カレーハウスCoCo壱番屋(ココイチ)が2020年8月にインドに進出しました。日本のカレー屋がカレーの本場・インドに進出するのは話題性がありますが、現状はどのようになっているのでしょうか。最新の決算情報をもとに、振り返っていきましょう。
インド進出の時系列
まず、プレスリリースを確認しながら、簡単にカレーハウスCoCo壱番屋のインド進出の経緯を振り返ります。
2019年6月28日:三井物産と壱番屋が合弁会社合弁会社ICHIBANYA INDIA PRIVATE LIMITEDをインドに設立(出資比率:三井物産60%・壱番屋40%)
2020年8月3日:インド(ハリヤナ州グルグラム)にて第一号店(「カレーハウス CoCo 壱番屋 Cyber Hub 店)開業
インドの店舗に関しては8/3以降のプレスリリースは特に確認できませんが、壱番屋の「月次情報」において、2020年12月時点でもインドの店舗を確認できます。
こうしてみる限りは、一般的な飲食業で懸念される顧客層がハマらなかったということによる短期撤退という状況にはなっていません。
壱番屋の業績を見る
つづいて、壱番屋の業績を確認していきましょう。
2020年2月期の営業利益は52億400万円となっており、営業利益率は10%と、コロナ以前における事業経営は比較的順調だといえました。
では、新型コロナウイルス感染拡大後の影響があった2021年2月期はどうでしょうか。
2020年12月25日に発表された決算短信の中で、2021年2月期の連結業績予想(第3四半期時点・前期比)は
売上高:447億円(前期比▲13.2%)
営業利益:25億8000万円(前期比▲50.4%)
当期純利益:17億6000万円(前期比▲46.0%)
となっており、黒字にはなっているものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、
流行以前の水準には届かない状況となっています。
また、海外事業の推移も、新型コロナウイルス流行の影響もあって国内と同様の状況となっており、予断を許さない状況となっています。
ただ、同決算短信の中では「海外におきましても新型コロナウイルスの影響を大きく受けましたが、店舗の既存店売上高は、(中略)、国別にばらつきはあるものの全体的には回復傾向で推移いたしました。」としてあり、対前年同期比のマイナス幅は縮小傾向にあることが分かります。
カレーの本場に挑むために必要なこと
壱番屋のプレスリリースや、各種メディアの報道などから判断をすれば、インドの店舗においても、インド向けに調整をしている部分は、現地の食習慣への対応のみです。
具体的には、ベジタリアン・ノンベジタリアンメニューを分け、後者は牛肉・豚肉を使用せずに提供しているようです。ルーを日本から輸入し、ジャポニカ米(日本などで栽培されている品種)を使う、日本で展開しているとろりとした「カレーライス」を提供していることがわかります。
本場に進出する際には「本場で受け入れられている標準」に合わせようとしてしまいがちですが、中途半端に合わせると「よくわからないもの」になってしまい、結果として失敗することになります。
今回の壱番屋のように、最初から「日本のカレー」と銘打って出してしまった方が受け入れられる可能性が高まるでしょう。
また、壱番屋の場合はインド進出以前にも、1994年のハワイ・オアフ島を皮切りに、アメリカ本土・イギリス・中国・香港・台湾・韓国・タイ・シンガポール・インドネシア・フィリピン・ベトナムと、複数国に進出しています。
これらの地域でもインドと同様の展開方針で「日本のカレー」として展開しており、一定程度の成果をあげているので、今回のインド進出時にもある程度の核心を持って展開していると考えられます。
今後の事業推移及び、2店舗目への拡大も楽しみに待ちたいと思います。
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