2020年は大手ハンバーガーチェーンが、植物肉・代替肉を使用した商品で本格的にしのぎを削りはじめた1年だった。モスバーガーは動物性食材を使用しないグリーンバーガーの全国展開を開始。ロッテリア2019年に限定発売していた「ソイ野菜ハンバーガー」「ソイ野菜チーズバーガー」をレギュラーメニューに新たに加えた。

バーガーキング
バーガーキングの「プランベースワッパー」が発売
 このような流れを受けてか、ハンバーガーチェーン店舗数不動の1位マクドナルドも、2021年に「マックプラント(McPlant」の販売を発表した。発表したのは米マクドナルドだが、当然日本での発売も視野に入れられているだろう。

食べればわかる明らかな違い

 ハンバーガーチェーンは、植物肉・代替肉バーガー商品開発の戦国時代に突入したとも言える状態となっている。そのような状態において、戦局に大きな影響を与えるかもしれない新商品が発表された。

 それがバーガーキングの「プランベースワッパー」だ。「プランベースワッパー」はこれまでに発売された植物肉・代替肉のハンバーガーとは一線を画した存在となっている。

プランベースワッパーはハンバーガーを好きな人であれば、誰でも好きになってもらえるのではないかと思います」

 バーガーキングを運営する株式会社ビーケージャパンホールディングスで、マーケティングディレクターを務める野村一裕氏プランベースワッパーの出来についてこのように話す。

代替肉とハンバーガーを食べ比べ

バーガーキング
マーケティングディレクター・野村一裕氏
プランベースワッパーの最大の特徴は“美味しさ”が前面に押し出している点です。これまでの代替肉バーガーは健康面への配慮やヘルシーさが強調されており、美味しさは二の次というものが多かった

 プランベースワッパーは、まず美味しさありき。今の完成度になるまで何年も開発のチャレンジをしてきました。流行っているから発売するということではなく、『美味しいから食べていただきたい』というレベルの商品が完成するまで努力を重ねました」

 プランベースワッパーへの自信は商品発表会においても窺えた。店舗での発売に先駆けて実食の機会が与えられたが、その際にはプランベースワッパーとバーガーキングの従来のワッパーの2つが並べられ、どちらがプランベースワッパーかがクイズ形式で問われた

植物バーガーを食べてみた感想

バーガーキング
試食会にて提供された2種類のバーガー。どちらが代替肉か…
 私を含めた多くの記者の感想は「一口食べただけではわからない」というものだった。率直に言って、想像以上に美味しかった

 野村氏が話すように、ハンバーガーが好きな人であれば気に入るのではないだろうか。もしくは、ハンバーガーよりもプランベースワッパーのほうが好きだと思う人もいるかもしれない。個人的に気に入ったのが香ばしさだ。従来のワッパーよりも強いように感じた。その香ばしさが食欲をそそり、また一口、もう一口とボリューミーなワッパーをどんどんと口に運んでしまう。

 プランベースワッパーは想像以上にハイクオリティに仕上がっていた。プランベースワッパーも他の代替肉系バーガー同様にヘルシーだろう。しかし、それ以上に美味しい。油が少なくあっさり、でもジューシーさもある。バーガーキングらしさを十二分に堪能できる「美味しい」がプランベースワッパーの中にちゃんとあった

後発の代替肉バーガーになったワケ

 ところで、プランベースワッパーは代替肉を扱った商品としては業界内では後発に分類される。発売がこの時期となったのは、どういった理由からだろうか。

約2年前から商品開発の話はありました。ただバーガーキングで出すのであれば、バーガーキングらしい美味しいプランベースワッパーを出したいということで、このタイミングになりました」

 このように話すのは新商品開発マネージャーの荒川波奈絵氏。荒川氏がバーガーキングらしさとして、まずあげたのもやはり「美味しさ」だった。

バーガーキング
新商品開発マネージャーの荒川波奈絵氏
「身体にいいから我慢して食べるのではなく、美味しいものを食べてもらいたい。大豆特有の香りがあると、どうしても美味しさからは遠のきます。そのため、大豆をダイレクトに感じないようなパティを作ることを意識しました

商品完成へのこだわりと直火の秘訣

 荒川氏が「美味しさ」と並べてあげたもうひとつのポイントがある。それが「直火焼き」。バーガーキングのワッパーは、ブロイラーと呼ばれる専門の調理器具を使用して直火焼きで仕上げている。ブロイラーを通過する間に余計な油が滴り落ちていくので、鉄板で焼くのとはまた違った美味しさが生まれる。

バーガーキング
バーガーキングのブロイラー。奥に赤い炎が見える
 しかし、プランベースワッパーは素材が肉ではなく大豆なので、当然これまでの商品とは勝手が違ったという。

「柔らかい素材だと、直火焼きの途中でくずれてしまいます。また、油分が多すぎると焦げすぎてしまうこともあります。直火焼きでかつ、美味しいワッパーをつくる。この調整も商品開発をする上で重要な点でした」(荒川氏)

 仮に、直火焼き以外の方法だったらもっと早くに商品化できていたかもしれない。しかし、「直火焼き」以外の方法による調理は考えなかったそうだ。バーガーキングのワッパーであれば直火焼き、バーガーキングの美味しさを支える土台の上にプランベースワッパーもしっかりと乗っている。

今後ハンバーガー業界の動向は

 これまでに期間限定で発売されて、その後は商品として定着しなかったハンバーガーは数多くある。代替肉を扱ったバーガーも同様の一過性のブームなのだろうか。

ビーフチキンポークがあるというのが普通のハンバーガー屋さんです。代替肉をそこに加わる新しいチョイスにしたいです。需要も増えてきていることもあって、ゆくゆくはバーガーメニューのうちミート系が80%、代替肉が20%というレベルまでいける自信はあります」(野村氏、以下同)

バーガーキング
トマトも店内でスライスしている
 代替肉バーガーを選択肢のひとつとして定着していく可能性までを視野に入れている。そのレベルにまで定着させるために重要なのはやはり味だという。

「味で勝負しないと一過性で終わってしまう可能性もあるでしょう。ただ美味しければ長く食べてもらえて定着するものとなりますバーガーキングとしては単発で終わるものにはしないと考えています」

プラントベースが新たなチョイスに

 そして、より美味しく進化した植物肉バーガーも今後開発されていく予定だという。

代替肉の質は市場の需要増とともにどんどん良くなっていきます。各社メーカーさんの商品開発もますます進みます。バーガーキングは美味しいプランベース商品を発売していくことでこの市場拡大に貢献していきたいと考えております。

 今もなお、さらに完成度の高いプランベース商品の開発を積極的に進めております。バーガーの美味しさを追求した直火焼きビーフ同様にプランベースが新たなチョイスとして定着する日のために頑張っていきたいと思います」

 バーガーキングを筆頭に各社の植物肉バーガーがどう美味しく進化していくのか。2021年は、要注目だ。

<取材・文・撮影/菅谷圭祐>

【菅谷圭祐】

大学受験情報誌、IT情報サイトなどでライター経験を積み、2018年よりフリー。最近の趣味は休日の農業、リサイクル業も兼業

試食会にて提供された2種類のバーガー。どちらが代替肉か…