高速道路における死亡事故で大きな割合を占めているのが、停止中の車両への衝突事故です。広い道路の路肩へ停めていても、後続車が突っ込んでくる危険性があり、道路会社もクルマから避難することを呼び掛けています。

後を絶たぬ「まさか!」の事故

コロナ禍の2020年、高速道路は交通量が減ったこともあり、事故件数も大きく減少しました。NEXCO西日本管内の死亡事故件数は2005(平成17)年の発足以降で最低、NEXCO東日本管内でも、直近5年間で最も低い水準になっています。

そうしたなか、相対的に目立っているのが、停止中の車両が後続車に突っ込まれ、命を落とすケースです。

NEXCO西日本管内で2020年に発生した死亡事故22件のうち、最多となる12件が「対停止中車両」の事故で、同様の事例はNEXCO東日本管内でも26件中7件を占めます。

2021年1月27日(木)にNEXCO西日本は、このことを発表するとともに、「高速道路上で『停止車両』や『人』へ衝突する“まさか!の事故”が後を絶ちません」としています。万が一、路肩などへ停車する際は、ハザードランプや発炎筒、停止表示器材(三角板)などで後続車に対する注意喚起を行い、ガードレールの外側などへ避難するよう改めて呼びかけました。

広いスペースが確保されていることが多い高速道路の路肩ですが、それにも関わらず、なぜ後続車が突っ込むケースが多発するのでしょうか。

万が一、高速道路上に停車する場合はどうすれば?

NEXCO西日本によると、停車中のクルマが走行中であると誤認し、追随しようとして追突してしまうことがあるといいます。

ITARDA(交通事故総合分析センター)は、疲れて意識レベルが低下したドライバーは「ハザードランプであろうと、テールランプであろうと関係なく追従する危険性がある」としています。

こうしたことからも、三角板や発炎筒を用いて後続車へ停止車両の存在を知らせることが重要なのですが、それらを配置したからといって、路肩でパンク修理などを行うことは危険です。だからこそ、「運転手も同乗者も全員、自車より後方のガードレールの外側など安全な場所へすみやかに避難してください」(NEXCO西日本)と呼び掛けられるのです。

ちなみに、「『自車より後方の』ガードレールの外側」というのも、避難の際の鉄則といえます。自車より前方に避難すると、追突により押し出された車両がガードレールに激突してくることもあるからです。

高速道路の路肩は広めにとられていることが多い(中島洋平撮影)。