡者数は40万人に迫っている。そんな中でバイデン大統領は、3億3000万人の国民に100日間、マスクをつけてもらう」としている。これほど多くのマスクがどこから来るかと言えば、中国以外にない。

 第二に、経済復興である。アメリカ国内の経済がコロナで混乱している中、手っ取り早く経済を回復するには、最大の貿易相手国である中国への輸出を伸ばすのが一番だ。

 第三に、アメリカ国内での民族や出身地による差別の撤廃である。その中には、400万人の中国系アメリカ人も含まれる。中国系はいまや、アメリカ社会でユダヤ系に次ぐ「金満勢力」に成り上がっている。

 第四に、地球温暖化対策である。こちらも、世界最大の温室効果ガス排出国である中国の協力が欠かせない。

 つまり、4つの喫緊の政策はいずれも、中国と二人三脚で進めることを前提にしているようなものなのだ。バイデン政権としては、少なくとも政権発足当初は、ドナルド・トランプ政権のように、中国に向けて拳を振り回す気はないのである。

中国に「寝返った」EU

 EUもまた、同様である。12月30日、中国とEUは、電光石火で投資協定に合意した。これまで中国側が早期の合意を求めていたが、EU側が渋っていた。そのバックにはトランプ政権がいて、EUの背中を引っ張っていた。だがついに、EUが中国側に「寝返った」のだ。

 その背景には、昨年末にEU議長国を終えたドイツのアンゲラ・メルケル首相の「焦燥感」があった。メルケル首相は今年秋の総選挙で引退を宣言していて、後継者には、1月17日に最大与党CDUの党首に選出されたアルミン・ラシェット氏が、有力視されている。

 そんな中、メルケル首相は大きく「親中国」に舵を切ったのである。コロナ禍で主力の自動車産業を始め、経済が大打撃を受ける中、中国に頼るしかないと判断したからに他ならない。

 日本は尖閣諸島において、中国の脅威が増してきており、中国と手を組もうという気運は生まれていない。

 だが、香港問題などを巡って中国を非難している欧米も、その裏で二枚舌外交を行っていることは知っておくべきだろう。

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