がんになっても笑顔で生活できるために活動する「LAVENDER RING」が、がんサバイバー206人のがんへの向き合い方を記したフォトブックを書籍化。『自分らしく、を生きていく。―がんとともに生きる206人の笑顔と想い―』が、本日2月4日に刊行された。

LAVENDER RINGは、生涯で日本人の二人に一人がなると言われている病気である、がんになっても笑顔で暮らせる社会を目指し、活動の主旨に賛同する企業や人、行政、病院などの有志が参加し、それぞれができることを持ち寄りながら、実現を目指してアクションをしている。

「MAKEUP&PHOTOS WITH SMILES」では、がんサバイバー資生堂のスタッフがヘア・メイクを施し、フォトグラファーが撮影。自身が大切にしていることを記入して、世界で一枚だけのポスターにしてプレゼントするというプロジェクトだ。

『自分らしく、を生きていく。―がんとともに生きる206人の笑顔と想い―』は「MAKEUP&PHOTOS WITH SMILES」のイベントで制作されたポスターと、インタビューを中心に編集された書籍。発売日の2月4日は、世界対がんデーにあたる。書籍の収益の一部は特定非営利活動法人キャンサーネットジャパンに寄付され、今後のLAVENDER RINGの活動などに使用されるとのこと。

LAVENDER RINGメンバーの河瀬太樹から、LAVENDER RINGの活動をはじめるきっかけや、書籍『自分らしく、を生きていく。―がんとともに生きる206人の笑顔と想い―』について、さらにCINRA.NET読者に向けたメッセージが到着。がん当事者や患者の家族、友人のみならず、幅広い人々にとってよりよく生きるためのヒントが隠されているに違いない。

・このプロジェクトにかける想い
LAVENDER RINGのはじまりは、2017年一緒に働いていた会社の先輩が肺がんになり、「何かがんに関することで、出来ることはないか?」と相談されたことをきっかけとしています。
当時の私にとってがんは、小学生のときに同級生を亡くし、親族も亡くした、とても恐ろしい病気という印象のまま生活していました。
がんの現状を調べてみると、人によって違いが大きい病ですが、傾向として現代のがんは医学の進歩と共に5年生存率は上昇していて、昔と違い、すぐ死ぬ病から付き合っていく病に変化しつつあることがわかりました。そして医師やがん患者のお話しを聞くと、がんになっても楽しく働き続けている方もいれば、今でも活躍するスポーツ選手がいるということを知りました。
しかし、未だにがんはすぐ死ぬ病だと思われていて、診断されると迷惑をかけまいと慌てて離職してしまう方や、企業がうまく就労支援できないことがあるなど、多くの人のがんに対するイメージに現実とのギャップがあることに気がつきました。

がんになったけれど、前向きにいきいきと生活している人がいる。
その事実はきっと私たちの認識を変えてくれるし、希望の光になるかもしれない。という思いからこの企画を考えました。
LAVENDER RING MAKEUP & PHOTOS WITH SMILESでは、プロフェッショナルが集まり、メイク、ヘア、フォト、想いを込めたメッセージを載せて一枚のポスターに凝縮します。ポスターに出る人も、それを見た人も元気や希望を感じられるものを作りたいと考えています。

LAVENDER RINGの名前について
がんは種類によって、国際的に定められたシンボルカラーがあります。私たちが掲げるラベンダーカラーは全てのがん種を示すシンボルカラーです。私たちの想い、そしてサポートの輪が、がんの種類を超えて、がんサバイバーだけでなくサポーター、全ての人へ広がっていくことを願ってつけた名前が「LAVENDER RING」です。

・撮影・編集の際に意識したこと、気をつけた点について
LAVENDER RINGの活動で一番初めに相談したのが資生堂さんでした。
イベントに申し込んでくださった方は、会場に来られると緊張している方が多いですが、メイクやヘアをしながらお話しをし、参加される方の気持ちと表情を少しずつほぐしていきます。
そして撮影。撮られる方は撮影慣れしていないのですが、資生堂のフォトグラファー金澤正人さんが優しく話しかけながら少しずつ笑顔を引き出していきます。
時に笑わせながら、時に楽しみながら、撮影に付き添ってくれた方々の「素敵!」「かわいい!」「かっこいい!」という声も会場に響き、毎回明るく楽しい撮影になります。

撮影は回を重ねるごとに、参加される方が変わってきて、どんなメッセージにするかを事前に考え、衣装も準備されてくるなど、皆さんが表現者としてポジティブなメッセージを届けるようになってきています。

ポスターの胸の部分には、その方が「大切にしていること」を手書きで書くことをお願いしています。がんに対する課題は人類共有の課題だと考えているので、世界へのメッセージとして、拙くとも英語で書くことをお願いしています。
素敵な笑顔と、自分の大切にしていることを胸に、その場でデザインチームがポスターに仕上げてお渡しします。

イベントではインタビューを受けてくださった方が約70名いますが、今回の本に載っている言葉は実際にインタビューをし、皆さんが生きることと向き合って、そこから紡がれた言葉を入れさせていただきました
各ページのQRコードからアクセスしてインタビュー映像を見ることもできます。

206人206様ですが、読み進めていくと何度読んでも、自分も頑張ろうと前を向くことができます。

この本はお見舞いにも活用いただけるように、病院でも読みやすいサイズにしました。今がんと向き合っている方、ご家族や友人が困っている方へ贈る選択肢の一つとして活用いただければと思っています。

・CINRA.NET読者に向けたメッセージ
二人に一人が一生のうちにがんになると言われています。
知ることから人をサポートすることが出来、自分がなった時の心の準備ができると考えています。
今回出版するLAVENDER RING「自分らしく、を生きていく。」の収益の一部は寄付となっていますので、この本を読んでもらうだけでもサポートのカタチになると思っています。
より多くの人に知ってもらうきっかけになって欲しい、そして近くで困っている人の助けになったら嬉しいと考えています。
活動自体のパートナーも募集しているので、一緒にできることがあればお声がけいただきたいと思っています。

LAVENDER RING、サポートの輪が広がっていくことを願って。

河瀬太樹

『自分らしく、を生きていく。―がんとともに生きる206人の笑顔と想い―』アートボード