米アマゾン・ドット・コムは2月5日、米プロフットボールNFLの王者決定戦スーパーボウルに関連する偽造品の取り締まりに向け、米政府との連携を強化したと明らかにした

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後を絶たないスポーツ関連の偽物

 スーパーボウルは、フロリダ州タンパで2月7日に開催された。アマゾンは、開催日前と当日にリアルタイムで情報を収集し、それらを米国土安全保障省が所管する移民税関捜査局・全米知的財産権調整センター(IPRセンター)と共有した。今後もIPRセンターとの連携を進めていくとしている。

 アマゾンは2020年6月、元検察官や元捜査官、データアナリストなどの専門家で構成する「偽造品犯罪対策チーム(Counterfeit Crimes Unit、CCU)」を発足させた。

 20年11月には、この偽造品犯罪対策チームと国土安全保障省のIPRセンターや税関・国境警備局(CBP)が連携し、偽ブランドなどの流通を食い止めるため共同作戦「Operation Fulfilled Action」を実施すると明らかにした。今回の取り組みはこれを拡大するものだ。

 米CNBCによると、国土安全保障省は過去1年間で16万9000点以上のスポーツ関連偽造品を押収した。約4500万ドル(47億5000万円)相当だという。

 また、国土安全保障省によると、昨年のスーパーボウル開催日までの1年間は、1億2300万ドル(130億円)相当の偽造品を押収した。昨年は新型コロナウイルスの影響で減少したものの、依然、後を絶たない状況だという。

米政府、アマゾンサイトを「悪質市場」に指定

 一方、米通商代表部(USTR)は1月中旬、アマゾンが米国外で運営する一部のサイトを「悪質市場」リストに加えた。

 USTRは毎年、偽造品や海賊版などを販売、あるいは販売を手助けしているとする市場を指定し公表している。1月14日にその2020年版を公表。アマゾンの英国やドイツスペインフランスイタリアのサイトを指定した。

 アマゾンは収益性の高い外部業者の商品を扱うマーケットプレイス事業を積極展開しており、今はその販売額が物品販売総額のほぼ6割を占める(ドイツ・スタティスタのインフォグラフィックス)。

 だが、そこには、偽造品が数多く紛れ込んでいると指摘されている。こうした中、アマゾンは対策に巨額を投じている。同社によると19年だけでも5億ドル(約530億円)以上を投じた。機械学習などの技術で検出しているほか、8000人以上の従業員を割り当て、不正が疑われる60億点以上の商品と250万件以上のアカウントを削除した。その結果、今では99.9%の商品ページで偽造品関連の苦情がなくなったとしている。

違法業者の法的責任追及

 また、最近はアマゾンの偽造品犯罪対策チームが訴訟に持ち込むケースが増えている。20年11月には、高級ブランド品の偽物を販売していた11業者と、業者と共謀してフェイスブックやインスタグラムなどで宣伝していた2人のインフルエンサーを提訴した。

 20年6月には、アマゾンイタリア高級ブランド、ヴァレンティノが共同でニューヨークの靴・鞄メーカーを提訴した。このほか、アマゾンの協力を得て、医療用マスクの偽造品を18倍の価格で販売していた業者を、メーカーの米スリーエム(3M)が訴訟した。アマゾンは、こうした取り組みを今後も続け、対策を強化していくとしている。

 (参考・関連記事)「米政府、アマゾンを「悪質市場」指定 2年連続

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アマゾン ロゴ(写真:AP/アフロ)