SKE48の27枚目のシングル「恋落ちフラグ」が2月3日(水)にリリース。同作は2008年のデビュー以来、SKE48の中心メンバーとして活躍してきた1期生・松井珠理奈の卒業シングルとなる。表題曲にはSKE48の全メンバーが参加し、全体のダンスシーンはナゴヤドーム(※2021年よりバンテリンドーム ナゴヤに改称、以下同)で撮影が行われた。

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また、カップリング曲には松井と、彼女の卒業後に期待の懸かるメンバー8人の計9人によるユニット“Black Pearl”の楽曲などを収録。

今回は松井にインタビューを行い、自身の卒業ソングや“Black Pearl”というユニット名に込められた後輩たちへの思いなどについて話を聞いた。

■「良い意味で卒業感がないので、その驚きはありました」

――珠理奈さんの卒業シングルとなる「恋落ちフラグ」ですが、リリースの発表は2020年10月に行われた「SKE48 12th Anniversary Fes 2020 ~12公演一挙披露祭~」でした。その時には全員参加のシングルになるなど、ある程度決まってはいたのでしょうか?

決まってたかな? でも、コロナのこういう状況になる前(※2020年2月に卒業発表後、同年9月に卒業コンサートを行う予定だった)に卒業シングルの話はあって、その時から「全員で歌いたいです」とは言ってました。

――“全員参加”以外でリクエストしたことはありましたか?

ダンスに関してですね。MV撮影はいくつかのチームに分かれていたんですけど、その時に「このチームのメンバーはこういうイメージなので、かわいい振り付けがいいです」とか、逆に「こっちはカッコイイのがいいです」とか。今回は振り付けの先生が初めての方だったので、そういうメンバーの色というところはお伝えしました。

あとは、この1~2年くらいは海外のファンの方を気にするようになったというか、私のSNSのフォロワーって半分以上は海外の方なんですよ。このMVはYouTubeでも流れて世界中の人に見てもらえると思うので、「MVの中にいろんな国の言葉を入れてほしいです」とか、そういうお話もしました。

――そんなリクエストをした曲が届いて、最初に聞いた時の感想は?

本当はカッコイイ感じがよかったんです。私も二十歳を超えて“元気!”って感じよりは、“カッコイイ”とか“クール”とか、そういう表現をする方が得意になってきていたので。でも、“THE SKE48”って感じの曲がきたので、これは本当にもう、今まで自分がSKE48の中で見せてきたものを全て詰めて、“SKE48らしさ”で表現していきたいなって思いました。あと、良い意味で卒業感がないので、その驚きはありました。

――今回のMVでは、これまでに珠理奈さんが着てきた衣装の中から選ばれたものをチームごとに着て踊っていますが、これらの衣装は珠理奈さんが選んだんですか?

そうです。メンバーのダンスのイメージとかに合わせて、「こういう衣装の中から選んでほしい」って衣装さんから言われて選びました。

――この中に「Innocence」の衣装が入っているのが意外だったんですが、“楽曲そのものの意味”とかではなく、衣装の見た目で選ばれたんですね。

(古畑)奈和ちゃんたちのチームはセクシーな雰囲気があったので、自分が着たことある衣装でセクシーなのって何だろうなって考えたら、チームSの「重ねた足跡」公演でやっている「Innocence」の衣装が近いかなって思ったので選びました。

■最初に卒業を考えたのはSKE48の10周年

――全員でのダンスシーンはナゴヤドームでの撮影でした。撮影を振り返ってみて、いかがだったでしょうか?

初めてSKE48として単独でナゴヤドームでコンサートができた時(2014年)の感動は、卒業しても、これから何年たっても忘れないなって思います。でも、その当時いたメンバーはもうあまりいないので、今のメンバーでナゴヤドームに立ちたいって気持ちが実はずっとあったんです。なので、MVという形ですけど、ナゴヤドームにみんなで行けたっていうのがうれしかったなって思います。

――その全員でのダンスシーン、今作は“バイバイダンス”がポイントだとお聞きしたのですが。

“バイバイダンス”っていうと悲しい感じがしますけど、そうではなくて。ポップにというか、笑顔で「また会いましょうね」という感じというか、そういうダンスかなと思います。誰でもまねできる振り付けなので、ファンの皆さんがいるライブでやったときにはファンの方もペンライトを振ってくれるかもしれないから、それに期待したいなと思います(笑)。

――振りコピ推奨ってことですね(笑)。

はい(笑)。本当に誰でもできる振りなので。

――ちなみに、「恋落ちフラグ」というタイトルの卒業シングルになりましたが、珠理奈さんの“卒業フラグ”はどんな時に立ったのでしょうか?

最初はSKE48の10周年の時ですね。10周年でキリがいいなって思ったのと、高橋みなみさんとか宮澤佐江さんが「10周年の時に『やり切った』と思える」と言っていたのを思い出して、「確かにそうだな」って思ったんです。

ただ、SKE48の10周年の頃は休業をしていて「まだこのままじゃ終われないな」って思ったので、その後に「私がいなくてもSKE48が進んでいく」というか、「もう他のメンバーに任せられるのかな」って思ったタイミングになります。

■「大声ダイヤモンド」から乗り越えてきたこと

――あと、カップリング曲の「Change Your World」は “Black Pearl”という珠理奈さんご自身と、珠理奈さんが選んだ8人のメンバー(青海ひな乃、井上瑠夏野村実代、平野百菜、江籠裕奈水野愛理熊崎晴香、林美澪)によるユニットの曲ですが、今回この8人を選んだ理由を教えていただけますか?

元々はSKE48の未来を感じられるような作品にしたいという話をしていて、それでスタッフさんたちと今後特に期待するメンバーを一緒に選んでいきました。めちゃくちゃいっぱいいたんですけど、一人ずつフィーチャーするにはこれくらいの人数がいいかなと思って、悩みに悩んで8人に絞りました。

本当にSKE48のメンバーみんなが頑張っていたり、努力していたりするっていうのは私もメンバーなので分かっているんですけど、その中でも何か人と違う魅力があるというか、人と違う努力の仕方をしてる子を選ばせていただきました。

――「SKE48 12th Anniversary Fes 2020」の囲み取材で、この「初恋フラグ」の次のシングルのセンター候補として注目しているメンバーが3人いるとお話ししていましたが、この8人の中に入っているんでしょうか?

入ってる“かも”しれないですね(笑)。でも本当に、センターに立ってもらいたいというか、「この子はセンターに立てるだろうな」って感じるメンバーは結構いると思ってます。“誰がなったら正解”っていうのもないし、みんなにその資格があると思うので、「自分がセンターに立ちたい」って思いを強く持っていて、それをちゃんとファンの方や周りの方にもアピールできる人がいいなとすごく思います。

――では、この“Black Pearl”というユニット名の由来は?

宝石の“黒真珠”には、周りからの批判などをいい意味で気にせず、“自分の信念を持って突き進む”という意味があるんです。それは私がメンバーに伝えたいことで、若手のメンバーが目立つポジションに立ったりすると、うれしいことばかりじゃなくて聞きたくないことも聞こえてくることもあるんですけど、それに負けずに進んでいってほしいなって。

私自身もSKE48に入ったばかりの頃、AKB48の「大声ダイヤモンド」(2008年)の歌唱メンバーに選んでいただいた時にそういう経験をしました。それを乗り越えてきたから今があると思うので、それを伝えられたらいいなと思って、このユニット名に決めました。

――カップリングには珠理奈さんソロの卒業ソングも収録されますが、こちらについてはいかがでしょうか?

「恋落ちフラグ」と「Change Your World」が“卒業”って感じが全くないので(笑)、この曲だけはしんみりというか、「本当に珠理奈卒業しちゃうんだな」っていう気持ちに浸りたいなって思いがあって、そういう気持ちで作詞をしました。このMVは今までに私が参加したMVをプロジェクションマッピングで流して、思い出を詰め込んだ“思い出のアルバム”みたい映像になりました。

私のファンの方だけじゃなくて、SKE48を好きになってくれた人たちに「あ、自分はこの曲でSKE48を好きになったな」とか、そういうふうに振り返りながら見てもらえたらなって思います。

■メンバーカラーは「やっぱりオレンジ!」

――では最後に、“アイドル”を卒業して次のステージに進む珠理奈さんですが、同時期に活動している、もしくは活動していたアイドルの中で、珠理奈さんが「うらやましいな」って思ったアイドルっていましたか?

グループでもいいですか?

――グループでもOKです。

ももクロ(ももいろクローバーZ)さんですね。

――その理由は?

とにかく大好きで、何でかっていうと、ももクロさんを見たらめちゃくちゃパワーをもらえるんですよ。常に一生懸命で、全力だし、本当にそれぞれの個性が強いからどのメンバーを見ても満足度が高いというか、それがすごいなって思いました。入ってみたいなって思うアイドルグループ、ナンバーワンです!

――もし入ってたら、メンバーカラーは何色ですかね?

やっぱり(SKE48のイメージカラーの)オレンジがいいかな!

自身の“卒業シングル”について語った松井珠理奈/撮影=武田真由子