保護施設とホテルの連携で里親を増やす試み

 アメリカでは、動物保護シェルターに空きがない地域もある。引き取り手がなかなか現れず、行き場を亡くした犬や猫たちが、安楽死となってしまうケースも少なからず起こっている。

 そこで、ミシガン州のあるホテルでは、地域の動物保護施設を支援しようと、こんなプログラムを打ち出した。

 里親募集中の保護犬を毎回1匹ホテルで預かり、ホテルのマスコット犬にするのだ。ホテルで犬と触れ合い、飼い主になりたくなった宿泊客は、その犬を飼うことができる。里親が決まるとまた次の保護犬がホテルにやってくる。

 このホテルは犬好きの宿泊客に大人気となった。2018年10月から始めたこのプログラムで、既に60匹以上の犬が永遠の家を見つけたという。

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保護犬を預かり、顧客のために里親になる扉を開くプログラム

 ミシシッピ州ディバービルにあるホテル『Home2Suits by Hilton Biloxi』では、宿泊客が、犬と一緒に帰っていくという状況は決して珍しくないそうだ。

 このホテルでは、2018年10月からサウス・ミシシッピ動物愛護協会と提携し、Foster Hopeというプログラムを実施している。

 ホテル側は1度に1匹の犬を預かり、宿泊客はこの保護犬と滞在中好きなだけ遊んだり、散歩に連れて行ったり、餌をやったりして世話ができる他、1晩保護犬を部屋に連れて行くことも可能だ。


 そして、もし宿泊客とその犬の気が合えば、適正審査を受け、合格ならその場で養子縁組ができ、ホテルをチェックアウトする時に、その犬を一緒に連れて帰ることもできるという。


少しでも多くの保護犬に家が見つかるよう支援


 このプログラムの目的は、顧客と保護犬の間に絆を深める機会を作ることで、少しでも多くの犬が永遠の家を見つけられるようにするためのものだ。


 発案者であるホテルのセールス・ディレクター、テレサ・ジョンストンさんは、次のように話している。

当ホテルは、長期滞在者も歓迎しているため、空軍基地や造船所、その他関連産業に従事する方たちが、このホテルに滞在されます。

顧客の多くは、長期滞在ともなると孤独になりやすいので、そんなお客様の心を癒したいと考え、同時に地域コミュニティの支援をしたいと思ったのがきっかけです。

当ホテルに犬がいることは周知されており、訪れるのはほとんど動物好きの人です。中にはこのプログラムを知って当ホテルに滞在することにした、という顧客もいらっしゃいます。



目標は米国内の支店にプログラムを広めること


 ディバービルのHome2Suitsでは、このプログラムがこれまで順調にいっていると述べており、いずれ全国の支店で導入していくことを目標にしている。

 このプログラムを行っていくことにより、動物保護シェルターにスペースが開放されることになり、より多くの犬猫に永遠の家を見つけるチャンスが生まれるからだ。


 ホテルの顧客が、もし犬を気に入れば、飼い主にふさわしいかを審査し、合格になればその場で申込書に記入して、50ドル(約5200円)の養子縁組料を支払い、直ぐに犬を連れて帰ることが可能だ。

 ホテル側はどの顧客にもこのプログラムをオープンにしているが、飼い主としてふさわしくないと判断した場合には、養子縁組を拒否する権利も同時に保有している。


 プログラムが開始されてから、これまでに少なくとも34人の顧客が犬と一緒に家に帰り、永遠の家を見つけた犬の数は60匹にもなるという。新しい飼い主の中には、顧客以外にもホテルのスタッフも含まれているそうだ。

References:Mental Flossなど / written by Scarlet / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52288785.html
 

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