代替テキスト

「行政の長として、個別事件の裁判所の判断について、所感を申し上げるべきではない」
「国民から疑念を抱かれないように襟を正して、活動していく。このことが大事だと思います」

1月21日、こう話したのは菅義偉首相(72)。同日、公職選挙法違反の罪に問われた参院議員の河井案里被告(47)が懲役1年4ヵ月、執行猶予5年の有罪判決を受けた。冒頭のコメントは、同件について語ったものだった。

河井被告の逮捕に対して、「所感を申し上げるべきではない」「襟を正して、活動していくことが大事」という菅首相。まるで他人事のようだが、そもそも河井被告を熱心に応援していた張本人である。

さかのぼること19年6月11日。河井被告はFacebookで、菅首相との対談記事が完成したことを報告。2人が“広島と日本の未来を熱く語る”という同記事には「河井あんりさんに日本の未来を託そう」「河井あんりさんに、自民党、そして日本の未来を託そうではありませんか!」との文言も。また当時首相だった安倍晋三議員(66)、そして二階俊博自民党幹事長(81)の写真も掲載されている。

さらに菅首相は同年6月22日広島市内で行われた河井被告の応援演説にも参加。河井被告の夫であり、同じく公職選挙法違反の罪に問われている克之被告(57)は同日、ブログに「これまで広島では見たことがない大観衆」が集まっていたと報告していた。「河井あんりを激励する会」の写真も紹介しており、そこには菅首相と思しき人物が大勢の聴衆の前で話しているシーンも。

そして同年7月15日と16日、菅首相は2日連続で河井被告の応援演説を行っている。その際に、菅首相は好物のパンケーキを河井被告と堪能したようだ。同月19日、あるパンケーキ店のブログにはこんな記事が投稿されている。

「菅官房長官と河井あんりさんがご来店されました!」
「美味しいとコメントして下さっていたとの事!」

記事には、菅首相と河井被告が笑顔で肩を並べる写真もアップされていた。

菅首相の応援もあり同月、河井被告は見事参院選で当選。しかし、その11ヵ月後となる20年6月に克之被告とともに逮捕。すると同年8月、夫妻の初公判についてコメントを求められた菅首相は「差し控えたい」と発言した。

そのいっぽう同年9月、自民党総裁選に立候補した菅首相は同件についてこう話している。

「私がもし総裁になったら、責任をもって対応していきたい」

にもかかわらず、今回の「所感を申し上げるべきではない」そして「襟を正して、活動していくことが大事」発言。ネットでは非難が相次いでいる。

《一切反省もなく、何の説明にもなっていない常套句を吐く》
《あなたは他人事でコメントできませんよ》
《菅さんが応援してるなら、河井候補に投票しようと考えた人はたくさんいたんじゃないのかな》
《他人事で済ませて良い訳がない》

また河井被告は事件を機に離党したものの、失職していない。そのため《まだ議員辞めず報酬貰うのは、コロナ禍で苦しむ国民は理解出来ない》《議員として何もしていないのに議員報酬は支払われている》と議員報酬への不満も上がっている。

後手後手のコロナ対応で支持率も低下している菅首相が“正すべき襟”は一つではなさそうだ。