旭川医科大学病院の古川博之病院長が、1月25日に解任されたことが「週刊文春」の取材で分かった。

 旭川医科大学病院を巡っては、昨年11月、国立旭川医科大学の吉田晃敏学長が、新型コロナウイルスクラスターが発生した旭川市内の慶友会吉田病院からの患者受け入れを拒否していたことが、「週刊文春」(2020年12月24日号)の取材で明らかになっていた。

 旭川医大病院関係者が語る。

「旭川医科大学病院は同大学のトップに足かけ15年も居座り続ける吉田学長に支配されています。11月8日、吉田病院でクラスターが発生した翌日に、旭川医大病院を含む5つの基幹病院が受け入れ態勢を協議しました。その結果、旭川医大病院では、1人、患者を受け入れることになった。ところが古川病院長が吉田学長に連絡すると、『受け入れは許さない』と言われたんです。13日に再度、古川病院長が吉田学長に直談判をしにいったのですが、今度は『患者を入院させるなら、病院長をやめてください』と拒否されたそうです」

 また、吉田学長は11月17日、幹部十数人が集まった場で「コロナを完全になくすためには、あの病院(吉田病院)が完全になくなるしかない」「ここの、旭川市の吉田病院があるということ自体がぐじゅぐじゅ、ぐじゅぐじゅとコロナをまき散らして」などと、吉田病院を切り捨てるかのような発言をしていた(音声は文春オンラインにて公開)。

 その後、古川病院長は朝日新聞北海道新聞などの取材に対し、吉田学長に患者受け入れを進言したが拒否された事実を認めていた。

 吉田学長が人事権を盾に患者受け入れを拒否していた件については、文科省も「パワーハラスメントの恐れもある」と問題視。昨年12月25日に文書で大学に事実関係を質しており、今年1月8日、萩生田光一文科相も「そのワードだけ聞けば不見識だと思う」「なぜこういうやりとりだったのか調べている」と述べた。

 こうした渦中にある旭川医大病院で、さらなる事件が起きていた。別の旭川医大病院関係者が明かす。

古川病院長が役員会に呼び出され……

1月15日午後3時頃、古川病院長が役員会に呼び出されました。そこにいたのは大学の4人の理事や数名の事務方、そして病院の顧問弁護士。殆どが“吉田学長派”とされる人間です。病院長が部屋に入るといきなり、『あなたの解任に関する協議を始めます』と言われた。理由は学内の会議の内容を漏洩したことや報道に訴えて世間を騒がせたことなどで、古川病院長は強く拒否しました。しかし一方的に議論が進められ、最終的には解任ではなく『辞任勧奨』となった。加えて1週間の謹慎も言い渡されたのです」

 謹慎後、古川病院長は辞任勧奨を拒否。すると病院長の「解任」を通告されたという。

 古川病院長を直撃すると、「解任されたのは事実です」と認めた上で、次のように答えた。

新型コロナウイルスの感染がここ旭川でも猛威を振るってきました。昨年末には自衛隊にも協力をお願いする事態になってしまった。コロナが旭川に上陸してから1年間、私は病院の指揮を執り続けてきました。また他の基幹病院との連携も密に行い、地域医療の安定に尽くしてきたつもりです。感染も一時期よりは収まっていますが、先日、また高齢者施設で大規模なクラスターが起こったばかり。ここで病院長の任を離れなければならないのは、ただただ残念です」

 現在、旭川医大の元教授や北海道内外の医師らの呼びかけで、吉田学長のリコールを求める署名活動が行われている。また文科省は吉田学長の発言について、調査を行っている最中でもある。当事者の一人である古川病院長の突然の解任は、さらなる波紋を呼びそうだ。

(「週刊文春」編集部/週刊文春

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