桜を見る会」前夜に開かれた夕食会をめぐる問題で、安倍晋三前首相が不起訴となったことなどについて、全国の弁護士などでつくるグループ2月2日、検察審査会に対して「起訴相当」の議決を求める申し立てをおこなった。

申し立てたのは、「『桜を見る会』を追及する法律家の会 」。同グループは昨年5月、政治資金規正法違反(不記載)と公職選挙法違反(寄附)の疑いで、安倍氏(当時首相)と後援会幹部などに対する告発状を東京地検に提出した。

さらに同年12月にも、安倍氏の政治資金団体「晋和会」の代表者をつとめる安倍氏の監督責任などを問う告発もしている。

しかし、昨年12月24日安倍氏の公設第1秘書が政治資金規正法違反の罪で略式起訴されて、罰金100万円の略式命令を受ける一方、安倍氏やそのほかの後援会幹部は不起訴(嫌疑不十分)となっていた。

この日の申し立て後、同グループの米倉洋子弁護士記者会見を開いて「安倍氏は、(不記載や寄附について)いまだに『自分は知らなかった』『秘書が隠していた』として、秘書に責任を押し付けているが、知らなかったはずはない。刑事責任を負うべきだ」と話した。

●公設第1秘書の略式起訴だけ…「極めて甘い処分」

夕食会をめぐっては、以下の犯罪が成立するかどうかが主な争点となっている。

(1)政治資金収支報告書に夕食会の収支を記載しなかった点につき、後援会の政治資金規正法違反(不記載)
(2)安倍氏側が夕食会の費用を補てんしたことが参加者への違法な寄附にあたるのではないかという点につき、後援会の公職選挙法違反(寄附)
(3)後援会が支出したとされる夕食会費用の補填分の原資は晋和会の支出であり、その収支を記載しなかった点につき、晋和会の政治資金規正法違反(不記載)
(4)晋和会代表者としての安倍氏の責任(政治資金規制法25条2項、27条2項違反)

(1)について、東京地検特捜部が昨年12月、「後援会の収支報告書の作成は、公設第1秘書がもっぱらおこなっていて、安倍氏が関与したり把握したりしていたと認められる証拠は得られなかった」と報道陣に説明。安倍氏は不起訴、公設第1秘書を略式起訴となった。

(2)〜(4)については、安倍氏、後援会幹部ともに不起訴(嫌疑不十分)になった。

この検察側の処分について、米倉弁護士は「極めて甘い処分で、秘書1人に部分的な責任を負わせて、安倍氏を徹底的にかばって幕を引いたのではないか」と厳しく批判した。

一方で、処分の過程で「夕食会費用を後援会が補填していたことを安倍氏側が認めたことで、『補填していない』と国会で繰り返し述べていた安倍氏の虚偽答弁が明らかになった」などと述べ、告発の意義・正当性が認められたのではないかと話した。

●「起訴相当」の議決をしてほしい

グループは、検察審査会への申し立てで、不起訴処分としたすべての被疑事実について「起訴相当」の議決を求めている。

検察審査会で「起訴相当」または「不起訴不当」が議決されると、検察は再捜査することになるが、その後の手続きに違いがある。

「起訴相当」にもかかわらず、不起訴処分となった場合、ふたたび検察審査会に申し立てが可能となる。そこでも「起訴相当」が議決されると、指定弁護士による強制起訴となる。そのため、責任追及の手段として「起訴相当」の議決にこだわることには大きな意味がある。

会見した小野寺義象弁護士は「罪証隠滅のおそれがあれば、捜索差押えなどの強制捜査をするのが、検察の本来のあり方。それをしなかったがために、国民をバカにしたような安倍氏側のやり方が通ってしまった」と述べ、不起訴処分にした検察の対応を批判した。

米倉弁護士は「市民11人で構成される検察審査会では、市民感覚を発揮して、新たな視点でこの事件を見直して『起訴相当』の議決をしてほしい」と話した。

桜を見る会「安倍氏は刑事責任を負うべき」 弁護士グループ「起訴相当」求め申し立て