札幌市立中学の男性教師(56)にわいせつな行為をされたとして、元生徒の被害女性が札幌市教育員会に教師の懲戒処分を求めていた問題で、市教委は1月28日、懲戒処分を決定した。

被害を訴えていたのは、都内在住のフォトグラファー、石田郁子さん(43)。中学3年だった1993年から4年にわたり、教師からわいせつな行為をされたとして、2019年に札幌市と教師を相手取って損害賠償を求めて提訴。

東京高裁は2020年12月、原告の請求を退けながらも、わいせつ行為はあったと認定した。

●「自宅でキス、胸を触る、上半身を脱がせる」

市教委によると、東京高裁の判決を受けて、今年1月から教師本人の聴取など調査をおこなった。

その結果、1993年から1994年にかけ、教師は当時生徒だった石田さんに対して、「自宅においてキスをしたほか、学校内で胸を触ったり、車の中で上半身の服を脱がせるなどのわいせつ行為をおこなった」と事実認定。1月28日付で懲戒免職とした。

なお、教師は市教委の聴取に対して、わいせつ行為を否認しているという。

石田さんは提訴まで、2回にわたって市教委に被害を訴えてきたが、いずれも教師が否認しているとして、処分には至っていなかった。

●「教育行政の信頼を著しく損なった」教育長は謝罪

札幌市教委の長谷川雅英教育長は次のように謝罪している。

「本市教員によるわいせつ行為の被害を受けたこと、また、当委員会において十分寄り添った対応ができなかったことにより、長きにわたりつらい思いをされた女性に対し、心から深くお詫びを申し上げます。

児童生徒、保護者、そして、市民の皆様の教育行政に対する信頼を著しく損なう事態となったことに対しまして、重ねて心から深くお詫びを申し上げます。

児童生徒に対するわいせつ行為は、子どもたちの心に深い傷を負わせる非常に悪質な行為であり、断じて許されるものではありません。

子どもたちの教育に携わる教育公務員が過去にこのような行為を行ったことは極めて遺憾であり、この度の司法の判断を重く受け止めております。

再発防止に向けて、子どもたちへの性被害を根絶するという強い意志のもと、管理職を含めた全職員に対して、更なる指導を徹底し、失った信頼の回復に向けて取り組んでまいります」

教師の懲戒免職を受け、石田さんは「実感がまだありません。市教委は裁判でも教師の行為を認めてきませんでした。謝罪は言葉だけではなく、今後、同じような被害が起きた時には第三者委員会を設置して調査するなど、実行していってほしいです」と話している。

28年前のわいせつ行為で札幌市教師が「懲戒免職」 元生徒の被害女性の訴え、やっと届く