アメリカでは議会にトランプ支持者が雪崩れ込んで死傷者が出ておりますが、我が国では怖れていた緊急事態宣言が出てしまいました。昨年4月に出された前回の緊急事態宣言に比べると随分と緩みまくっているのが気になりますが、皆さん自粛してますか。(全2回の1回め/後編を読む)

クソ会見を乱発した皆さんの総覧をしながら

 そんな状況に花を添えるように、東と西に分かれて自己顕示欲を抑えられない両知事の不毛なバカ発言が乱発されて、コロナそっちのけでエンターテイメントが提供されております。東京都知事の小池百合子さん、大阪府知事の吉村洋文さんほか、どさくさに紛れて余計なことをたくさんやり、たくさんテレビに出ようと宣言を乱発しておられる姿に「ああ、現代の政治家というのは中身はともかく騒いでナンボなんだな」と思わずにはいられません。

 それ以外にも、JR東海悲願のリニア中央新幹線を粉砕しようとする静岡県知事・川勝平太さんや、謎の知名度アップを狙う神奈川県知事・黒岩祐治さん、さらには知事失言界の新星として急浮上した石川県知事・谷本正憲さんなど、変な人たちがいっぱいいます。どうしてお前ら知事になってしまったの。一身に脚光を浴びて、ついに地方政治の時代が来たなと思わないでもありません。

 2020年2月以降、約1年にわたってクソ会見を乱発した皆さんの総覧をしながら、ステイホームさせられる我々の行く末を考えていきたいと思います!

(1)2020年3月25日 小池百合子都知事「感染爆発 重大局面」の謎フリップを示す

「10人台超えるとまずい東京都、危機感強く外出自粛要請 封じ込め可否予断許さず(毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20200325/k00/00m/040/322000c

 小池百合子さんの標語は「感染爆発 重大局面」。

 当時の安倍晋三政権があまりコロナ対策を踏み込んで行わない雰囲気のため、痺れを切らした我らが都知事・小池百合子さんが出てきてフリップ芸開始。言われてみれば、去年の3月で『ロックダウン』だ『東京封鎖』だと騒いでいたころは、まだ東京都で確認された1日の感染者数は10人とかだったんですね。

 東京での1日の新規感染者数が2,400人を超えちゃったいま、この時点でもっとちゃんと大騒ぎしておけば……と思うんですが、人間、慣れとは怖ろしいものでございます。

 いずれにせよ、重要な節目だったのは間違いないのですが、次々と思いつきで標語を打ち立てるのはやめましょう。

(2)2020年3月26日 神奈川県知事・黒岩さん、調子にのって医療従事者を「コロナファイターズ」と命名する

医療従事者らに「コロナファイター」と命名、「軽はずみ」「不謹慎」と批判(読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200404-OYT1T50157/

 存在感を示したい神奈川県知事・黒岩さん、コロナ対策のため前線で戦う医療従事者の皆さんを「コロナファイターズ」と命名し、どうでもいい話なのにイライラした国民感情にヒット、無事炎上するという騒ぎがありました。

 ウケると思ってパフォーマンスしてみたら地層ごとスベった事例に涙するわけですが、恥ずかしく思った神奈川県民から謝罪を受けたりもしました。いいんですよ、ウチの都知事も小池百合子さんですから。

 この後、黒岩さんは少しおとなしくなります。ちゃんとやればできる知事のはずなんですが、これ以上追い切れなくなったのか、現在ではコロナ感染者の追跡は家族以外しないと発表し、だめだこりゃという感じが致します。

(3)2020年3月27日 石川県谷本知事、「コロナ無症状なら石川県に観光に来て」と面白発言

 思ったことをつい口に出してしまう率直な人柄で高名な石川県知事の谷本さん、コロナで騒ぎが広がる中、コロナ無症状なら石川県に観光に来いやアピールをして、一足先にGo Toトラベル先取りの発言をし、おおいに叩かれます。

 「無症状の方については、石川県をご使用いただければね。新幹線もございますから、(東京から)2時間半で来られますから」との言葉を受けて石川県を訪問した東京在住の人たちはどのくらいいたのでしょうか。

 石川県出身の友人らとやり取りする「うちの知事がすいません」「いえいえ、うちなんて小池百合子さんですから」「そんな、うちなんて森田健作さんですよ」というやり取りが定番になってきたのはこの辺からな気がします。

(4)2020年3月30日 吉村洋文府知事、寝てない感を醸し出し働いてる風の会見を行う

「国は緊急事態宣言を」 大阪府知事、感染経路不明増加で 新型コロナ毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20200330/k00/00m/040/163000c

 小池百合子さんのフリップ芸に感化されたのか、今度は大阪府知事の吉村洋文さんが頑張って記者会見をします。曰く「国は緊急事態宣言を」。府内の感染者数が200人を超え、対策に奔走している風の演出をネットで醸して俺たちの吉村洋文と持ち上げられます。

 いま振り返ると、この時点が吉村洋文さんの働いているピークだったかもしれません。その後、ろくでもないことしかしていないので。持ち上げているのは在阪マスコミに煽られた維新支持者ぐらいじゃないかと思うんですよね。

 この「吉村洋文さんのイマイチ意味のないことで頑張ってる感」と「それを万歳三唱で無批判に持ち上げる大阪府民」「維新政治家の活躍をいちいち伝える在阪マスコミ」の大阪退廃トライアングルの狂騒曲はいまなお続いています。

(5)2020年4月14日 府知事・吉村さん、謎の製薬ベンチャー「アンジェス」に大阪ワクチン開発で協定締結

コロナワクチン7月にも臨床試験 大阪、治療薬の効果検証も(共同通信社
https://this.kiji.is/622719642539820129

 4月14日に、製薬ベンチャー風の企業体として知られるアンジェスとかいう会社と大阪府大阪市が開発に関する協定を締結するという面白事案が勃発しました。

 アンジェスが公式IRで言う「7月には動物実験」という掛け声もむなしくなかなかワクチン開発が困難な情勢の中、なぜか映画製作にカネを突っ込んでることまで判明して、実にアレな状況に陥っているようです。もはや株券印刷業と揶揄される事態に発展し、「大阪発祥のバイオベンチャーだから」と真偽をきちんと確認しないまま持ち上げてしまった府知事・吉村さんの知能指数が問われる事態となってしまいます。

 ワクチンが必要だからと言って、思いつきで対策を打つのはやめましょう。

(6)2020年4月15日 府知事・吉村さん、大阪市松井一郎市長と共同でコロナ対策用「雨がっぱ」を確保する

大阪府知事「防護服の代用品として10万枚はポンチョを確保」大阪市と共同で(m3.com
https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/755646/

 医療機関向けの防護服の不足に対応するためと称して、大阪府知事・吉村洋文さんと大阪市長松井一郎さんが共同で「雨がっぱ」「ポンチョ」10万枚の提供を府民に依頼するという騒ぎが勃発しました。

 もちろん医療物資不足は深刻でしたし、無いよりはあったほうがいいという一心で言ったんでしょう。が、医療物資の備蓄を行うべき大阪府が対策をあまりできていなかったことの裏返しでもあり、36万着も集まってしまった雨がっぱはいまも4万枚近く余ってて、市職員40名が一日がかりで市の施設で保管する労力を払うなど事後処理に追われています。

 医療物資が必要だからと言って、思いつきで対策を打つのはやめましょう。さすがの大阪府民も一瞬「知事がここまでしてくれるのか」と好意的な報道を受けて支持を伸ばしたようですが、すぐに大阪以外の他都道府県民から馬鹿にされ、いつの間にかなかったことになりました。

 どうして後のことを考えないんでしょうね。思いつきで徴発政策を発表するのはやめましょう。

(7)2020年4月25日 都知事・小池さん、突然「いのちを守る STAY HOME週間」とか言い出す

「いのちを守る STAY HOME 週間」1都3県共同キャンペーン(東京都制企画局)
https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/information/0423message.html

 アピールすればいいってもんじゃないだろうと思いつつも、いまやステイホームは週間どころか年間になったというオチになっておりますが、前回の緊急事態宣言中にこんなことを言うておられます。

 その後、「3密回避しろ」と小池さんは言っているのに小池さんの都知事記者会見はしばらく密閉されたところに担当記者さんやカメラマンがひしめく場所で行われていることを批判され、いつの間にかステイホーム週間という働きかけ自体がフェードアウトしました。

 確かにパフォーマンスをしたい小池百合子さんからすれば、聴衆が目の前にいないと単に緑の服を着てスベってるおばさんになってしまうので、無観客試合にしたくないのかもしれません。

 思いつきで宣言を出すのはほんとやめましょう。

(8)2020年5月14日 府知事・吉村さん、突然意味不明の新指標「K値」を参考にすると発表

新指標『K値』を吉村知事が重要視「大阪モデルの数値基準の一つ(感染源不明者の7日間移動平均)も考え方は近い」(東京中日スポーツ
https://www.chunichi.co.jp/article/23933

 大阪大学の中野貴志教授らが考案したとされる意味のよく分からない「K値」なる指標を大阪独自の事態宣言で参考にすると吉村さんが言い出し、そのあまりの非科学的な馬鹿馬鹿しさに国民全員が椅子から落ちた事案がこちらです。

 何しろこの指標、感染者が増える都度「もうピークだ、これから感染者は減る」「もうピークだ、これから減る」と計算し直しては楽観的な見解しか出さないため、ゴールポストが動き過ぎていつまでも対策の参考にできないという優れものであります。この「大阪発祥のものに飛びついて、大阪は東京など他の地域とは違う対策で頑張ってる」方向で突き進んだ結果、ここまで駄目なものを掴んでしまう状況はさすがに反省して欲しいです。

 適切な判断に必要だからと言って、思いつきのような指標を使うのはやめましょう。(後編に続く)

小池百合子都知事は「コロナと共にある」宣言? こんなにあった知事の“思いつき発言” へ続く

(山本 一郎)

フリップを示す小池都知事 ©️AFLO