力なく垂れるゾウの鼻に触れ、すすり泣く男性の姿を捉えた動画がSNSで話題になっている。この野生のゾウはケガをした状態で森林警備隊員によって発見され、数か月かけて治療を行っていた。しかし弱っていったことからさらなる治療を受けるためにトラックに載せたところ、ゾウは力尽きてしまったという。隊員は時間をかけてゾウをケアし信頼関係を築いてきただけに、無念の最期に涙した。『Zee News』などが伝えている。

インド南部タミル・ナードゥ州のミュードゥーマライ・タイガー保護区内にあるサディバヤル・エレファントキャンプの森林警備隊員たちが、耳に火傷をし背中にケガをした1頭の野生のゾウを発見した。

この近くではプライベートリゾートオーナーがゾウを追いかけまわしたり、燃えるタイヤを投げつけたりする姿が目撃されていた。そのため森林警備隊員でチームを組み、このゾウがさらにケガをしないように観察しながらケアをすることになった。

このチームの1人、ベランさん(Bellan)は数か月にわたってエサを与えて見守っていたことで、野生のゾウもベランさんを信用してお互いに絆を深めたという。

そしてある時、隊員の1人がゾウの背中に深い傷があることに気付いた。チームは果物に鎮静薬を混ぜてゾウを眠らせ、抗生物質による治療を施した。

同保護区の副所長を務めるスリカンスさん(Srikanth)は「この治療によりゾウは徐々に回復の兆しを見せました。その後、人間の居住地や道路に頻繁に現れるようになりましたが、人を傷つけることはありませんでした。しかし観察を続けると、ゾウが次第に弱っていることが分かったのです」と明かす。

チームは再び弱っていったゾウの状態を鑑み、トラックの荷台に載せてエレファントキャンプに連れて行き、さらなる治療を施すことに決めた。ゾウに再び鎮静薬を投与し、慎重にトラックの荷台に載せた。

しかし不幸にも、ゾウは荷台の上で力尽きてしまったのだ。

慎重にケアを行い、ゾウもベランさんに心を開いて良好な関係を築いた矢先の出来事に、ベランさんは悔しさで涙を流した。このゾウと最期の別れを捉えた動画には、ベランさんがゾウの鼻に顔を摺り寄せ、死を悼む姿が捉えられている。

インド森林局に勤めるラメッシュ・パンデイさん(Ramesh Pandey)が今月21日、この様子をTwitterに投稿すると、ユーザーからは「どう頑張っても、この気持ちを言葉にするのは難しいよ」「彼の目の前からゾウはいなくなってしまったけど、心の中にいるはず」「真に人間の心を持つ人だけが、動物たちの痛みを理解できるんだ」「ゾウが鼻を振って彼の別れに答えているようだね」といった声が届いた。

このゾウの死により、プライベートリゾートオーナーであるプラサド(Prasath、36)とレイモンドディーンRaymond Dean、28)が逮捕され、別の地域に住むリッキーライアンRicky Ryan、31)も事件に関与したとして逮捕されている。

画像は『Metro  2021年1月22日付「Forest ranger gives tearful goodbye to elephant he cared for before it died」』『Zee News 2021年1月22日付「Injured wild elephant dies in Tamil Nadu’s Mudumalai Tiger Reserve, caretaker mourns loss」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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