京都を拠点とする児島真理奈のソロユニット「ミライスカート+(プラス)」が、2月7日、東京・下北沢LIVEHOLICでワンマンライブ「おいでやす!ギュッとミライスカート+ vol.1~MIRAISTART!~」を開催した。1月15日に行われた「vol.0」は夜公演、しかも政府が要請した緊急事態宣言に伴い、急きょ開演時間を繰り上げたたため、来場が難しくなったファンもいた。その辺りも考慮して、この本編第1回は正午からの公演となった。

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80分を超えるパフォーマンス時間は、ミラスカの東京公演では異例中の異例。対バンイベントでミラスカを知り、初めてこのワンマンに来て、「こんなにいい曲がたくさんあったのか」と思った観客も多かったはずだ。

■とにかくフルコーラス

対バンイベントでの持ち時間は、どんなに長くても30分未満といったところだろう。こうした催しでは、他の出演者目当ての人たちをいかに引きつけるか、いかに新規ファンとして取り込んでいくかが大切になる。結果、おはこや人気曲や盛り上げ系の割合が増し、華やかな味付けにするために、フルコーラスばかりではなく、たとえば1コーラス半など、短めのアレンジにした曲を次々と歌うこともある。

だがこのワンマンは、そうした制約から解き放たれていた。なにしろ出演者は児島真理奈だけであり、観客も児島真理奈だけを目当てに来ている。しかも今回は“たっぷり曲をお届けする”というコンセプトだったので、とにかくフルコーラスで歌いまくった。

歌は1番から3番まで表現されてこそ、歌だ。体を動かしたくなるタイプの曲はもちろん、じっくり聴かせるもの、(心の中で)口ずさみたくなるものもたっぷり楽しませた。声の伸びにも磨きがかかっていた。

■新曲も昔の曲も同じように大切に歌いたい

MCで語っていたところによると、(当日は)朝4時半に起きたという。つまりライブが始まった頃、すでに起床から7時間ほどたっていたことになる。場内は2月だというのに、すっかり春の暖かさ。客席を見ると、あまりの熱気のためか半袖Tシャツのファンもいる。

OVERTURE 2020s #herecomesthemirai」「Moving Light」「君が決めていいよ」「春夏秋冬 Dancer「またね」SPARK 4 PATh」など、agehaspringsとの提携が復活した最新アルバム『C3Tones』(シーキューブドトーンズ)からのナンバーと、ミライスカート(4人時代、ソロ時代)の曲を巧みに織り込んだステージ。新曲も昔の曲も同じように大切に歌いたいという児島の意志がうかがえるセットリストだった。

旧ミラスカ曲では、過去それほど披露されてこなかった「コ・イ・ハ・カ・プ・チ・ー・ノ」に場内から格別の反応が起きた。また、エコロジーをテーマにした「ミーゴ!ゴミーゴ!」も久々に披露。4人時代から歳月が流れ、これを歌うのに少し照れくさくなっているところもあるそうだが、「どこかの清掃関係のプロジェクトとのコラボもタイアップもないのに、よくこの曲ができたと思います。初めて聴く方は不思議な気持ちにもなるかもしれませんが、いいことを言っている曲なんです」という前置きの後、堂々と歌われた。

■そろう手拍子

ミラスカのライブはマイクのリバーブが控えめな印象があるのだが、今回のワンマンでは本当に極度に残響を抑えていて、生々しい歌声が一層耳に快かった。発声できない代わりに、よくそろう手拍子、滑らかなフリコピや落ちサビケチャで主役を盛り上げたファンの一体感にも目を見張らされた。

3月14日(日)昼0時から開催予定の「vol.2」は、レア曲満載のプログラムになるとのこと。ワンマンならではの特色を打ち出しながら、東京での新シリーズは続く。

テキスト=原田和典

ワンマンライブを開催したミライスカート+/「ミライスカート+(プラス)」ワンマンライブ「おいでやす!ギュッとミライスカート+ vol.1~MIRAISTART!~」より