たかが「表皮」がカーライフをも左右! クルマの「シート地」の複雑な中身と選び方

大きく分けると2種類だが素材によって細かく分かれている

 シートの素材にはいくつかの種類があるのは、ご存じだろう。大きく分けると布と革になるが、さらに細かく分かれていて、それぞれメリットデメリットがある。今回はシートに使われる生地についてみてみよう。

 まずは布だが、英語で生地を意味するファブリックとも呼ばれ、響きの良さもあってカタログにはこちらで表記されていることが多い。一般的にファブリックというのは、織り目の付いたいわゆる布を指すが、以前はモケットが人気だった時代もある。

クルマのシート生地

 モケットとは、ふわふわした毛羽立った風合いのもので、いまでも電車やバスのシートに使われている素材だ。人気だった理由は高級ソファーみたいだからで、1980年ごろのサルーンによく使われていたし、AE86ですらオレンジっぽいモケットのシートが使われていたほど。

クルマのシート生地

 そのほか、トリコットという少し光沢をもった素材も使われるが、布全体のメリットとしては加工がしやすく、安価というのがある。デメリットは擦り切れるなど、耐久性がそこそこなのと、コーヒージュースをこぼしたり、汗をかくと染み込んでしまうことだろう。

レザーシートのほうが高価だが布のほうがいい面もある!

 一方、レザーシートの持ち味はやはり高級感だ。コストはかかるものの、しっかりと仕上げれば、風合いはよく、しっとりとした感触が楽しめる。高級車に使われるのはこの点を活かしてのこと。ただ、色を塗って作られているので、表面が劣化してくるし、汚れが付くと落としにくいこともある。また、革自体が劣化してくることもあって、丈夫なようで長く使うにはそれなりの手入れが必要だ。表面処理によってはコーナーなどで横Gがかかったときに滑ることがあったりするので、加工や仕上げによってシート自体も左右する生地といっていい。

クルマのシート生地

 さらに革でも、独特の風合いをもったものが、スウェードやバックスキンと呼ばれる裏地を加工したもの。毛羽が立てられていて、独特の風合いが楽しめるが、表面はツルツルではないので、汚れがかなりつきやすく、落としにくいというデメリットがある。そのため、シートに使われる場合は一部のみとなることが多い。

クルマのシート生地

 レザーは天然素材を丁寧に加工する必要があるので、どうしても高くなってしまうが、その欠点を補うのが人工レザーと呼ばれる素材で、アルカンターラなどがお馴染みだ。人工というだけに、化学的に作られた生地となって、アルカンターラは東レが開発したものとなる。バックスキンのような触り心地のものが多く、耐久性も高く、比較的安価に抑えることができるというメリットもある。

クルマのシート生地

 そしていまや絶滅してしまったのが、ビニールレザーだ。ビニールなのにレザーというのは矛盾しているが、最近までタクシーには使われていたし、トラックなどの商用車の一部ではまだ使われていて、ビニールを加工して少しだけだが、レザーのような風合いを出しているのが特徴。いま思えば安っぽいけど、1970年代では布とは違う新しい感じがしていて、1970年代あたりには乗用車でも広く使われていた。複雑なシボや柄を入れてそれなりに、高級感を出していたものだ。ただ、ビニールなので汗が染み込まず、夏はベタベタしたり、冬は座りはじめが冷たかったりしたものだ。

クルマのシート生地

 このように生地ひとつ取ってみても、さまざまで、クルマキャラクターや時代に合わせて流行り廃りがあるし、加工の仕方やカラーなども進化していくことがわかる。

クルマのシート生地

たかが「表皮」がカーライフをも左右! クルマの「シート地」の複雑な中身と選び方